2020年4月18日(土)

■<新型コロナ>いわき市 新たに4人の感染者 小学生は市内で初めて

市は18日夕方、新型コロナウイルスの感染者が、いわき市で新たに4人確認されたと明らかにした。市内としては9〜12例目となる。清水市長が18日午後7時から、臨時記者会見を実施し、詳細を公表した。

市によると、感染者はいずれも、クラスターが生じた医薬品等を扱う「エーピーアイ コーポレーション(API)」のいわき工場(常磐三沢町)の関係者となっている。APIいわき工場に関連する感染は9人。

18日の4人のうち3人は、市内5例目で、APIいわき工場に勤務する10歳代男性(Aさん=仮名)の家族。Aさんの父の50歳代男性(Bさん=同)、母の40歳代女性(Cさん=同)、妹の10歳代の小学生女児(Dさん=同)。Bさんは錦町のクレハ環境に勤めている。Cさんは市内の団体で職員として働いている。いわき市で小学生の感染は初。もう1人は、APIいわき工場の30歳代男性(Eさん=同)。

B、C、DさんはAさんが16日に陽性と判明し、17日に帰国者・接触者外来を受診。18日にPCR検査の結果、陽性と分かった。B、Cさんはこれまで症状なし(帰国者・接触者外来の際の体温はそれぞれ36・8度、36・9度)。

Dさんは勿来一小の児童。4月6〜9、13、14日に登校している(10日は家庭の都合で欠席)。また6、7日に放課後児童クラブにも通っており、8日に顔を出した後は通所していない。発症後にはどちらにも行ってはおらず、市では他者への感染リスクは低いとしているが、周囲の子どもたちなどで、万が一体調に問題があれば、帰国者・接触者相談センター=電話(27)8596=に連絡を求めている。

症状としては、15日夜にのどのいがいががあり、16日には痰(たん)、鼻水があった。帰国者・接触者外来の時の体温は37・4度で、現在の病態は軽いという。B、C、Dさんいずれも、県内の感染症指定医療機関に入院している。

Eさんは14、16日に同僚が陽性となり、17日に帰国者・接触者外来に赴いた(体温は36・6度)。18日のPCR検査によって、陽性と分かった。症状は出ておらず、入院予定となっている。

【おことわり】感染者が複数のため、アルファベットで仮名表記しています。ご理解ください。

写真は、新型コロナウイルスについて記者会見をする清水市長=18日午後7時8分(クリックで拡大)

■「濃厚接触」と勝手に判断 児童半ば強制帰宅させる いわき市南部の小学校

いわき市南部地区の学童保育と幼児教室を利用する児童25人が、通っている小学校から登校後に半ば強制的に帰宅を促されるという事案が17日に相次いだことが、いわき民報社の取材で分かった。学童保育は、新型コロナウイルスに感染した男性のきょうだいが利用しており、関係者によると方部校長会が判断した。市教委では一切通達は出しておらず、学童保育と幼児教室を運営する50歳代の責任者は「児童同士の差別やいじめにつながる恐れがあり、配慮に極めて欠ける」と憤りの声を上げている。

いわき市南部地区で学童保育、幼児教室を運営する責任者によると、学童保育と幼児教室を利用し、同地区の小学校5校に通う複数の児童が今回、登校後に半ば強制的に帰宅を促されるなどの事案が相次いだ。

当該校のうちの1校の校長は「学童や教室に通う子が複数校いることを知り、感染拡大防止の観点から方部校長会で決めた。当校では家族に連絡をして迎えに来てもらった」と児童たちの安全に配慮した対応だったと説明。「人権に十分配慮するよう教員を指導した」と説明するが、中には登校した児童を校長室に隔離したり、担任から「お子さんは濃厚接触に当たるので来てほしい」と連絡がきた家庭もあった。

市教委と市こどもみらい部では、学童保育に通う児童の登校停止については通達していない。今回罹(り)患した男性は発熱後家族と隔離し、学童保育を利用する男性のきょうだいの感染は不明にもかかわらず、学童保育の利用児童、そして、きょうだいが利用していない幼児教室の児童も一緒くたに<濃厚接触者>とした教育現場の判断は、保護者だけでなく学童保育、幼児教室の職員たちも大きな憤りを感じており、責任者は「登校の停止については極めて慎重な判断が必要で、ましてや週1、2回、それぞれ1時間程度の教室に通っている児童を登校拒否することは行き過ぎではないか」と怒りを隠さない。

