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片隅抄

2020.10.17

2020年10月17日(土)更新
“遺影”をテーマにした冊子が出版されたり、イベントが開かれるようになった。誕生記念、七五三、入学・卒業式、成人式、結婚式など人生の節目の記念写真があるのなら、“遺影”はその最後を飾る1枚といえるだろう▼わが老父母はそろって90を超え、体調を崩してほぼ寝たきりの日々。意思表示も弱々しくなり、そろそろエンディングのことを考えねばならなくなった▼4年前、まだ元気だった母から突然、「遺影、撮ってくんねがな」と言われた。近所でも評判の親不孝の末っ子ができるささやかな親孝行と思い、即席のスタジオをつくって撮影した。生真面目な両親にしてはいい笑顔を見せてくれた▼葬儀に出席するたび、故人の遺影をよく見る。小さい写真をトリミングして引き伸ばしたため画質がよくない場合もある。そして多くは無表情だ。愚息が保存したデータにはやさしい笑顔で、普段着姿の鮮明な両親の遺影がある。もちろん使うのはまだまだ先だ。
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