2020年5月6日(水)=休刊日

■三和町の差塩湿原「ミツガシワ」見頃に 氷河期の息吹きいまに伝える

三和町差塩字東作地内の「差塩湿原」では今、氷河期の生き残り植物(遺存植物)「ミツガシワ」がかれんな白い花を咲かせている。海抜500メートルの高地にある差塩湿原は面積約6千平方メートルあり、この地に湿原が形成されたのは、今から約2万年前の最後の氷河期までさかのぼるといわれる。

ここで咲くミツガシワやほとんど見られなくなったサギスゲ、ウメバチソウといった植物はかつて、氷河期の低地に広く分布していた。その後、地球が温暖化するにつれてこれらの植物が絶滅する中、変動する気候に適応し、尾瀬や雄国沼など涼しい高層湿原などで今日まで生きながらえてきた。

昭和61年に市の天然記念物に指定されているが、差塩湿原は慢性的に流入する水の量が少なくなり、乾燥化が進んで水辺の池塘(ちとう=湿原の池)は湿原全体の10分の1程度まで縮小。景観を損ねる葦(よし)が生い茂り、見学用の木道も年々腐食が進むなど、荒廃が心配されている。

写真は、見頃となった差塩湿原のミツガシワ(クリックで拡大)