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片隅抄

2020.2.10

2020年02月10日(月)更新
終戦工作にからみ、行方をくらませた日本人外交官を軸に物語が展開する、松本清張『球形の荒野』。冒頭、奈良・薬師寺と唐招提寺を結ぶ道が描かれている。以前、本に従い歩いてみたことがある▼発表当時の昭和30年代の趣は感じられなかった。唐招提寺とゆかりのある鑑真和上。仏教の礎を築くため、度重なる日本行きを試みたものの失敗。盲目になりながらついにその宿願を果たしたことは知られている▼「山川異域 風月同天(さんせんいいき ふうげつどうてん)」。市美展書の部の表彰式がきのう市立美術館で行われた。あいさつに立った同館長がこの言葉を引用した。猛威をふるう新型コロナウイルス対策に向け、日本から送られた支援物資にこの文字が添えられていたという▼国は違えども、同じ風が吹き同じ月が出る。鑑真を招くため、日本が贈った漢詩とのこと。書を通じ共通の文化を持つ日本と中国。先人の思いが再び実を結ぶことを願う。
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