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片隅抄

2018.07.06

2018年07月06日(金)更新
作家山口瞳さんは直木賞受賞作『江分利満氏の優雅な生活』の中で、ある文芸評論家を批判している。「最も美しく生きることは、最も美しく死ぬことである」。この甘い言葉で多くの若者をあおり戦場に送った白髪の老人を許すことができないと▼同書などでは自らを戦中派と称し、理不尽な軍隊組織などを忌み嫌っていた。山口さんが亡くなった平成7年、国内犯罪史上類を見ない地下鉄サリン事件がオウム真理教によって引き起こされた▼麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚は仏法をマジックにすり替え、怪しげな教義教典のもと若い信者を殺人集団に仕立て上げた。坂本弁護士一家、長野サリンなど一連の凶悪犯行に反省の色は微塵もない▼その松本、教団元幹部に死刑が執行された。事件が明らかになった頃、能弁な広報マン、弁護士がメディアに登場、ロジックを駆使し煙に巻いた。明晰な頭脳を持った若者の将来を惑わせ、多くの人命を奪った男の罪は重い。
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