2019年11月5日(火)

■国宝白水阿弥陀堂 水害乗り越えライトアップ

内郷白水町の国宝白水阿弥陀堂で、恒例の夜間特別拝観とライトアップが行われている。白水阿弥陀堂は、いわき市が誇る県内唯一の国宝建造物だが、10月25日の大雨では境内が浸水する被害に見舞われた。ポンプによる排水作業で、夜間特別拝観とライトアップも2日夜から、予定通り実施され、3連休は多くの人が訪れた。10日まで。

黄色いイチョウや赤いカエデが、阿弥陀堂とともに闇夜に浮かび、見る人を幻想的な世界にいざなうライトアップ。

東電福島第一原発事故をきっかけに、平成24年11月から観光振興を目的に始まった取り組みで、紅葉や新緑のシーズンに継続的に展開しており、照明には発光ダイオード(LED)を使って環境に配慮している。

拝観料は大人500円、小学生300円、未就学児無料。時間は午後5時半〜8時半(受け付けは同8時)。9、10日にはJRいわき、湯本駅発着の無料シャトルバスも運行される。

写真は、ライトアップされる国宝白水阿弥陀堂=4日夜(クリックで拡大)

■東洋システム創立30周年祝賀会 庄司社長「次の若者育てる企業へ」

常磐西郷町の二次電池の試験装置などを手がける「東洋システム」の創立30周年記念パーティーが2日夕方、常磐藤原町のホテルハワイアンズで行われた。庄司秀樹代表取締役は「次の30年は、エネルギー産業のすべてに関われるようになりたい。一人一人の若者を育て、その若者に大きな夢を持ってもらい、次の若者を育てられるような企業になりたい」と語り、すべての関係者に向けて謝辞を述べた。

記念パーティーには、市内外から約360人が出席。リチウムイオン電池生みの親として、今年のノーベル化学賞に決まった吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)も駆けつけ、東日本大震災をきっかけに、さらに東洋システムとの縁を深めたエピソードなどを披露した。

東洋システムは平成元年11月、庄司社長が、日本初の携帯電話「ショルダーホン」の大きさに疑問を持ち、電池の小型化には自動稼働の計測器が必要と知ったことで、佐糠町のプレハブ小屋から事業が始まった。

電気自動車(EV)の先駆け・トヨタ自動車のプリウスの試験も、東洋システムの装置が使われたほか、リチウムイオン電池のOEM供給(相手先ブランドによる生産)にも取り組んでいる。

また東日本大震災・東電福島第一原発事故を踏まえ、いわき市を蓄電池産業の集積地とする「いわきバッテリーバレー構想」をけん引しているほか、地元の子どもたちを対象としたイベントも企画。災害時の支援物資の備蓄も展開し、台風19号で被災した市民に飲料水を提供した。

庄司社長は倒産の危機や、震災・原発事故で直面した困難も、「和進」の精神によって、多くの人の支えで乗り越えられたと振り返った。

森雅子法相、吉野正芳衆院議員、全固体電池の開発に当たるトヨタ自動車の射場英紀氏も祝辞に立った。

<吉野氏のあいさつ要旨 こちら

写真は、庄司社長から花束を贈られた吉野氏(右)=2日夕方(クリックで拡大)

■磐城惜敗 2年ぶり決勝ならず 高校ラグビー県大会

第65回全国高校体育大会ラグビーフットボール競技を兼ねた、第99回全国高校ラグビーフットボール大会県大会(県高体連、県ラグビーフットボール協会など主催)は大会3日目の3日、いわきグリーンフィールドで準決勝2試合が行われた。

地元いわき勢最後の砦(とりで)として、第4シードの磐城が第1シードの郡山北工業と激突した。後半8分、自陣ゴール前の密集から、痛恨の先制トライを許し、ゴールも献上。これが決勝点となり、0―7で惜しくも敗れ、2年ぶりの決勝進出は成らなかった。

■3連休 党首級が次々と来市 県議選の候補者応援

【共産 志位委員長】

共産党の志位和夫委員長は2日午後、JRいわき駅前で演説に臨み、県議選に出馬する公認候補の応援を行った。

志位氏は台風19号と続く大雨による被災を踏まえ、「災害対策に与野党は関係ない」と強調。被災者生活再建支援法によって、住宅の被害に応じて最大300万円が支給されるが、これを最大500万円に引き上げることで、「安心して住み続けられる街に復興できる」と述べた。

県政に当たっては、小・中学校の給食一律無料化の実現、国民健康保険料の引き下げ、高齢者の移動手段確保に向けたシルバーパスの提供、若者の定着を目指した家賃補助、返済不要の奨学金の設定を掲げた。

【公明 山口代表】

公明党の山口那津男代表は3日、JRいわき駅前で演説に立ち、県議選に出馬する公認候補の応援に当たった。

山口氏はいわき市選挙区に2人を擁立した点に触れ、「何としてもこの2議席を勝ち取り、いわき・福島の復興をやり遂げる」と強調。公明党のネットワークを生かし、台風19号と続く大雨からの復旧も進めていると明かした。

決壊した夏井川にも言及し、「二度と氾濫を起こさないよう、災害に強い河川をつくらないといけない」と述べ、以前から河川改良や樹木の伐採が求められていたとし、公明党はより現場の声を拾い上げていくと約束した。

さらに東電福島第一原発事故を踏まえ、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想にも力を入れ、新しい産業を通じ、いわき・福島を世界に貢献できる場所としていく考えを示した。

【立憲民主 枝野代表】

立憲民主党の枝野幸男代表は4日、小名浜のアクアマリンパークで演説し、県議選に出馬する公認候補を激励した。

枝野氏は演説に先立ち、台風19号で浸水した平下平窪地区を視察し、市から要望書を受け取ったたことから、「被災した人に対する基準は上から目線では駄目だ」と指摘。床上浸水した高さに応じ、最大300万円支給される制度を批判し、実際にこうむった被害を基にした支給に改めるべきだと主張した。

これまでは自己責任と競争の社会だったが、人口減少・高齢社会のいま、互いに支え合わないといけない」と枝野氏。次は自分かもしれないとの思いを持って、誰もが等しく支援を受けられる重要性を説いた。

また治水・治山のあり方にも疑問を呈し、「国土交通省では地図しか見ていない。本当に危ないところは地元が一番分かる」と述べ、地域に根ざした公認候補への一票を求めた。

【無所属(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム) 野田前首相】

野田佳彦前首相は4日、県議選の候補者応援のため、勿来町窪田と江名で街頭演説を行った。

勿来の街頭演説で、野田前首相は相次ぐ大臣の辞任劇に触れながら、萩生田光一文科相の「身の丈」発言を痛烈に批判。震災後に話題となった60年前の新生児取り違え事件を例に出して、「貧しい家庭に育った子どものハンディをなくすのが政治」と語気を強くし、「いわきの中でも貧富の差が教育の差に出ないような社会とすべきだ」と地方財政の有効活用を訴えた。

また、福島、出身地の千葉県をはじめ台風、集中豪雨の被災地において選挙の自粛ムードがまん延することを懸念。「こういった災害は日常茶飯事にやってくる時代になった。誰が危機管理能力をもって政治にあたっているのか、多くの人に関心を持ってもらいたい」と語った。