2020年9月8日(火)

■磐城平城の本丸御殿遺構見つかる 全国的に珍しい保存状態 9月下旬に一般公開へ

令和3年度の供用開始に向けて、整備が進むJRいわき駅北側の「(仮称)磐城平城・城跡公園」体験学習施設建設予定地から、戊辰戦争で焼失した旧磐城平藩の本丸御殿跡の一部とみられる遺構が見つかった。これまでの調査で、礎石のほか、十数箱にも及ぶ肥前磁器などの器類、攻防戦で使用された大砲の砲弾などの遺物が確認されている。本殿のどの部分かは明らかとなってはいないが、専門家によると、基礎構造などが壊されずに残っているのは全国的にも珍しいという。

市では公園の整備を進めるため、文化財保護法に基づき、6月から発掘調査を続けている。本殿御殿を示す絵図などは数多く確認されているが、今回の貴重な礎石は本殿のどこに位置するか判明しておらず、市では正確な場所の特定を進めている段階だ。

日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会の北海道・東北地区連絡会幹事を務める、福島大の菊地芳朗教授(54)は「(上部の構造物が残っていない)全国の城跡を見渡しても、本丸御殿の様子が分かる保存状態の良い遺構はそうない」と評価。現地の調査・解析を徹底して進め、保存の仕方によっては本市の“宝”として国、県指定史跡への道のりは決して不可能ではない、と強調する。

地元研究者は今回の発見を注視し、いわき歴史文化研究会代表の小野一雄さん(77)は「藩士が敗走の際に倉を焼き、御殿に延焼したのか。落城の際の状況を生々しく伝える貴重な遺構であることは間違いない」と心躍らせ、磐城平藩安藤家家臣の子孫らで作る平安会の松村耕三会長(72)は「各史学会、歴史会と行動を同じくしていきたい」と期待を込める。

市では貴重な遺構の発見を受け、公園整備について従来の土壌改良では遺構が破壊されてしまうため、遺構面を保存したまま30センチほど土盛りし、その上に体験学習施設を建設する方向で検討を進めている。また、9月下旬には一般向けの現地説明会を行う予定で、市井の声なども反映させながら方向性を模索していく方針だ。

写真は、磐城平城跡の発掘現場。青い文様の呉須が特徴の古伊万里(左下囲み)などが見つかっている=市提供(クリックで拡大)

■市内外50社のPRがウェブで 説明会の様子配信中

WEB上で催された、市主催「2020 WEB de 合同企業面接会 inいわき」が現在、見逃し配信を行っている。公開企業は50社で来年3月卒業予定の大学生、一般求職者に自社の概要を動画で紹介している。配信は、キャリア支援機構ホームページ<こちら>まで。配信期間は来年2月28日まで。問い合わせは、同支援機構=電話(84)8610=へ。

写真は、企業説明会の見逃し配信動画より(クリックで拡大)

■アートスペース泉 金題材の絵画・彫刻など60点展示

アートスペース泉(青木京子代表)の開廊13周年を記念したグループ展「オーロ遊び展」が27日まで、泉町二丁目の同スペースで開かれている。いわき民報社などの後援。同展は国内では珍しい「金」をテーマにした作品展で、名前には金を意味するイタリア語の「オーロ」が入れられている。

イタリアの技法「黄金背景テンペラ画」を日本に広めた第一人者で、市立美術館長を務めた平出身の画家田口安男さんを中心に、田口さんの教え子や交流のある作家が手掛けた金箔(きんぱく)を多種多様に活用した作品が飾られている。

今回は田口さんをはじめ、好間町榊小屋の画家峰丘さん、第49回市美展絵画・彫塑の部で市長賞を受賞した中塚将大さん、全国創作人形家百選にも選ばれている志賀葉月さんなど、青森から沖縄の作家38人が手掛けた油絵、アクリル画、彫刻、妖怪アマビエの疫病退散を願ったレリーフなど約60点を展示した。

展示作品は、物体や模様、背景などさまざまな金の遊びが表現されており、青木代表は「金箔の面白い使い方を見てほしい」と来場を呼び掛けている。開廊時間は午前10時半〜午後5時(最終日は同4時)。休廊日は21、22日。問い合わせは、同ギャラリー=電話(56)9101=まで。

写真は、アートスペース泉で始まったオーロ遊び展=7日(クリックで拡大)

■本市発 ダンスボーカルユニット「メヒカリウォーカーズ」誕生 地元愛前面に

音楽やダンスで、市の魚メヒカリをはじめ“常磐もの”の魅力を発信するダンスボーカルユニット「メヒカリウォーカーズ(MWZ)」。ご当地ヒップホップユニット「メヒカリボーイズ」を率いる、小名浜出身のミュージシャンDAZU―O(ダズオー)さん(37)が総合プロデューサーを務め、オーディションが8月30日、平字大工町のライブハウス「クラブソニックいわき」で開かれた。

オーディションには市内から51人の応募があり、書類審査で28人を選出。面接で意気込み、ユニット結成の背景などを理解しているかを確認し、ユニットの講師を務めるシンガーソングライターHI―D(ハイディー)さん、ダンサーMISUZUさんの協力で、デビュー曲の歌唱や、ブルーノ・マーズ「Finesse」に合わせたダンスの審査を行った。

8時間にわたる審査の末、合格者9人を決定。ダズオーさんは「忘れていけないのは地元愛といわき市を盛り上げる思い。有名になっていわき市に興味を持ってもらえるよう海外まで持って行きましょう」と合格者にエールを送った。今後は11月3日の配信ライブに向けて、13日から練習を開始する予定。

合格者は次の通り。▽鈴木麗乃(小学4年)▽森純恋(中学3年)▽片寄琉菜(高校2年)▽大越凜音(中学2年)▽荒川優海(中学2年)▽遠藤迅(会社員)▽玉川拓海(専門学生)▽佐藤舞依(小学6年)▽野木芽好(小学6年)

写真は、ダズオーさん(後列中央)と講師陣、合格したメヒカリウォーカーズのメンバーたち(クリックで拡大)