2020年10月2日(金)

■地域史研究家・小宅さん 本紙連載から近・現代史書発刊 五十音順まとめた第一弾

元市立いわき総合図書館長で、いわき地域学會幹事などを務める地域史研究家・小宅幸一さん(68)=錦町=は、研究フィールドとしている本市の近、現代史を独自の視点でまとめた「いわき発・歳月からの伝言(1)あ〜お」(歴史春秋社発行)を2日付で発刊した。

ネットの隆盛に伴い、若者を中心に“今”を最優先にし過去に学ぶという意識が薄れつつある中、小宅さんは「あえてアナログで体系付けることが、いわきの過去と未来を結ぶ“今”を意識するきっかけとなるのでは」との思いを同書に込めた。

小宅さんは市職員時代に市制施行50周年記念誌の出版をはじめ、近代、現代史に関わる数多くの執筆に携わり、個人でもいわき民報ふるさと出版文化賞特別賞を受賞した「いわき発・鮫川折々紀行」などを次々出版。退職後も地域史研究家として医療創生大で教鞭を執るなど、精力的に活動している。

著書「いわき発・歳月からの伝言」のベースとなったのは、平成12年1月から1年間、本紙で連載した「歳月からの伝言〜記憶の隅に生きる20世紀〜」。明治34年から平成12年まで百年に及ぶ、いわきの歴史を「全国の中の一地方」という“くくり”で、身近な生活様式や風習、文化・芸術などを多様な視点で取り上げた。

同書ではあいうえお順で、マクロからミクロの視点で本市に残る事象、さまざまな日常風景を切り取っており、例えば「アーケード」の項目では、その発祥から平商店街のアーケードを紹介。やがて電線類を地下に埋設する工事が進んだことによりアーケードの撤去が進むという変遷が、いわき民報などの資料を参考にしつつ、懐かしい写真とともに綴られている。

小宅さんは同書を通じ、「これまでの集大成。『“今”を生きているということは何なのか』、地元の歴史を体系的に見るための教材として役立ててほしい」と語る。全項目は「わ」まで約3百項目に及び、すでに執筆は終えているという。今後、レイアウトなどの詳細を詰めて順次出版していく予定だ。5百部発行し、価格は3千円(税別)。市内各書店で取り扱っている。

写真は、著書を手にする小宅さん(クリックで拡大)

■クレハ 東京から錦町に研究拠点移転 機能強化など図る

化学メーカーのクレハ(本社・東京都中央区)は1日、いわき事業所など主力工場を構える錦町に、東京都新宿区の本社別館から「安全性研究・評価センター」「医療材料研究所」を移転した。機能強化と組織間の連携を図ることが目的で、いわき事業所が一体となって、クレハが得意とする高機能樹脂を活用し、医療用途での開発などを進めていく。

移転は東京都新宿区の研究拠点が老朽化したためで、用途制限から建て替えが難しく、市からの要請もあって決定した。本社機能の一部移転となり、県の認可を受けた事業として課税特例が受けられるほか、市の奨励金も適用される。元の土地・建物は売却する。

いずれも、いわき事業所が立つ社有地を活用し、プロセス開発棟1階をメインフロアとし、中央研究棟2階に執務スペース、KKR新館の一部に評価室を設けている。広さは延べ約1300平方メートル。東京からは従業員20人が移った。

写真は、メインフロアのプロセス開発棟。奥は執務スペースがある中央研究棟=1日(クリックで拡大)

■あす本社旗懸けた中学新人ソフト開幕 9校・7チーム出場

第50回いわき民報社旗争奪市中学校新人ソフトボール大会( 市ソフトボール協会、市中体連、いわき民報社主催)が3、4日、新舞子多目的運動場で開かれる。大会は「中央台南・植田」「平三・好間」の連合チームを含む9校・7チームが出場。藤間が第1シード、泉が第2同に分かれ、トーナメントで優勝を争う。

初日の3日は1、2回戦5試合、敗者復活戦1試合を実施。最終日の4日は決勝と3位決定トーナメントを行う。決勝は午前11時試合開始予定。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、開始式は実施せず、第1試合は午前9時から、第2同は同11時から行う。上位3校は24、25の両日、同会場で開かれる県大会に出場する。

<黒獅子旗目指す野球は最終日>

いわき民報社黒獅子旗争奪第55回市中学校新人軟式野球競技大会(市中体連、市教委、いわき民報社など主催)は最終日の3日、平野球場で準決勝2試合と決勝が行われる。準決勝第1試合(午前9時開始予定)で中央台北と平二が対戦。第2試合(同11時同)で磐崎と小名浜一が激突する。決勝は午後1時半開始予定。

■きのう夜 中秋の名月 勿来発電所では煙突と共演

旧暦8月15日にあたる1日は「中秋の名月」。今年のいわき地方の夜は雲がほとんどなく、ほぼ真ん丸となった黄色く輝く月が姿を現した。佐糠町の常磐共同火力勿来発電所では、高さ約200メートルの煙突と月が共演した。

煙突は「勿来ゆめライト」と銘打ち、夜間のライトアップを展開しているが、この日は「交通事故ゼロ・歩行者優先の日」に合わせ、信号機カラーの赤、黄、青などに彩られ、月とのコントラストが際立った。

写真は、煙突の横から顔をのぞかせた中秋の名月=1日(2枚の写真の重ね合わせ=クリックで拡大)