2021年2月4日(木)

■<新型コロナ>いわき市で新たに1人 県の緊急対策期間は14日まで延長に

県は4日、いわき市で3日、新たに1人の新型コロナウイルス陽性者が判明したと明らかにした。2日連続の確認で、累計では241人となった。県によると、外国籍の40代会社員男性。小名浜港に寄港した外国船の船員で、1日に船内で発熱、胸部の痛み、咳症状が確認され、新型コロナウイルス感染症の疑いのため入院。2日にPCR検査によって陽性と分かった。中等症。入院中。この外国船は出港済みで、船外には濃厚接触者はいないとされる。県内でこうした陽性例は初めて。

県内全体では新たに9人が確認され、1759人となった。入院者(予定含む)は179人で、確保病床数469床に対し、占有率は38・2%と、政府の分科会が示す感染状況のうち、4段階中3番目のステージ3(感染急増)の指標の一つ「確保病床の25%以上」を越えているが、1月1日以来に4割を下回った。

また県は4日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき、7日まで緊急対策期間とし、県民に求めた「不要不急の外出自粛要請」「午後8時〜午前5時までの時間帯の営業自粛要請(接待を伴う飲食店、酒類を提供する飲食店等)」について、14日まで延長すると発表した。接待を伴う飲食店、酒類を提供する飲食店等に向けての協力金(1日当たり4万円)も継続する。新たに、要請によって、売り上げが前年の半分以下になった事業者に対し、一律20万円を支給する。

■山本さん「道筋ひらけた判例」 金魚電話ボックス訴訟

金魚が電話ボックスの中を泳ぐオブジェが自身の作品と酷似しているとして、オブジェを設置した奈良県大和郡山市の商店街を相手取り、著作権侵害などを巡る控訴審判決で勝訴した、現代美術家の山本伸樹さん(64)=田人町=が3日、市役所記者クラブで会見し、「同じような思いをしている現代美術家の権利が守られ、後進への道筋がひらけた判例となった」と語った。

判決などによると、山本さんは平成10年、都内で行われた水質汚染などの環境問題などをテーマにした展覧会で、「メッセージ」というタイトルで、水の入った電話ボックス内をメダカやタナゴが泳ぎ、受話器から気泡が出る作品を出品。2年後からは金魚を泳がせ、各地で展示し、新聞や雑誌でも取り上げられた。

平成23年、京都造形芸術大の学生らによるグループが酷似した作品を発表。山本さんらの抗議で出品を取り止めたが、同26年に別の団体が同じ部材で、金魚の産地として有名な大和郡山市の柳町商店街に設置した。山本さんは仲介者とともに、展示を継続する和解案などを示したが、交渉は決裂し、商店街側は2年後に撤去した。

一審・奈良地裁の判決では、独創的を認めながらも、「アイデアに過ぎない」とし、著作権の侵害はないと判断して、山本さんの訴えを棄却。二審・大阪高裁は「表現の選択幅がなく、創作性があるとは言い難い」としながらも、非日常的な情景を表現しており、鑑賞者に与える表現で控訴人の個性が発揮されているなどし、山本さんの著作物と認めた。山本さんの担当弁護士によると、商店街側は二審判決を不服として、上告受理の申し立てをしているという。

写真は、山本さんの作品「メッセージ」(左)と柳町商店街で設置されていた「金魚電話ボックス」(本人提供=クリックで拡大)

■市医療センター敷地から医療廃棄物 グランドオープンには影響なし

3月のグランドオープンに向けて、第2期工事などを進めている市医療センター(内郷御厩町)は4日、工事区域内から、医療廃棄物とみられる注射器や試験管、薬品などが見つかったと公表した。同センターによると、1月29日午前10時ごろ、旧市立総合磐城共立病院の手術指令棟跡地にあたる「第2期解体・造成工事区域」の西側敷地境界付近で、側溝敷設中に深さ90センチの土中に埋まっていたという。

現時点の目視による調査の結果、注射器4本、破片状の試験管3本、薬品瓶38本のほか、飲料瓶など計約50点を確認した。このうち、注射器、試験管が医療廃棄物に該当。周辺の土とともに除去し、工事ヤード内の空き地に一時仮置きし、順次処分する。処分費用は維持管理経費で対応する予定。工事の進ちょくには影響はないという。

同センターでは平成27年度、同30年度、令和元年度にも、同形状の注射器や薬品瓶が見つかっており、前回と同様、昭和30年から40年ごろにかけて廃棄された可能性が高いと推測している。

■いわき市 昨年の救急統計 出動・搬送ともに初の4桁台減

市消防本部(猪狩浩二消防長)は2日、昨年1年間の救急統計(速報値)を発表した。それによると、救急出動は1万2533件(前年比1636件減)、救急車での医療機関への搬送者は1万1181人(同1241人減)といずれも減少した。ともに4桁台での減少は、昭和42年の統計開始以来初めて。

種目別にみると、急病が最も多く7140人(同841人減)で全体の約6割。一般負傷が1622人(同83人減)、転院搬送が1364人(同59人減)、交通事故が688人(同187人減)と続く。年齢別では、高齢者が7065人(同476人減)で最も多く、次いで、成人が3495人(同417人減)、乳幼児が323人(同284人減)、少年が278人(同51人減)。新生児が20人と最も少なく、前年と比較し、13人減少した。

傷病程度については、入院が必要な中等症が4895人(同321人減)で最多。軽症が4386人(同931人減)と続くものの、救急車の適正利用への周知徹底が認知し始め、大幅に減少した。重症は1644人(同28人減)だった。119番通報から現場到着までの平均所要時間は10分38秒で昨年より2秒早まった。その一方で、通報から医療機関に収容するまで要した時間は昨年より24秒延びて51分55秒となった。

表は、過去10年間の救急出動件数と搬送人員の推移・覚知から医療機関に収容までの平均所要時間(クリックで拡大)