2020年11月5日(木)

■いわき市 ICT活用の交通システム構築を 事業者交えて観光などで実証へ

本市のさらなる経済活性化を目指し、次世代交通システム「MaaS(Mobility as a Service)」の構築に向けた取り組みを推進しようと、市は4日、「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」(本社・東京都千代田区)、県タクシー協会いわき支部と「いわき版MaaS推進事業」に関する連携協定を結んだ。

締結式は市役所本庁舎で行われ、柴尾嘉秀同社代表取締役副社長兼COO、吉田憲一副支部長、清水市長が協定書に署名した。清水市長は「次世代のまちづくりに向けて、大きな後押しとなる」と「いわき版MaaS」の構築に向けて、官民連携に期待を寄せた。

同事業は、交通利便性の向上を図り、交流人口の拡大や地域の活性化を図るのが目的。ポストコロナ時代に対応した、新しい地域サービスとして、交通事業者と地域事業者らが連携し、交通利便性の向上を図る。主な取り組みとして、年明けから、「観光MaaS」、「おつかいタクシーMaaS」の実証を開始予定。

「観光MaaS」は、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けた市内の観光エリアで、観光型タクシーの予約にICT(情報通信技術)を活用するシステムを構築。キャッシュレス決済の導入や観光施設などと連携し、利用者にクーポンを発行する取り組みを検討している。

「おつかいタクシーMaaS」は現在、いわきタクシーグループ(磐城、いわき中央、報徳、泉)が主体となり、市内のタクシー業者で進める「おつかいプロジェクト」をさらに発展。テイクアウト予約やタクシー配車にICTを活用するなど、利便性を高め、地域の活性化につながる次世代交通システム構築を目指す。

式終了後、出席者が「MaaS向けマルチタスク車両」のデモカーを見学。清水市長らは車両1台でオフィス、医療介護などのさまざまな用途で使用できる次世代車両の説明を受け、「災害時には“移動市役所”としても活用できる」と関心を深めていた。

写真は、「MaaS向けマルチタスク車両」のデモカー=4日(クリックで拡大)

■コロナ相談・受診 かかりつけ医でも インフル流行備え

県は11月から、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、新たな相談・受診体制を始めた。風邪のような症状や発熱、強いだるさ・息苦しさがあった場合、身近なかかりつけ医に電話相談した上で、必要に応じて、PCR検査などが受けられる仕組みとした。扱えない時には、受け入れ可能な医療機関に取り次ぐ。

また従来の「帰国者・接触者相談センター」に代わり、「受診・相談センター」を設け、かかりつけ医がいない人や、夜間・休日に際して、電話相談の内容を踏まえ、対応できる医療機関を紹介していく。受診・相談センターは、フリーダイヤル(0120)567747。平日・休日問わず24時間可。一般相談のコールセンターはフリーダイヤル(0120)567177。午前8時半〜午後9時(休日は同5時15分まで)。耳の不自由な人は、ファクス024(521)7926へ。

<市医師会 木村会長「対応先の差別許されない」>

いわき市では市医師会が、市内の医療機関に協力を依頼した。準備が整ったところから、順次受け入れを進めていく。運用に当たっては、他の外来患者と接触しないよう、時間や空間を区切って来院してもらうことが多いという。受け入れに関するデータは関係者間で共有する。

市医師会の木村守和会長は「対応する診療所などに対して、差別は絶対にならない」と呼びかける。駐車場などで検体を採取するケースもあるといい、防護服を着用した医療従事者が目に留まる可能性もある。

「手を挙げてくれたところは、風評のリスクを背負いながら、地域に貢献してもらっている」と木村会長。「頑張っているんだな」とエールを送ってほしいと求める。引き続きマスクの着用や、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、手洗いの徹底を通じ、感染のリスクを低減してほしいと話した。

イラストは、相談・受診の流れ(クリックで拡大)

■末続駅改札外に「ウッドデッキ」 JRが快適な駅利用狙いに

駅利用者に安心して、快適に無人駅を活用してもらおうと、JR東日本水戸支社は、久之浜町のJR末続駅の改札外南側にウッドデッキを設置した。同支社によると、同事業は無人駅利活用推進の一環。9月上旬から除草や整地をし、玉砂利などを敷いて、2週間ほどで設置し、ホーム柵も改修した。

ウッドデッキは縦2・7メートル、幅4・5メートル。大人3人程度が一度に利用できるという。駅利用者のほか、地区民や観光客も憩いの場として活用できる。眼下に広がる太平洋を眺めながら、6月には駅周辺を彩るツツジ、7月には満開のアジサイが楽しめるという。

このほか同支社では、楢葉町のJヴィレッジ駅のホーム階段に、サッカーをモチーフにした躍動感あるアートをデザイン。ホーム照明はサッカー日本代表の“サムライブルー”をイメージし、ブルー照明を採用した。

写真は、JR末続駅に設置されたウッドデッキ(クリックで拡大)

■泉ケ丘・ギャラリーいわき 小板橋さん日本画展 8日まで

いわきにゆかりのある茨城県北茨城市在住の日本画家、小板橋弘さん(60)の日本画展が8日まで、泉ケ丘二丁目のギャラリーいわきで開かれている。小板橋さんは栃木県宇都宮市生まれ。平成2年に川前町へ移住するとともに、本格的に日本画へ着手した。

平成4年にギャラリーいわきで初の個展を開いてからは、B・N21展で茨城県教育長賞、サロン・ナシオナル・ボザール展でフランス功労賞芸術部門メダイユ・ダルシャン受賞、茨城県天心記念五浦美術館への出展など各地で活躍。今年9月には市立美術館で「ニューアートシーン・イン・いわき 小板橋弘展」が開かれたことが記憶に新しい。

同ギャラリーでの個展は2年ぶり14回目。小板橋さんの作品は身近な里山、そして自身もサーファーとして若いころより愛してきた海をモチーフに、情景の空気感を大切にした淡く繊細な色使いが特徴。今展では、時間や気象でさまざまな表情をみせる海の日本画を中心に、パステル画を含めて28点を出品した。

小板橋さんは「自分の生き様を紹介するつもりで描いたので、ぜひ見に来てほしい」と来場を呼びかけている。展示時間は午前11時から午後7時で、期間中は小板橋さんが在廊している。問い合わせは、同ギャラリー= 電話(56)0264=まで。

写真は、2年ぶりに個展を開催中の小板橋さん=5日(クリックで拡大)