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片隅抄

2014.11.21

2014年11月21日(金)更新
日本を代表する映画俳優高倉健さんが亡くなった。突然の訃報に驚いたが、テレビで見る限り背筋をぴんと伸ばし、年齢を感じさせない方だった▼生涯200本を超える映画に出演した高倉さん。その1つに東京・国立市に実在した店の主人をモデルにした、『居酒屋兆治』(山口瞳原作)がある。人事担当に配属され上司、同僚にくびを言い渡すことに嫌気がさし、脱サラする▼主人公の師匠は本県出身で、詩人草野心平も通った焼き鳥屋さん。映画ではある時、常連客が条件のいい物件を見つけたから移れと言い出す。かたくなに拒む理由を「師匠の近くに店を出し、お客を取るようなことはできない」とつぶやく▼小説ゆえに虚実取り混ぜてあるものの、実際の移転話はあったという。昭和40年代の男気ある任侠映画もいいが、後年の作品に見られた他人への情愛、自己犠牲などを寡黙に演じた役に魅力を感じる。映画同様、男のダンディズムを貫いた人生だった。
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