2020年12月3日(木)

■コロナ禍でも吹奏楽を 日本管楽合奏コン 湯本は最優秀賞 磐城農業は特別賞

管打楽器合奏を主体とした「日本管楽合奏コンテスト」(日本音楽教育文化振興会主催)がこのほど行われ、36人以上で編成し、8分以内の演奏曲を披露する高校B部門で、湯本高が最優秀賞を受賞した。また3〜15人で編成し、7分以内の演奏時間で競う高校S部門では、磐城農業高が特別賞のフォトライフ賞に輝いた。コロナ禍で発表の場が次々と失われる中、両校の吹奏楽部員たちは動画での審査ながら、全国規模の大会での結果に感激し、あらためて仲間と音楽をする喜びを味わった。

同コンテストは平成7年、管打楽器と吹奏楽の充実、発展などを目指して始まり、26回を数える。例年は録音による予選審査会を経て全国大会を開催してきたが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、各校が提出した動画を審査する方式に変更した。

<来年に向けた一歩として 湯本高>

湯本高は13度の全日本吹奏楽コンクール出場を誇り、今年は2年ぶりの全国大会返り咲きを目指していたが、大会は中止に。3 年生は6月に早期引退することになり、残った1、2年生で新たな目標に挑もうと、同コンテストのエントリーを決めた。

36人の同校は、和のモチーフを西洋音楽で表現した「三つのジャポニスム」(真島俊夫作曲)を選曲した。換気の徹底や飛まつ対策など慣れない練習環境だったが、クラリネットを担当する野木なつみ部長(17)=2年=は「互いに成長できるよう頑張ろう」と声をかけ、仲間たちを奮い立たせたという。

10月21日に常磐市民会館で動画を撮影し、結果は出場36団体のうち、上位12団体に贈られる最優秀賞。野木部長は「うれしい。来年の全日本吹奏楽コンクールに向けて大きな一歩となった」と好成績に胸を張り、部員全員で喜びの声を上げた。

<充実した部活動になった 磐城農業高>

磐城農業高も全日本吹奏楽コンクールの地区大会が取り止めとなり、同コンテストに照準を合わてきた。12人という少人数ながら、冒頭のクラリネットソロをはじめ、一人一人の楽器の音色が生かせる「百年祭」(福島弘和作曲)を選んで練習に励み、10月26日に常磐市民会館で本番の撮影に臨んだ。

11月21日にはオンラインでの配信があり、改めて自分たちの演奏を鑑賞した。チューバ担当の大河内怜副部長(18)=3年=は「形はどうあれ、全国大会というステージに出られて良かった。コロナで不安な気持ちもあったが、仲間や後輩と充実した部活動となった」と笑顔を見せた。

同校は出場18団体中、上位6団体が受けた最優秀賞を逃し、優秀賞にとどまったが、同コンテストを協賛する撮影業者「フォトライフ」(東京都調布市)が、独自の視点でたたえる特別賞を受賞した。

写真は、最優秀賞を受賞して喜ぶ湯本高(上)、演奏の収録に臨む磐城農業高(大会に提出した動画より、同校提供)(クリックで拡大)

■市議会12月定例会開会 湯本駅にワークスペース設置へ

市議会は3日、12月定例会が開会した。市は常磐湯本財産区の温泉給湯、公衆浴場の両事業を市に移管する「市温泉給湯事業基金条例」の制定など、条例の制定案2件、廃止案2件、改正案14件、補正後の総額634億1416万5千円となる予算案16件、その他12件の計46議案を提出している。このほか、人事案5件を追加提案予定。会期は16日までの14日間と決定した。

清水市長が46議案の提案理由を説明。補正予算案の概要として、ウィズコロナ時代の新スタイルの働き方「ワーケーション」の定着に向け、JR湯本駅などにワークスペースの整備、新たな行政サービスとして、オンライン窓口機能を搭載した車両を使用した「移動市役所」などの経費計上などを示した。

写真は、提案要旨を説明する清水市長=3日(クリックで拡大)

■あすから「着物リメイク展示会」 ラトブ2階 気持ちを明るく

思い出の詰まった着物に再び命を吹き込み、新たな“着物服”を仕立てる着物リメイク(リフォーム)作家・鈴木ひろみさんが主宰する、「着物リメイクRin」(中岡町三丁目)の展示会が4〜6の3日間、JRいわき駅前「ラトブ」2階で開催される。

鈴木さんは震災を機に「人の心を動かすような服を生み出したい」と、約1年間の縫製の修業を重ねて平成24年12月、「着物を着ると心や姿勢が『凛(りん)』とする、そして着物を通じて絆の『輪』を広げたい」との願いを込めた店をオープン。箪笥(たんす)に眠っていたり、親から譲り受けるもなかなか着こなす機会のない着物をリメイクし、1点ものの洋服“着物服”を作成して依頼者を喜ばせている。

「最近は華やかな着物服を好む年配の方も多く『色々な方から声を掛けられてうれしい』との喜びの声も聞く」と鈴木さん。利用者の笑顔が制作の原動力になっており、「着物の洋服を着るだけで気持ちが明るくなる。コロナ禍で少しでも気持ちを和ませてもらえれば」と、来場を呼び掛けている。時間は午前10時〜午後8時(最終日は同6時)。

写真は、会場のラトブをバックにチラシを持ち、来場を呼び掛ける鈴木さん(クリックで拡大)

■<還流 記者の目線>地名の由来を調べてみると?

タレント永六輔さんはエッセイで、明治の初めから続いた生家の住所表示台東区「浅草永住町」が、昭和39年に「元浅草三丁目」と変わったことを嘆いていた。「永が住む町」と気に入っていたのに、右へならえ式の味気ない住所になったからである。いわき市内でもこのところ、土地区画整理事業等で旧来の住所表示が変更になった地区は多い。

新人記者のころは初めて行く場所ばかりで、こんな住所があったのかとよく驚かされた。その1つが平谷川瀬字三十九(さんぞく)町で、今回は隣の同字明治町とともに新しく「平谷川瀬一丁目」となった。その由来について、地元で開業しているクリニックのブログが、2つの住所は「明治三十九年」に付けられたことに由来すると突き止めた。目からウロコである。

いわき市の場合は複数の小字が消滅して1つの「丁目」や代表する1つの字名に集約されたケースが多かった。地名には歴史や地形、権力者名、産業、宗教などにちなんだり、転訛、合成、短縮したもの、中には災害地名というのもある。市内にも、どうしてこんな地名が? どんな意味が隠されているのか? と興味をそそられる場所が多い。

「白米龍春寺山境沢より宮沢まで」はじめ牛鼻毛、風返し、ヲミカト、高ボッチ、粥餅川原、水界(みずざかい)、石田太良(いしだたろう)、八日十日(やかどか)…。地名からいわきを掘り下げてみたい。(編注:白米龍春寺山境沢より宮沢まで、はより・までを含む字名)