2020年12月25日(金)

<新型コロナ>いわき市で新たに6人 1日として過去最多 うち5人は経路不明

県は25日、いわき市で24日、新たに6人の新型コロナウイルス陽性者が分かったと明らかにした。いわき市の1日としては過去最多の陽性者で、累計では71人となった。県によると、40歳代の会社員男性、40歳代の会社員女性、10歳代の男性、10歳未満の女児、40歳代の会社員女性、80歳代の会社員男性。最後の1人を除いて、いずれも現時点で感染経路は分かっていない。

1人目の40歳代の会社員男性は、17日に咳症状があって医療機関を受診。18日に発熱、咳症状、下痢、吐き気があり、19日にはさらに筋肉痛を覚えた。23日に医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。軽症で入院中。同居家族が濃厚接触者に該当する。

2人目の40歳代の会社員女性は、23日に医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。症状なし。入院中。同居家族が濃厚接触者に該当する。

3人目の10歳代の男性は、20日に発熱があったが、21日には症状が無くなった。23日に医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。症状なし。入院中。同居家族が濃厚接触者に該当する。

4人目の10歳未満の女児は、21日に発熱、けん怠感があったが、22日に症状は消えた。23日に医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。症状なし。入院中。同居家族が濃厚接触者に該当する。

5人目の40歳代の会社員女性は、22日に発熱。23日に医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。軽症で入院中。同居家族が濃厚接触者も該当する。

6人目の80歳代の会社員男性は、21日に咳や咽頭(いんとう)痛が生じた。23日に県内陽性者の濃厚接触者として、医療機関で検体を採取し、24日にPCR検査で陽性に。軽症で入院中。同居家族が濃厚接触者も該当する。

県内全体の24日の陽性者は、1日で最多の43人。24日までの陽性者累計数は844人で、入院患者(予定を含む)は210人。確保病床数469床に対し、占有率は過去最高の44・8%を記録し、ステージ4(爆発的感染拡大)の指標の一つ「確保病床の50%以上」に迫っている。ただ県によると、宿泊療養施設で受け入れる分もあるため、実際には占有率はもう少し低くなる見込み。

電池パック増産で医療支える 東洋システムに大臣表彰

二次電池の試験装置開発や評価システムを手がける「東洋システム」(本社・常磐西郷町、庄司秀樹代表取締役)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い需要が伸びている、医療機器搭載の電池パックの増産に取り組んでいる。同社製造の電池パックは、他社ブランドの供給(OEM)で人工呼吸器用や生体情報モニター用に使われており、『いわき発』の技術が、命を救う全国の医療最前線で活躍している。活動が高く評価され、経済産業大臣感謝状が22日、同社に届けられた。

庄司社長によると、新型コロナの影響が日に日に濃くなってきた2月、関係メーカーから電池パックの増産を要請された。「医療分野のため断る理由はない」と快諾したが、海外に依存する部品もあり調達に苦労した、と振り返る。また通常勤務では納期が間に合わないため、平成元年11月の創設以来初という、24時間体制を導入。困窮する医療に少しでも役立ちたいとの思いを抱き、協力企業の力も借りて、従業員ら20人が交代勤務に当たった。

併せて設備の増強も図り、電池パックのうち、人工呼吸器用は自動体外式除細動器(AED)用を転用し、年間の約2倍に当たる3800台を生産。生体情報モニター用は、ここ2年で約1万2千台だったところを3万台まで増やした。

同社は昨年10月に東日本台風が発生した際、いち早く被災地に飲料水を届けた。新型コロナが猛威を振るい、衛生用品が不足していた5月には地元企業と連携し、市医師会などにマスク66万2000枚を寄贈した。CSR活動(企業の社会的責任)は地域とともに生きる企業にとって当たり前になりつつあるが、同社の献身的な姿勢は本市でも群を抜く。

庄司社長は「若者が魅力を感じるまちとするため、これからも地域のために力を尽くし、いわきから世界中に技術を発信していく」と力強く語り、本市発展に寄与することを誓った。

写真は、感謝状を囲み、士気を高める庄司社長(右端)と従業員たち(クリックで拡大)

■いわき市 感染リスク回避期間設定 消防出初式は中止に

全国的な新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、市は28日から来年1月11日までの15日間を「年末年始における感染防止集中対策一斉行動」と位置付け、広く市民に感染リスク回避を呼び掛ける。清水市長が24日、市役所本庁舎での記者会見で発表した。

感染拡大を防止し、地域医療を守る観点から、同行動期間中の市主催などの行事や事業などを中止、延期とする。年明けの4日に開催する市公設地方卸売市場初市式、5日の市中央卸売市場初市式は出席者を市場関係者のみとし、規模を縮小して実施。同日に開催を予定していた新春市民交歓会、9日の市消防出初式は中止が決定した。先ごろ、延期が決定した市成人式は実施期日は未定。

また、新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)発生をできるだけ抑えるため、市は来年1月4日から3月31日まで、高齢者、障がい者(児)の福祉施設、接待を伴う飲食店などの従事者を対象とし、新型コロナウイルス検査相談を受け付けると明らかにした。

相談は電話のみで受け付ける。相談内容から検査が必要と判断した場合は行政検査として、無料でPCR検査を行う。土、日曜日、祝日を除く午後1時から同4時まで、市保健所= 電話(27)8596=で検査相談担当が対応する。

■市長選 平出身・内田氏(福島大事務局長) 出馬向けた調整進む

来年9月27日の任期満了に伴う市長選に、福島大理事・事務局長の内田広之氏(48)=平出身=が立候補の意思を固め、調整を進めている。関係者によると、内田氏は12月をもって辞職し、年明け以降に記者会見を開き、正式に表明するという。

内田氏は草野中、磐城高、東北大教育学部卒で、東京大大学院教育学研究科修了。平成8年に旧文部省入省、文化庁文化広報・地域連携室長、岡山県教委教育次長、文部科学省政策課企画官などを歴任。平成31年4月に福島大に出向した。

市長選を巡って、現職の清水敏男氏(57)=2期=は現時点で態度を明らかにしていないが、近く周辺が3期目の出馬を要請する見込み。また、市長選にはこのほかにも立候補に向けた動きがあり、選挙戦は確実な情勢になっている。

写真は、講演で10月に来市した際の内田氏(クリックで拡大)