2020年12月5日(土)

■勿来関文学歴史館 幕末の泉藩士・松井秀簡のスポット展示 貴重な初公開資料も

市勿来関文学歴史館のスポット展示「松井秀簡〜非戦をつらぬいた泉藩士〜」が来年1月19日まで、勿来町の同館で開催されている。松井秀簡(1826〜1868)は泉藩士で、戊辰戦争の際、奥羽越列藩同盟に与した藩に不戦論を唱え、抗議のために自刃したとされており、今回は子孫が保管する貴重な初公開の資料を含む18点を展示。動乱の幕末を駆け抜けた松井の生涯とともに、知られざる“いわき人”の足跡を発信する。

松井は、磐城平藩・藩校施政堂で教授を務めた漢学者(儒者)神林復所(ふくしょ)に学び、15歳のころには漢詩を作るほどの才能に恵まれた。16歳で泉藩に取り立てられ、29歳で代官に抜擢。和算にも優れ、測量など実務的な数学を会得していた。

戊辰戦争が起きた慶応4(1868)年の4月、41歳で郡奉行に就いている。通説では旧暦6月、平潟(茨城県北茨城市)に上陸した新政府軍が北進する際、松井は勤王派の立場から、泉藩の不戦論を説いて自刃したと言われているが、同館では資料を読み解いた結果、「松井は単に無血開城(不戦論)を主張した訳ではなく、当時の情勢を良く理解していた」と分析する。

スポット展示では、黒船で運ばれた米国大統領国書とペリー書簡の和訳を松井が筆写した書物や、国境を越えて尊王攘夷、佐幕派と盛んに議論が交わされた水戸藩の藩士と交流していた史実を紹介。さらに旧幕府軍が泉藩の領民に対して軍資金を要求していたことも分かり、友人の回顧を基に、若いころから領民と親しかった松井は、命を賭(と)して抗議したと推測されるという。

会場には、寛政の改革を支え、今も泉町民の心の支えとして親しまれている“名君”泉藩2代藩主・本多忠籌侯の書や、江戸琳派(りんぱ)を代表する絵師の1人酒井抱一の作品など、いずれも松井の子孫が所蔵している、普段は表に出ない品々も飾られている。

開館時間は午前9時から午後5時(受け付けは同4時半まで)。16日と来年1月1日は休館。13日と来年1月10日には、ギャラリートークが行われる。時間はどちらも午後2時から2時半。問い合わせは、同館=電話(65)6166=まで。

写真は、勿来関文学歴史館で開催中のスポット展示。松井秀簡が作った漢詩なども並ぶ=4日(クリックで拡大)

■コロナ禍も変わらずはしご乗り 本番向けて初練習

来年1月9日の消防出初式はしご乗りに向け、市消防団第5支団第3分団(菊谷修一分団長)の「はしご乗り初め」が4日、内郷消防署(鈴木茂幸署長)で開かれた。式には団員ら約30人が出席し、石田一実同支団長が「コロナ禍での開催となる。消毒などを徹底し、体を十分に温めけがのないように練習してほしい」とあいさつしたあと菊谷分団長に激励金を贈った。

太夫たちは安全祈願、お清め後、練習を開始。同署一角の練習場には、最長5・5メートルのはしごが建てられ、太夫は久しぶりに技を確認しながら二本八艘(はっそう)、一本遠見など次々と妙技を繰り出していった。太夫13年目の四ツ倉義英さん(37)は「コロナに負けずに練習に臨みたい」と話した。

写真は、出初式に向けて初練習に臨む太夫=4日(クリックで拡大)

■高校新人サッカー 東日大昌平 初の決勝進出逃す

県高校新人体育大会サッカー競技(県高体連、県教委、県体協主催)は大会4日目の5日、いわきグリーンフィールドで、準決勝2試合を行った。第1試合では、いわき勢で唯一、4強入りした東日大昌平が福島東に0―1で惜敗。初の決勝進出は成らなかった。

雨中の決戦となった大一番。東日大昌平は県北1位の福島東と初の決勝進出をかけて対戦した。前半、コーナーキックをMF荒川優晟主将(2年)が頭で合わせるも、ゴールを逃した。その後も一進一退の攻防の続き、0―0で前半を折り返した。

後半もサイドから果敢に攻めるも、ゴール前のFW藤田竜成(同)が相手ディフェンスにかわされた。後半21分、痛恨の1点を献上。これが決勝点となり、4強で力尽きた。大会は6日に最終日を迎え、同フィールドで決勝と3位決定戦を行う。東日大昌平は初の東北切符をかけて、尚志と聖光学院の敗者との3位決定戦に挑む。東北大会は来年1月23〜25の3日間、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)で行われる。

写真は、準決勝・東日大昌平―福島東戦。東日大昌平は後半27分、ゴール前で待つFW藤田(右)が頭で合わせるもゴールを逃す=5日(クリックで拡大)

■常磐上湯長谷町の親子殺傷 知人の男送検 凶器は包丁

いわき市常磐上湯長谷町地内の市営住宅で4日早朝、母親と知人男性を殺傷した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された、同市内郷高坂町砂子田、無職鈴木芳信容疑者(40)について、いわき中央署は5日午後、殺人と殺人未遂容疑に切り替え、地検いわき支部に送致し、本格的な取り調べに入った。鈴木容疑者が犯行に至った動機やいきさつなどを厳しく追及し、事件の全容解明に急いでいる。

鈴木容疑者は4日午前4時半ごろ、同町扇田51の市営住宅で、70歳代の母親と知人のこの一室に住む無職武田英行さん(46)の首、胸などを刃物のようなもので切りつけるなどし、殺害しようとしたとされる。武田さんは死亡。母親は首などに重傷を負い、市内の病院に運ばれたが、命に別条はない。

捜査関係者などによると、凶器に使った刃物は包丁とみられ、現場に血のついた状態で見つかったという。同署の調べに対し、鈴木容疑者は「刺したのは間違いない」と事実を認め、捜査員の取り調べにも応じているという。

写真は、送検される鈴木容疑者=5日(クリックで拡大)