2020年8月1日(土)

■クレハ 市村産業賞・貢献賞に輝く 「スーパープラスチック」の可能性広げる

錦町のいわき事業所に生産拠点を置く、クレハ(本社・東京都中央区、小林豊代表取締役社長)が高機能樹脂を量産化し、新市場を切り抜いたとして、第52回市村産業賞の「貢献賞」に輝いた。同社が同賞を受賞するのは今回初。同社は本市へのこれまでの感謝の意などを込め、市に貢献賞の副賞の300万円全額を寄付した。浄財は新型コロナウイルス感染症対策のために役立たれる。

市村産業賞は、リコー三愛グループ創始者の故市村清氏が昭和38(1963)年、紺綬褒章受章を記念して創設した「市村清新技術財団」が主催。日本の科学技術の進歩、産業発展に顕著な成果を上げ、産業分野の進展に多大な貢献・功績のあった個人、団体、企業などに贈られる。

受賞テーマは「高分子量ポリグリコール酸の製造技術開発と新市場開拓」。総指揮を執った佐藤浩幸・研究開発本部長によると、高分子量ポリグリコール酸(PGA)は、同社の主力商品の台所用品「クレラップ」よりもガスや水蒸気を通しにくく、土壌や海中で水と二酸化炭素に分解する“スーパープラスチック”だ。

1930年代、米国の他社が医療用品の手術用吸収性縫合糸として開発したが、高コストのため、量産化を断念。クレハは量産化に向け、研究に着手。年産4千トン規模を生産する商業プラントを稼働し、世界初の量産化技術に成功した。

同社によると、プラント拡張によりコスト削減が図られ、さらなる量産化が進めば、飲料水のペットボトルなどの材料にも使え、環境に優しい高機能素材として注目されている。小林社長は「マザー工場を置くいわきで磨いた技術で、いわき、福島、世界に役立つ商品を作っていきたい」とさらなる飛躍を誓っていた。

写真は、清水市長に浄財を手渡す小林社長(右)(クリックで拡大)

■高校野球 東日大昌平 2年連続で8強に名乗り

福島2020夏季高校野球大会( 県高野連主催)は大会7日目の1日から後半戦に入り、県内4球場で4回戦8試合が行われた。いわきグリーンスタジアムの第1試合では、第4シードの東日大昌平が郡山と対戦し、公式戦初先発の矢板裕大(2年)が3安打6奪三振の好投で5―0の完封勝利を飾り、2年連続で8強入りを決めた。

同スタジアムの第2試合では、第2シードの磐城と学法石川が激突し、4−2で勝利。郡山市のヨーク開成山スタジアムの第2試合では、いわき海星が郡山商業と対戦し、1−4で敗れた。準々決勝の球場と日程などは4回戦の全試合終了後に決定する。(本紙に加え、午後の結果を追記しました)

写真は、4回戦・東日大昌平―郡山戦。東日大昌平は四回、相手守備の乱れを突き、二走・松谷慧汰が三塁をけり、本塁に生還するなど一挙4点を奪う=1日(クリックで拡大)

■水防信号サイレン初めて吹鳴 きょう市情報伝達訓練

市民の迅速な避難を促す「市情報伝達訓練」が1日午前、市内全域で一斉に行われた。午前中は2回にわたり、防災行政無線やFMラジオの割り込み放送、エリアメール・防災メール、ホームページなどで気象情報や避難情報を一斉に発信した。

今回はさらに各地で頻発する大雨や集中豪雨、大型台風への準備を徹底するため、市内13カ所の全消防署と162か所の全消防団詰所で初めて、水防信号によるサイレンを吹鳴する訓練も展開した。

平薄磯にある市消防団第1支団第7分団(鈴木伸也分団長)の詰所では、団員5人が朝から訓練の事前広報を行い、定められた方法でサイレンを鳴らした。団員たちは実際のサイレンの音の大きさや長さ、響き方を確認し、真剣な表情で有事に備えていた。

写真は、水防信号のサイレンを鳴らす消防団員=1日(クリックで拡大)

■県LPガス協会いわき支部に保安依頼 市消防本部

郡山市の飲食チェーン店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で7月30日に発生した爆発事故を受け、市消防本部(猪狩浩二消防長)は翌31日、県LPガス協会いわき支部(内郷御厩町)にガスの保安確保などを依頼した。

事故ではプロパンガスボンベ6本のうち3本が破損し、50歳の会社員男性が死亡、20〜80歳代の男女19人が重軽傷を負った。ガス漏れが原因とみられることから、市民がガスを正しく使用し安全を確保できるよう、同協会員からの注意喚起が必要と判断した。

写真は、市消防本部から手渡される依頼書=7月31日(クリックで拡大)