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片隅抄

2011.09.16

2011年09月16日(金)更新
 並行輸入以前、洋酒がまだ高根の花だったころ、ある経済紙にバーボンウイスキーの広告が載っていた。記憶では大きめのスペースに商品写真と〝帰去来〟の文字が添えられていた▼帰りなんいざ/田園まさに蕪(あ)れなんとす―。|古代中国の詩人陶淵明の『帰去来辞』の一節だが、官職を辞して故郷に戻る作者の心情を歌う。世俗を離れ、酒に親しみ田園風景の中で晴耕雨読の日々を送る▼大震災で被災した双葉地区の住民が住む仮設住宅が、いわき南台に完成した。46棟250世帯分が用意され、このうち約1割が入居を始めている。避難所を転々とした人たちにとって、安らぎある生活が送れることを願う▼だが完成直後とはいえ、各戸には雨どいもなく、表からの目隠しもない。強風では地面の土ぼこりが舞い上がる。せめて樹木を植え、わずかな緑地を作ってもいい。無い無いづくしからの新生活。「帰りたくても帰れない」。この人たちにすべきことは多い。
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