2020年9月10日(木)

■東日本台風の教訓生かせ 遠野地区で消防・福祉が連携の検討委員会

昨秋の東日本大風の被災を教訓にした、常磐消防署遠野分遣所(平本浩二所長)の「豪雨時の福祉施設災害対策検討会」が9日、市遠野支所で開かれた。遠野地区では鮫川が決壊して同町滝・川原地区一帯が浸水。老人ホームでは職員と入所者が取り残され、危うく甚大な被害が生じる可能性があったことから、同分遣所では万が一の際に官民で連携を取ろうと、対応策を協議した。

検討会には、遠野地区の6つの福祉施設から職員10人が出席した。はじめに遠野分遣所員が防災講話を行い、九州北部地方に甚大な被害をもたらした7月豪雨で、14人もの高齢者が犠牲となった熊本県球磨郡球磨村の特別養護老人ホームを取り上げた。

所員は概要を紹介しながら、「計画で定められた避難基準が生かされなかった」「河川近くにもかかわらず、浸水を想定していなかった」などと問題点を指摘。出席者たちは所員を交えながら、それぞれの施設の避難基準や職員体制について状況を確認したほか、要支援者に向けた福祉避難所の設置についても話し合い、「行政の情報を基に早めの避難行動を徹底する必要性がある」との認識を共有化した。

平本所長は「今年も規模の大きい台風が、いわきに来ることが予想される。台風からどう身を守るか、事前に施設と情報を共有することは意義深い。今後も意思疎通を密にしていく」と検討会の意義を語り、出席者に理解と協力を呼び掛けた。

写真は、消防と福祉施設が連携した災害対策検討会=9日(クリックで拡大)

■石塚町のエモーション コロナ禍に元気与える演奏会

石塚町の音楽教室「エモーション」の設立20周年を記念した「アニバーサリーコンサート」が22日、いわき芸術文化交流館「アリオス」中劇場で開かれる。新型コロナウイルス感染症の影響により公演や発表会の中止や延期が相次ぎ、主催者に限らず音響、照明、舞台美術など音楽業界全般が疲弊する中、少しでも元気を与える場になればと企画。代表取締役の鈴木恵さん(47)は「業界の希望につながるコンサートとなれば」と語り、多くの来場を呼び掛けている。

エモーションは、ピアノ・電子オルガンを指導する傍ら、葬祭場での生演奏依頼も行っている。生演奏は「セレモニー演奏」と呼ばれ、故人が生前好きだった楽曲を奏でるが、依頼から本番まで数日しかない中でジャンルを問わず準備するため、時に楽譜の書き起こしを余儀なくされる。

そうした苦労もあるが、思い出の曲で送りたいと願う遺族の意向をかなえる専門性は評判を呼び、平成26年に法人化。コロナ禍により音楽業界の危機が叫ばれているが、セレモニー演奏については葬儀そのものは縮小して開かれているため、それほど影響はないという。

音楽教室としては、新型コロナによる緊急事態宣言の際も、リモートによる指導を続けたが、演奏会に付随する業者、音楽に限らず花屋や弁当屋などは経営難に直面。さらに感染症対策で客席数は半減されるなど、業界を取り巻く環境は厳しく見通しが立っていない。

開演は午後3時(開場は同2時半)。入場料は1500円(アリオスチケットセンターまたは同社で取り扱い中)。問い合わせは、同社=電話(62)8886=まで。

写真は、出演する鈴木さん(右)と田代朝子、小林麻紀さん(クリックで拡大)

■秋季東北地区高校野球県大会 あす開幕 いわき勢は5校出場

第72回秋季東北地区高校野球県大会が11日、いわきグリーンスタジアムなど県内3球場で開幕する。県内6支部の予選を勝ち抜いた23校と支部予選免除の磐城、聖光学院を加えた25校が出場。秋の県タイトルと東北切符をかけ、トーナメントで激突する。

大会は支部予選と同様、原則無観客で実施。選手1人の保護者(2人まで)と控え選手のみ観戦を認める。いわき勢は支部優勝校の東日大昌平、準優勝校の磐城桜が丘、代表決定戦を制したいわき光洋、湯本と支部予選免除の磐城の5校が出場する。

写真は、開幕試合で激突するいわき光洋と磐城から。小松(左)、佐藤主将の背番号1同士の対決にも注目だ(クリックで拡大)

■小名浜港でヒアリ調査 環境省 大剣ふ頭にわな設置

環境省は9日、小名浜港大剣ふ頭のコンテナヤードと周辺の緑地帯にベイト(誘引剤)トラップを200個設置し、強い毒性を持つ特定外来生物「ヒアリ」と「アカカミアリ」の侵入状況を調査した。

環境省は、平成29年度に日本で2匹の特定外来生物を発見して以来、中国、台湾の定期コンテナ航路を持つ全国65港を対象に調査を行っており、日中韓航路が週2便運航中の小名浜港でも毎年2、3回実施されている。今年の調査は2回目で、前回7月の調査では、2種とも確認されなかった。

調査には環境省から委託を受けた総合環境計画=東京都江東区=の専門業者、小名浜港湾建設事務所の職員6人が参加。誘引剤としてスナック菓子を仕掛け、群がってきたアリから疑わしいものを目視で確認し、アルコール漬けにした。今後はアルコール漬けにしたアリを専門業者が解析し、2〜3週間後に県が調査結果を報告する予定。

写真は、スナック菓子を設置する専門業者=9日(クリックで拡大)