2020年4月24日(金)

■<新型コロナ>アリオス「動画配信」始める 自宅で楽しめる内容を 公演映像に新作も

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不要不急の外出自粛が求められる中、いわき芸術文化交流館「アリオス」は24日、自宅にいながら楽しめるオリジナル動画の配信企画「おうちでアリオス」を始める。市民の生活不活性化を防ぐことを目的に、音楽、ダンス、あそび、現代アートなど、いわきアリオスが所蔵するコンテンツに加え、関係するアーティストに協力してもらった新作も披露する。

いわきアリオスは平成20(2008)年の開館以来、主催事業にも力を入れ、市内の学校にアーティストを派遣する「おでかけアリオス」をはじめ、積極的に地域とのかかわりを持ってきた。だが新型コロナウイルスの感染広がりによって、臨時休館を余儀なくされている点を踏まえ、市民に少しでも<創造的な日常生活>を楽しんでもらおうと、新たに「おうちでアリオス」を考え出した。

第1弾の動画のうち、いわきアリオスの事業でもなじみ深いダンスユニット「んまつーポス」は、このためにつくった簡単にできるエクササイズを紹介。また、主催事業「あそび工房」からは、家で可能な段ボールを使った遊びを動画で解説するなど、初回から多彩な内容を用意した。

今後もこれまでの公演映像のほか、動画を通じたワークショップ、福島高専と連携した仮想現実(VR)を使った館内探検はじめ、全世代向けに充実のラインナップを計画している。配信は週1〜2回の予定となっている。詳しくは、いわきアリオスのホームページ<こちら>まで。

<文化芸術は心と体の健康を保つ生活必需品>

新型コロナウイルスの影響で、劇場も3つの密(密集・密着・密閉)のリスクが高いと言われており、いわきアリオスも公演が次々と中止や延期に追い込まれた。

そうした状況でも、いわきアリオスは公共ホールが果たす役割として、「自宅という日常空間でも、文化芸術はたくさんの彩りと創造の可能性を提供し、心と体の健康を保つために不可欠な『生活必需品』であると認識してほしい」と強く呼びかける。

もともと、いわきアリオスは本年度から、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」などを活用し、事業映像の発信を広報戦略として検討していた。「おうちでアリオス」の視聴状況を分析しながら、より市民に身近な存在を目指していく。

図は、「おうちでアリオス」のロゴ。世界の合言葉「ステイホーム(家にいよう)」にちなんでいる(クリックで拡大)

■サッカー天皇杯 異例の方式に どうなる県代表?

日本サッカー協会は23日、今季の「天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会」について、新型コロナウイルスの影響に伴い、9月16日開幕とした上で、出場は88チームから50チームに大幅削減し、都道府県代表などのほか、Jリーグからは、J1上位2チームが準決勝からのみとする異例の方針を固めた。J2、J3からは参加しない。Jリーグの日程消化を優先しての措置としている。5月の理事会で正式に決定する。

全国的に都道府県予選が縮小され、福島県はいわきFC(日本フットボールリーグ=JFL)と、福島ユナイテッドFC(J3)による決勝のみの予定だったが、新たな方針によって、福島ユナイテッドFCのエントリーはなくなった。

県サッカー協会の担当者は24日、いわき民報社の取材に対し、「福島ユナイテッドFC(が出られないこと)に関しては、日本サッカー協会の方針通りだが、いまはすべてが未定」と述べるにとどめた。

今季の天皇杯は100回の記念大会。1回戦は9月16日、都道府県代表32チームが参加。同23日の2回戦から、残りの都道府県代表15チームと、アマチュアシードのHondaFC(JFL)が加わる。3回戦は10月28日、4回戦は12月12、13日、準々決勝は同19、20日。準決勝の同27日、J1の上位2チームが参戦。決勝は来年1月1日、東京・国立競技場で行われる。

例年の天皇杯はJ1、J2クラブ、47都道府県代表などによって、日本一を決めるトーナメント。大正10(1921)年に第1回が開かれ、昭和43(1968)年度の第48回からは、元日決勝が正月の風物詩だ。大物食い(ジャイアントキリング)も見どころで、いわきFC(当時・県1部)が、北海道コンサドーレ札幌(J1)を破ったのは記憶に新しい。

■日本マラソンの草分け 山田敬蔵さん死去 いわき市とも縁深く

1953年ボストンマラソンで優勝し、日本マラソンの草分けとして活躍した山田敬蔵(やまだ・けいぞう)さんが2日に老衰のため亡くなったことが23日、分かった。92歳だった。葬儀、告別式は8日に近親者で行った。

秋田県大館市出身。日本が戦後初めて参加した1952年ヘルシンキ五輪男子マラソンで26位。翌年のボストンマラソンを当時の世界最高記録となる2時間18分51秒で制した。その後、距離不足が判明し、記録は抹消されたが、1メートル57と小柄な山田さんの力走は戦争の記憶が残る日本を勇気づけた。

80歳を過ぎてもこつこつと走り続け、生涯の走行距離は地球9周分の約36万キロになったことでも知られる。(読売新聞社配信)

<勿来の関マラソンに毎年出場>

山田さんは、いわき市とも縁が深いランナーだった。日本の「マラソンの父」と呼ばれた金栗四三さんに見いだされた縁もあり、東日本大震災直前の平成23年3月まで、錦町のクレハ総合グラウンド陸上競技場発着で行われた「『金栗杯』勿来の関マラソン大会」に計26回の出場を果たし、女子総合優勝の選手には「山田敬蔵杯」も贈られた。

写真は、勿来の関マラソン大会であいさつする山田さん=平成22年3月7日(クリックで拡大)

■市の業務 コロナシフト移行 在宅・分散勤務に時差出勤も

市は24日から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市役所の業務体制について、感染症対策を優先とし、その他は中断や休止、延期とした。また人と人との接触機会を減らすため、市職員も市民生活に必要な部門を除き、在宅勤務や分散勤務(他の公共施設での勤務)、時差出勤を実施することを決めた。

こうした点を踏まえ、市では必要不可欠な用事を除き、市役所本庁舎・支所・市民サービスセンター等への来庁は、極力控えるよう求めている。実施は当面の間。いわき市の事業者に対しても、有給休暇の取得や、人と人との接触機会を減らす職場環境づくりを要請している。