2020年9月30日(水)

■いわき駅北口再開発は直結の病院誘致へ 地上7階建て・200床想定

市とJR東日本は包括連携協定に基づき、計画を進めている、いわき駅北口の再開発で誘致を検討している病院について、駅直結型とする方向で整備を進めていることが29日、分かった。同日夜、いわき産業創造館で開かれた都市計画の変更などの説明会で明らかにした。

病院は地上7階建て、病床規模は200床を想定。同社は既存施設の老朽化などで移転を考えている病院の誘致を進める。用地地域の変更後、来年度以降、設計などに着手し、令和7年度までの完成を予定している。説明会は、地区住民ら約70人が聴講。市、同社の担当者が今後のスケジュールや概要などを説明した。

市と同社はI期、II期の2段階で開発を進める。I期開発では病院の誘致と駐車場の整備が主事業となる。病院は敷地面積約3900平方メートル、延べ床面積約1万4600平方メートルを想定している。駐車場は病院東側に整備。敷地面積は約5100平方メートルで病院利用者のほか、一般にも時間貸しする。さらに周辺の北側道路は区画線整備や標識などを設置し、安全性を確保する考え。

同社によると、2階部分に玄関口を設け、駅とデッキで直結。通勤・通学などの駅利用者や、自家用車などがないお年寄りなどの利便性向上を目指す。II期開発はI期開発の動向を見て、道路の拡幅など地区住民らの意見などを反映しながら、社会情勢や必要性に応じ、10年後の整備を目指す。

地図は、市とJR東日本が進めるいわき駅北口の計画(クリックで拡大)

■いわき市の基準地価 住宅地8年ぶり減 台風影響

国土交通省は29日午後、令和2年の基準地価(7月1日時点)を公表した。いわき市は73地点が対象となり、平均変動率は住宅地0・2%減(前年比0・5ポイント減)の8年ぶりにマイナス、商業地0・3%増(同0・7ポイント増)で8年連続のプラスになった。特に住宅地は、昨年の東日本台風等の影響で浸水被害の生じた地域で地価が下落している。

県によると、住宅地に関しては、上昇87地点(前年142地点)、横ばい66地点(同65地点)、下落220地点(同170地点)となり下落地点が全体の約6割と半分以上を占めるのは、平成25年以来7年ぶりになる。下落率順位では、背景に昨年の東日本台風等の影響によるものが上位を占めた。このうち、下落率3位の「いわき市平下平窪三丁目4の5」(前年比8・1%減)は全国でも9位となった。

いわき市の内訳は住宅地58地点、宅地見込み地2地点、商業地11地点、工業地2地点。最高価格は、住宅地が県内4位となる「平字作町三丁目1の16」の1平方メートル当たり7万9800円(前年比200円減)、商業地が「平字小太郎町2の6(いわきフコク生命ビル)」の1平方メートル当たり10万円(同1500円増)。

写真は、商業地で市内最高価格となった「いわきフコク生命ビル」=30日(クリックで拡大)

■来年4月目標に本格操業議論 県漁連 年明けにも大枠を

東京電力福島第一原発事故に伴い、本県沖で続けている試験操業について、県漁業協同組合連合会(県漁連)は来年4月1日の再開を目標に、本格操業の議論を進めていく方針を決定した。県漁連の組合長会が29日、中央台飯野の県水産会館で開かれ、この方針を承認した。震災・原発事故から10年を控え、本県漁業は大きな節目を迎える。

県漁連によると、一度に本格操業に移行するには課題も多いことから、海域や魚種を限って始めることも考えられる。今後は県地域漁業復興協議会で、学識経験者や大手流通関係者の意見を聴きつつ、傘下の漁協ごとに判断を取りまとめしてもらい、年明けの組合長会で大枠を固めていく。

全体の水揚げ量は震災前の約14%にとどまっているが、本格操業による漁獲量増加も期待されている。さらなる流通に向けては、検査体制のあり方も含め、仲買人などと連携した風評対策も検討していくという。一方で、福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡る問題に関しては、漁業者の懸念となっているが、本格操業の議論とは別に考えていくとしている。

■あすからJRの浜街道キャンペーン 常磐線全通で魅力発信

JR東日本水戸支社は、浜通りを中心に復興エリアのPRと観光誘客を目的とした「浜街道復興応援キャンペーン」を10月1日から11月30日まで、市内をはじめとする浜通り各地で開催する。10月3日にはJRいわき駅南北自由通路や、南口広場前でオープニングイベント、セレモニーを開催。

また、本県にゆかりのある人気グループ「TOKIO」の城島茂さんをキャンペーンの復興応援大使に任命し、沿線の地域とともに盛り上げ、地域の魅力を発信していく。福島県・うつくしま浜街道観光推進会議後援。

キャンペーンは、3月14日に常磐線が全線で運転再開し、9年ぶりに首都圏と浜通り、仙台圏が繋(つな)がったことを機に、浜通りへの交流人口拡大を図るため企画された。浜通りをいわき、双葉、相馬エリアに分け、各エリアの主要な駅などに地域の特徴を生かした“謎”を設置し、謎を解きながら楽しめるラリーイベント「浜街道謎解き 歴史街歩き」などを開催する。

いわき駅でのセレモニーでは、常磐湯本町のフラ女将、磐城高吹奏楽部などによるステージイベントが披露されるほか、鉄道グッズの販売や物産展なども予定されている。常磐線特急券(いわき発着)をプレゼント窓口に提示すると、先着500人に「復刻 常磐線なつかしの駅名スタンプ」シールを贈呈する。キャンペーンの詳細は<こちら>。

図は、城島さんを起用したPRポスター=JR東日本水戸支社提供(クリックで拡大)