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片隅抄

2017.11.16

2017年11月16日(木)更新
テレビのBS放送で、李相日監督作品「悪人」という映画を見た。タイトルが示す通り、悪人(殺人犯)の逃亡劇だが、被害者、被疑者、そして双方の家族の心情などの描写が絶妙で、考えさせられる事の多い社会派の映画だった▼出会い系サイトで知り合った女性を殺害し逃亡することになった犯人。同情されてしかるべきだが、知り合うきっかけの件で、逆に好奇の目で見られてしまう被害者、そして家族。その苦悩が実に痛ましく、やるせなさがひしひしと伝わってくる秀作だ▼最近の神奈川の事件が頭をよぎる。「自殺願望」という言葉が独り歩きし、好奇の目を誘った。被害者の顔写真が公表され、家族までもが取材の対象になり、「どこまで、晒せば気が済むんだ」そんな批判がネット上で相次いだ▼同業として頭の痛い問題だが決して好奇心からではない。二度と起こらないようにと願っての事だ。そこにはしっかりとした倫理がある。それがマスコミの使命だ。
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