2020年4月17日(金)

■新型コロナ いわき市で新たに2人 常磐の工場はクラスターとの認識

市は17日夕方、いわき市で新型コロナウイルスの感染者が、新たに2人確認されたと明らかにした。飯尾仁市保健福祉部長が17日午後6時から、記者会見を実施して詳細を公表した。いわき市の感染者は計8人となった。

市によると、1人は40歳男性(Aさん=仮名)で、医薬品等を扱う「エーピーアイ コーポレーション」のいわき工場(常磐三沢町)に勤務している。いわき工場は、すでに4人の感染者が出ており、市はクラスター(感染集団)が発生したとの認識を示した。いわき市でクラスターが生じるのは初。

Aさんは10日に咳(せき)があったが、発熱はなかったため、マスクを着けた上で出勤。11、12日は自宅で過ごしていたが、咳はあった。13、14日は症状はなく、マスクを着用して出社した。15日も症状はなかったが、自宅で過ごし、16日に帰国者・接触者外来(体温36・8度)を受診。17日にPCR検査によって、陽性と判明した。

もう1人は、東京都在住の30歳代会社員男性(Bさん=同)。9日から出張で来市していた。Bさんはいわき市に来る前、仙台市で新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触していた。仙台市の感染者は7日に入院しており、この日に該当する人は男女4人いるが、いわき市ではこのうちの誰かは現時点で把握してない。

Bさんは7日、仙台市にいた時、体温は37度台で頭痛を覚えていた。いわき市の宿泊施設には9日から滞在していたが、微熱があったため、マスクを着用していた。15日には体温36・5度で、鼻づまりがあった。16日に帰国者・接触者外来(体温36・9度)を受診し、17日にPCR検査の結果、陽性と判明した。いわき市にいる間は、最小限の外出にとどめていたという。仙台市はBさんに対し、濃厚接触者になっていると伝えていたが、いわき市にはそれを承知しながら来ていた。

2人とも県内の感染症指定医療機関に入院している。症状は軽いが、Aさんは酸素の吸入を受けている。なお市では感染件数が増加傾向にあるため、今後は原則として、清水市長に代わり、飯尾部長による記者会見を行う方針を示している。

【おことわり】感染者が複数のため、アルファベットによる仮名表記をしています。ご理解ください。

写真は、感染者について公表する飯尾部長(右から2人目)=17日午後6時4分(クリックで拡大)

■「緊急事態」発令 いわき市 公立小・中の休校など実施

安倍首相は16日夜、新型コロナウイルスの感染広がりを受けた「緊急事態宣言」について、福島県を含む、すべての都道府県に発令した。7日に出された東京都など7都府県から拡大され、法的根拠のある外出自粛要請が可能となった。期間は5月6日まで。また宣言を先行した7都府県に加え、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県は、特に重点的に取り組みを進める「特定警戒都道府県」に位置付けた。いずれも海外のような都市封鎖(ロックダウン)ではない。

緊急事態宣言に当たって、安倍首相は16日夜、首相官邸で対策本部を開き、「ゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から、全都道府県を緊急事態措置の対象とした」と説明。最低7割、極力8割の接触削減を求めた。さらに外出自粛など、さまざまな行動が制限されるとし、国民に一律1人当たり10万円を給付する考えを示した。一方で大幅に減収した世帯に、30万円を支給する方針は撤回した。

<感染急増が懸念される非常に厳しい事態>

清水市長は17日、政府の緊急事態宣言を受け、市役所で臨時記者会見を行い、市として、公立小・中の一斉休校、幼稚園・保育所・放課後児童クラブの一斉休園等、公共施設の原則休館を実施すると明らかにした。

期間は18日〜5月6日。翌7日以降の継続は、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて判断する。未就学児や小学校低学年の児童を持つ保護者で、どうしても子どもを預ける事情がある場合、それぞれの園や学校などで対応する。私立に関しても、休校・休園を願い出るほか、県には県立学校の休校を要請する。

いわき市を取り巻く環境に対し、清水市長は「感染者の合計が6例となり、市民の不安の高まりと併せ、感染急増が懸念される非常に厳しい事態」と指摘。市民には不要不急の外出自粛を求めるとともに、散歩・ジョギングなどの屋外活動は2メートル以上距離を保てば可能との考えを示した。

事業所に向けては、宣言期間中の有給休暇取得促進、人と人との接触機会を減らす職場環境づくりを伝えた。宣言によって、遊興施設の休業要請や、飲食店の時短営業に際しての補償が取りざたされるが、清水市長は「市にはこれら権限はない。県と連携していきたい」と述べるにとどめた。

写真は、公立小・中の休校などを表明する清水市長=17日午前10時42分(クリックで拡大)

■「緊急事態」発令の影響 小野会頭 一体となった対処を

新型コロナウイルスの感染拡大によって、いわき市を含む福島県にも16日夜、緊急事態宣言が発令された。不要不急の外出自粛等が要請される中で、いわき商工会議所の小野栄重会頭は「今後の経済界の動きに大きな影響をおよぼすと思う。支援策を含め、商工会議所、行政が一体となり自粛要請などに対処したい」と話す。

緊急事態宣言が出された16日夜、平中心市街地の繁華街は閑散としていた。平字田町・スナック関係者の30歳代女性は「お客さんの流れが変わってしまった。緊急事態宣言がダメ押しとなるだろう」と指摘する。平字白銀町・飲食店関係者の30歳代男性は「テイクアウトを始めているが、正直つぶれる店が出るのは仕方がない」とあきらめ顔だ。

一方、緊急事態宣言はどこ吹く風の酔客も。建築業の40歳代男性は「こういう時こそ、常連客が店を支えないといけない。仮に時間が制限されても、変わらず飲みに来たい」と語った。会社員の30歳代男性は「飲みに行きたいが、自粛の流れには逆らえないのでは」と話していた。

写真は、閑散とした平字田町の繁華街=16日夜(クリックで拡大)

■医療従事者に感謝の拍手送ろう いわき市

市は17日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、医療現場に立つ関係者を激励しようと、感謝の気持ちを伝える拍手を送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」を始めた。クラップ・フォー・ケアラーズは「医療従事者らへの拍手を」との意味で、英国から広まり、外出が制限される中、玄関やバルコニーから、医療従事者に拍手を送っている。

市地域医療を守り育てる基本条例にも、医療従事者に感謝の気持ちを持つとする条文があり、市としても導入を決めた。清水市長や市職員が17日正午、市役所本庁舎1階に集合し、クラップ・フォー・ケアラーズを行った。この試みは毎週金曜日、正午から30秒程度続ける。

写真は、医療従事者に拍手を送る清水市長ら=17日(クリックで拡大)

■田人町の「石割桜」開花 今週いっぱい見頃

市の保存樹木に指定されている田人町旅人字横根の「田人の石割桜」が、今年も淡いピンクの花を咲かせている。田人ふれあい館から車で5分ほど。樹齢約400年、山あいの急カーブにある樹高13・8メートル、幹回りも5メートルある立派なヤマザクラで、根元の大きな御影石を割って生えていることから、こう呼ばれている。

今年は春先の暖かさで早めに開花したが、このところの寒の戻りで今も盛りとなっている。今週いっぱいている。今週いっぱい花見を楽しめそう。

写真は、今年も田人の山中で花を咲かせた石割桜=16日(クリックで拡大)