2020年10月12日(月)

■東日本台風から1年 市主催の追悼式 天国の母へ「落ち着いたから安心してね」

昨年10月12日から13日にかけて、いわき地方などを直撃した東日本台風から1年。市内での犠牲者13人(溺死8人、災害関連死4人、救助時の墜落死1人)に哀悼の意をささげる「令和元年東日本台風追悼式」が12日午前、いわき芸術文化交流館「アリオス」音楽小ホールでしめやかに営まれた。

遺族をはじめ、清水市長、大峯英之市議会議長、市議、主な被害地区の平下平窪の各行政嘱託員(区長)ら合わせて50人が参列した。全員で犠牲者に黙とうしたあと、祭壇に向かい清水市長が「犠牲になられた方々のごめい福を祈り尊い人命、貴重な財産が再び失われることがないよう、災害対策に取り組んでいきたい」と式辞を述べた。

追悼式には、平下平窪の実家が浸水被害に見舞われ、100歳だった母・大内寿美子さんを亡くした、長女・横山理恵子さん=福島市=と、二女・鈴木良子さん=小川町=も参列した。式後、報道機関の取材に応じた鈴木さんは、「この1年間は心身ともに疲れたが、多くの方の支援に感謝しています。母には『落ち着いたから安心してね』と伝えた」と話し、「行政には、災害の際には迅速で正確な情報提供をお願いしたい」と切実な表情を見せた。

写真は、東日本台風の市主催追悼式=12日(クリックで拡大)

■平下平窪地区 住民代表らが夏井川の復旧状況探る

東日本台風から1年を迎えるのに合わせ、全世帯の9割近くとなる1860世帯が浸水被害に遭った平下平窪地区の行政区「平第31区」では11日、現地調査と防災説明会を開催した。佐藤将文区長(75)をはじめ、住民たちが台風の教訓から防災意識の共有を図り、防災・減災に強い地域づくりに向けて“災害に備えるための第一歩”を踏み出した。

市によると、平下平窪地区では昨年4月現在、2124世帯・4527人が暮らしていたが、東日本台風で1860世帯・2670人が浸水被害に遭い、今年4月の段階で354世帯・734人が転出するなど、深刻な状況が続いている。

現地調査には、佐藤区長や地区役員をはじめ、約30人が参加し、県災害対策課と県いわき建設事務所、市危機管理、河川両課の職員から説明を受けた。台風では、平下平窪の夏井川で四左エ門内と中島、大念仏地内の3カ所が決壊しており、参加者たちはこのうち四左エ門内を訪れ、復旧工事の進ちょく状況などを把握した。

夏井川では、新川合流点―小川町両郡橋付近の14・9キロで、今年6月から掘削工事や伐木が進められており、完工後(令和5年度予定)は東日本台風と同程度の豪雨を防ぐ機能が備わる。

佐藤区長は「(水害から1年は)長いようで短くあっという間だった」と振り返り、「安心が確保できて安心できるよう、再建・復興に全力を尽くしたい。高齢者や障がい者含め、早めの避難を呼びかけ、隣近所目配り気配り助け合っていくことが1番大事」と声を大きくした。同地区では今後も市を通して県や国に要望書を提出し、再建に向けて歩みを進める。

写真は、台風時に決壊した夏井川の四左エ門内で、工事の進ちょく状況などの説明を受ける参加者ら=11日(クリックで拡大)

■市勿来関文学歴史館 刀剣の魅力伝えるギャラリートーク

勿来町関田の市勿来関文学歴史館で11日、企画展「刀・刀・刀〜いわきの刀剣〜」に合わせ、ギャラリートークが開かれた。同館学芸員の渡辺千春さんが案内役を務め、いわきの刀匠が手がけた刀剣の魅力を解説した。

ギャラリートークには市民ら約25人が参加し、渡辺さんは展示された7振りのうち、江戸時代中期の刀匠で、磐城平藩の根本和泉守国虎の作品について、「内藤家の力によって、身のしまった鉄が使われている」と説明。国虎が官名や菊の紋が許されている点から、内藤家の庇護を受けた優れた刀匠だったと推察されると述べた。

参加した人からは質問が相次ぎ、刀剣に対する関心の高さがうかがわれた。ギャラリートークは11月8日にも開催される。時間は午後2時から。参加無料(入館料別途)。

写真は、企画展に合わせて行われたギャラリートーク=11日(クリックで拡大)

■新「立憲」の県連結成 福島5区の候補者は月内にも発表か

新たな「立憲民主党」の県連結成大会が10日午後、郡山市のホテルハマツで開かれた。県連代表に金子恵美衆院議員(福島1区)が決定し、党勢拡大などを盛り込んだ活動方針を承認した。

結成大会には県内の自治体議員ら約60人が出席し、金子代表が「3年前は少し違った道を歩んだが、県連をまとめ上げ大きな塊をつくり、福島復興の先頭に立っていく」とあいさつ。旧立憲民主、旧国民民主の両党に加え、無所属の議員が結集し、政権を担える二大政党が実現する重要性を強調した。

県連執行部の役員も決まり、本市関係では古市三久県議が副代表、鈴木さおり市議が常任幹事兼女性局長、鳥居作弥前県議が常任幹事となったほか、吉田泉元衆院議員が顧問に就いた。県連が正式に発足したことに伴い、衆院福島5区(いわき市、双葉郡)の総支部も近いうちに設立するという。

福島5区は党所属議員が不在の空白区だが、総支部長を兼ねる次期衆院選の候補者について、常任顧問の玄葉光一郎衆院議員(福島3区)は「出たいという方はいるが、党本部との調整もあり、どこかで判断する」と明言を避けた。ただ関係者はいわき民報社の取材に対し、10月中にも発表する見通しを明らかにした。

写真は、ガンバロー三唱を行う県連役員ら=10日(クリックで拡大)