18日より5月6日まで一斉休校の措置が取られるが、「帰らされた子どもの顔を想像すると涙が出る。休み明けに児童たちがいじめや差別にあわないか心配」と児童たちを心配する声も相次いでいるという。

方部学校長を務める小学校の校長は「子どもの安全に配慮して決断したが、われわれの情報不足で勇み足だった。大変申し訳ないし、今後、関係された方々に丁寧に対応したい」と話しており、市教委では「そのような事案があったと聞いている。現在、当該校に対し調査確認をしているところで、事実の場合は子どもたちの人権を最優先に指導を徹底したい」とコメントしている。

写真は、市教委が入る市役所東分庁舎=18日(クリックで拡大)

■子鍬倉神社の例大祭祭典 新型コロナで規模縮小

平字揚土・子鍬倉神社(上平秀人宮司)の令和2年例大祭祭典が18日、同社殿で執り行われ、役員ら15人が出席した。 今年の例大祭は、新型コロナウイルス感染防止のため規模を縮小し、神輿(みこし)渡御、小学生奉納剣道大会、フラダンスショーなど恒例行事はすべて中止され、祭典のみとした。上平宮司の祝詞奏上に続き、役員一人ひとりが神前に玉串をささげ、町内安全、東日本大震災からの復旧復興、新型コロナウイルスの早期終息を願った。

写真は、例大祭祭典に臨む役員ら=18日(クリックで拡大)

■県立学校は21日から休校 5月6日まで

内堀知事は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、福島県にも緊急事態宣言が発令されたことを受け、県内のすべての幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校を休園・休校とすることを要請した。県教委は県立学校について、21日〜5月6日の間、臨時休校とすることを決定した。

いわき市は要請に先立ち、18日から5月6日、市内の公立小・中の休校などを決めている。また緊急事態宣言を踏まえ、内堀知事は不要不急の外出や、都道府県を超えての移動の自粛なども求めた。

■安倍首相 「緊急事態」拡大で会見 10万円は郵送・ネット申請

安倍首相は17日、新型コロナウイルス感染症対策に関する記者会見を行い、全ての国民に一律10万円を給付し、郵送やオンラインで申請を受け付ける方針を示した。医療従事者を支援するため、重症患者の治療に対する診療報酬を倍増することも明らかにした。

<給付金「混乱おわび」>

首相が新型コロナウイルス感染症の関連で記者会見をしたのは5回目。今回は、16日に緊急事態宣言の対象地域を全47都道府県に拡大したことを受け、首相官邸で約1時間行った。首相は「まもなくゴールデンウイークを迎えるが、感染者が多い都市部から地方へ、人の流れが生まれることは絶対避けなければならない」と述べ、宣言の期間である5月6日まで、外出や人との接触をできる限り控えるよう呼びかけた。

その上で「ウイルスとの闘いを国民とともに乗り越えていく。その思いで、全ての国民に1人当たり10万円の給付を行うことを決断した」と説明した。減収世帯に30万円を給付する方針を変更したことに関しては、「混乱を招いてしまったことは私自身の責任であり、国民に心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。

現金給付の総額については、中小企業・小規模事業者向けの給付金と合わせ、14兆円を上回る規模になることを明らかにした。給付申請を郵送やオンラインで受け付けるのは、市町村の窓口に申請者が集まって感染リスクが高まることを避けるためだ。給付時期について、麻生太郎副総理兼財務相は17日の記者会見で「5月にはやれるように対応しないといけない」と述べた。

政府は申請時に金融機関の口座を指定してもらい、現金を振り込む方式を検討している。振り込みを望まない人には、自治体窓口で、感染防止策を講じた上で支給する方法も検討する。首相は診療報酬の増額について「懸命に治療に当たっている医療従事者のため、処遇の改善にしっかり取り組んでいく」と強調した。

一方、鉄道など公共交通機関への減便要請は「減便で特定の期間に集中して混雑が起こる」として、行わない考えを示した。宣言を5月6日で終えるか、延長するかは専門家の意見を踏まえて判断するとした。(読売新聞社配信)

写真は、記者会見する安倍首相=17日夜、首相官邸(読売・源幸正倫撮影=クリックで拡大)