2020年5月21日(木)

■<新型コロナ>いわき市の公立小・中 きょうから分散登校など始まる 本格再開は6月1日に

4月19日以来、市内で新型コロナウイルスによる新たな感染者が確認されていないことから、いわき市は独自の感染防止一斉行動に伴って21日、市内の小・中学校で分散登校など段階的な授業の再開を行った。

このまま市内で感染がなければ、いよいよ6月1日から、約1カ月半ぶりの通常通りの授業が再開される。また、これまでの臨時休校に対する振り替え授業としては、夏休み期間中の7日程度、冬休み中の2日程度、土曜日の5日程度を予定している。

このうち湯本一中(小泉俊夫校長、生徒数275人)では、制服ではなく体操服姿で登校した生徒たちが、同日朝に各家庭で測った@体温Aせきの有無Bだるさや息苦しさ、鼻水など体調――の3点を記録した「健康観察表」を昇降口で待機する先生に見せてから教室に入り、クラス単位で午前の部、午後の部に分かれ、それぞれ3時間ずつ授業を行った。

写真は、登校時に先生に健康観察表を見せる湯本一中の生徒=21日(クリックで拡大)

■夏の甲子園中止に 監督・選手無念にじませ

日本高校野球連盟は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今夏の第102回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)と、全49代表(北海道、東京各2校)を決める47都道府県での地方大会を中止すると発表した。聖地に立つ大きな目標を失ったいわきの監督、選手らは決定を受け入れながらも、悔し涙を流し、無念さをにじませた。

<東日大昌平>昨夏第1シード 悲願の聖地は幻に

緊急事態宣言を受け、4月中旬以降、全体練習を自粛していた東日大昌平。持病で戦列を離れていた部員も保護者の許可を得て、チームに合流。112人の大所帯が約1カ月ぶりにようやく始動した。だが今夏、彼らが聖地に立つ夢すら幻となった。

悲願の甲子園出場に向けて、選手たちは自己管理を徹底。新型コロナで中止となった春のうっぷんをはらそうと、夏に向けて、体を鍛えてきた。久しぶりのユニホーム姿の教え子を見て、伊藤博康監督は「しっかりと体をつくってきたな」とほおを緩めた。

前回の101回大会では創部20年の節目に初の第1シードで参戦。悲願の甲子園出場は逃すも、堂々の4強入りを果たした。

昨夏、当時2年生で唯一、準決勝までの5試合すべて先発出場した小松大介主将(3年)は「去年の先輩たちがベスト4で負けて、借りを返そうと、この夏にかけて、(県の)てっぺんを取ってやろうと頑張ってきた。だが、それができなくなって残念」と肩を落とした。

写真は、小松主将(左)らに夏の甲子園中止を伝える東日大昌平の伊藤監督=20日(クリックで拡大)

<磐城>センバツに続く悲報 人生の糧と前向く

21世紀枠で春のセンバツ甲子園に出場予定だった磐城。夏は聖地への道すら絶たれた。今春、木村保前監督からチームを継ぎ、母校の指揮を執る渡辺純監督は中止の報を受け、「覚悟はしていたが、実際に受け止めるととてもショックだ」と唇を噛んだ。

発表前夜、渡辺監督は「明日決まっちゃうのか」と一睡もできなかった。一夜明け、運営委員会の発表を昼過ぎに確認。午後5時ごろ、渡辺監督はインターネット上で日本高野連から正式に発表された中止決定の文章を見て、すべてを受け入れた。

指揮官は岩間涼星主将(3年)に「ネットは見たか」と電話を掛けた。岩間主将は「なんとなく想像していた」と中止決定を受け入れ、「先のことが失われたのはショックだが、甲子園がすべてではない。今までの練習や、体験は無駄ではないし、これから先の人生の糧になると信じています」と涙ながらに語ったという。

チームの大黒柱の一字一句にもらい泣きし、「たくましいと思った」と渡辺監督。指揮官は2度も夢を絶たれながらも前を向く教え子たちのため、代替大会を希望する。

写真は、夏の甲子園中止決定を受け入れ、声を振り絞る磐城の渡辺監督=20日(クリックで拡大)

■市内公共施設も順次再開 伝承郷には巨大な「鍾馗」

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、休業・休園していた市内の公共施設が21日、段階的に再開を始めた。鹿島町下矢田の「市暮らしの伝承郷」は、4月18日から1カ月超の休業を経て、6月29日まで年中行事「端午の節句飾り」を開催している。期間中の6月25日は、旧暦の「5月5日」に当たることから、本来の季節感を感じてもらうため、この時期に実施した。

休憩コーナーには節句飾りを展示しており、特に「鍾馗」絵のぼりは縦9・4メートル、横2・5メートルと通常の3倍サイズ。古代中国の皇帝玄宗がマラリアにり患した際、夢に現れ病気を治したとされ、疫病退治などにご利益があると信仰を集めている。

先月、所有していた遠藤治幸さん(平)が同施設に寄贈したもので、昭和28年に久之浜町の西山染工で製作された。夏井芳徳館長は「感染防止には万全を期しています。立身出世、健康増進を願った端午の節句飾りや力強い鍾馗図をぜひ、ご覧ください」と来館を呼びかけている。

写真は、大きな「鍾馗」絵のぼりを前にする夏井館長=21日(クリックで拡大)