2020年4月27日(月)

■<新型コロナ>頼れる「いわき商工会議所」 補助金・融資の案内で地域支える

新型コロナウイルスの感染拡大が、いわき市の経済に大きな影響を与える中で、いわき商工会議所(小野栄重会頭)が重要な役割を担っている。事業者の窮状を調査した上で、企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補助する「雇用調整助成金」はじめ、さまざまな補助金や融資制度を案内している。いわき商工会議所の担当者は「伴走型支援で、地域を守っていきたい」と語っている。

いわき商工会議所では4月から、雇用調整助成金の相談会を始めた。週2回のペースで、社会保険労務士が対応に当たるが、5月中旬まで予約で埋まっている。雇用調整助成金は中小企業の場合、通常は3分の2の助成率だが、新型コロナウイルスの状況を鑑み、3月から9割に拡充。さらに25日には、厚生労働省が10割に引き上げると発表した。

緊急事態宣言に基づく休業要請の対象となった中小企業が、従業員に賃金と同額の休業手当を支払う場合などには、全額を助成することにした(上限は1人当たり日額8330円)。

小規模事業者持続化補助金も紹介する。小規模事業者の販路拡大に使われるが、新型コロナウイルスの影響から、新たにテレワークの機材や、テイクアウト用のキッチンカーを導入したり、メニュー表を一新するのにも適用できる。補助額は対象経費の3分の2以内で、上限は50万円(条件によって100万円)だ。本年度は初回に、5件の新型コロナウイルス関係の申請が寄せられた。

また融資制度のうち、マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)には、新型コロナウイルス対策の特別枠がある。いわき商工会議所の会員であれば、いわき市から3年間、利子補給も受けられる。最近1カ月の売上高が前年、または前々年の同期比5%以上減の小規模事業者が対象。マル経融資の一般枠とは別に、1000万円まで借りられる。3月から50件近い問い合わせがあるという。

いずれの制度も複雑な部分もあるが、いわき商工会議所では丁寧に指導していく。担当者は「新型コロナウイルスが終息した後に、事業をV字回復させるため、私たちは寄り添っていく」と話す。問い合わせは、電話(25)9151まで。

<事業者の現状の把握と発信に努める>

いわき商工会議所では、49の会員企業から聞き取りを行ったところ、いずれの業界からも苦しい胸の内が寄せられた。宿泊業では「雇用の維持や資金繰りに影響が出ている」、観光業では「大幅な売り上げ減に」、飲食業では「人手の確保も困難に」と、どこもかしこも状況は厳しい。そうした声を行政にも届け続けている。

写真は、制度案内などに追われ、多忙ないわき商工会議所=27日(クリックで拡大)

■不要不急の外出自粛を 道路情報板で啓発中

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不要不急の外出自粛が求められる中、国土交通省東北地方整備局が管理する道路情報板でも、ドライバーに対する啓発活動が行われている。

いわき市平の磐城国道事務所では、市内や南相馬市の国道に設置する道路情報板に、「不要不急の外出は自粛ください」と表示している。また、いわき市勿来町や、新地町では県境に近いことから、「都道府県をまたぐ移動は自粛を」と伝えている。

一方で、新型コロナウイルスの影響がありながらも、生活必需品などを運送するトラックも行き交うため、いずれの場所でも「物流を支える皆様ありがとう」との言葉も送っている。なお道路情報板では、工事等の案内を優先している。

写真は、不要不急の外出自粛を求める道路情報板=26日、いわき市四倉町の国道6号(クリックで拡大)

■史上初のインターハイ中止 磐城一 春高バレーに望みつなぐ

全国高等学校体育連盟(全国高体連)は26日、オンラインで臨時理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、夏の全国高校総体(インターハイ)を中止すると決めた。昭和38年から毎年開催されてきたインターハイが中止になるのは初めて。

今夏に東北から九州の21府県で分散開催される予定だったインターハイ。全国舞台での活躍を夢見た3年生にとって、<高校最後の夏>が夢と消えた。市内の指導者の多くは「仕方がない」と全国高体連の判断を受け入れる。その一方、目標を失った教え子を憂い、落胆する声も漏れた。

2年ぶり3度目のインターハイ出場を目指していた磐城一バレーボール部は、緊急事態宣言の対象地域が全国拡大されたことに伴い、17日から学校での練習を自粛。生徒たちは自主練習での調整を余儀なくされている。

昨年春、一度はチームを離れた菊池洋勝監督が復帰。令和最初の年は県タイトルには届かなかったが、<優勝請負人>の指揮官の指導の下、ゼロからチームを再構築し、着実に力を付けてきた。

今春、新1年生12人が入部。中学生時代、全国舞台を経験した期待のルーキーも加わり、県頂点への返り咲きが期待されたが、3年生と挑む最後のインターハイ切符獲得への夢は消えた。だが、<春高バレー>の愛称で親しまれる「全日本バレーボール高校選手権大会」の開催の望みはある。

先ごろ、春高バレー予選のFTV杯争奪県高校バレーボール選抜優勝大会出場校を決める県総合体育大会(県総体)も中止が決定。本来、FTV杯は県総体の男女各8強が全国切符をかけて争うが、菊池監督をはじめ、関係者の多くは新型コロナウイルスの感染拡大の終息を待って、県内全校参加による春高予選を提案する。

「3年生が全国大会につながる試合に出られる機会を与えたい」と菊池監督。<高校スポーツの祭典>は消滅したが、チームカラーがオレンジ色のコートの妖精たちが5年ぶりに春高のコートに立つ日を信じ、選手たちと心を一つにした。

■GW初の日曜日も いわき市は閑散

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市内各地は26日、大型連休に入って最初の日曜日にもかかわらず、どこもかしこも閑散とした一日となった。「ステイホーム(家にいよう)」の合言葉の下、不要不急の外出自粛が求められており、いわき市も例外ではない。そうした様子を紙面で紹介したい。(本紙では市内5カ所を写真で伝えています)

写真は、夕方にもかかわらず、ひっそりと静まり返った平・本町通り。行き交う人の姿はなく、通りかかる車もあまりない=26日(クリックで拡大)