2020年4月13日(月)

■<新型コロナ>いわきFCは練習励む日々 感染防止を徹底して個人課題の追求を

新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本フットボールリーグ(JFL)開幕が決まらないサッカー・いわきFC。平成28年から現体制となり、県リーグ2部から1年ずつ着実にカテゴリーを上げており、今季はJリーグに手が届く位置まで来たが、目に見えないウイルスに出鼻をくじかれてしまった。関係者によると、JFL開幕は6月以降の情勢だが、これも不透明なのが正直なところ。現在のいわきFCの状況を取材した。

13日の練習場所とする常磐上湯長谷町のいわきFCフィールドは、強い雨に見舞われたため、きょうは屋内での練習となった。最新鋭のトレーニング機材がそろった環境だが、参加している選手は少ない。なぜならば、新型コロナウイルスの感染防止を踏まえ、24人を3班にグループ分けしているからだ。

選手の感染対策も徹底しており、運営元・いわきスポーツクラブでは、毎日朝・晩2回の検温や手洗いの励行に加え、万が一に備え、行動記録を付けるよう求めている。またできる限り外食を控えるほか、クラブ外の知人・友人には会わないよう伝えてある。

クラブ運営も在宅勤務によるテレワークを進めており、商業施設併設型クラブハウス「いわきFCパーク」の管理などを除き、原則として出社はしない。一方で、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での発信に力を入れている。動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に、公式チャンネル「IWAKI FC CHANNEL」を開設した。

<いまは互いに辛抱するとき>

田村雄三監督は現状に関して、「3つの密(密閉・密集・密接)を避けるなど、常に新型コロナウイルスに気を付けている」と強調する。Jリーグでは練習休止を選ぶチームも多い中で、いわきFCは自前の施設を持っている利点を生かし、練習継続を選択した。

「限られた時間のトレーニングとなっているが、モチベーションは自分の中でたぎらせるもの」と田村監督。選手の心身の状態を確認しながら、臨機応変に対応していると説明した上で、「新加入選手も慣れてきたし、けが人も戻っている。終息を信じ、いまは互いに辛抱しましょう」と呼びかける。

選手も気持ちは変わらない。選手会長のMF平沢俊輔は「人数が限られているので、戦術練習はできないが、その代わりに個人の課題を解決できるとプラスに考えている」と話す。2月末からファンサービスも中止となっており、多くのサポーターがいわきFCの動向を気にしている。平沢は「皆さんもお体を大事にしてください。再会できる日を心待ちにしています」と力強く語った。

写真は、リーグ開幕が不透明な中でも練習に励む選手=13日午前(クリックで拡大)

【おことわり】いわき民報社は、いわきスポーツクラブの許可を得て、新型コロナウイルスの感染防止策を講じた上で取材をしています。写真撮影はガラス越しに行ったほか、インタビューは屋外・短時間で実施しています。ご理解ください。

■<新型コロナ>飛沫感染防げ 南署にビニールカーテン

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、植田町のいわき南署では、庁舎内の1階窓口にビニール製のカーテンを設置している。来庁者・署員ともに飛沫(ひまつ)感染を防ぐ狙いがあり、同署では地域の安全を守る姿勢を強くしている。

警察組織での新型コロナウイルス感染が、全国的に大きな問題となっている。警視庁では赤坂署(東京都港区)の刑事が感染したため、同僚の署員ら70人が自宅待機となった。兵庫県警では神戸西署(神戸市西区)で集団感染が発生し、署長と副署長まで感染する事態となっている。

いずれも交代要員の派遣を進めているが、治安維持の面からも、住民に不安が広がりかねない。いわき南署にも毎日、運転免許証の更新などで市民が訪れているほか、署員も事件・事故に対応する際、不特定多数の人と話をせざるを得ない。

こうしたことから、同署ではビニール製のカーテンに加え、待合所のソファーをパイプ椅子に代え、間隔を広げる取り組みや、手洗いやアルコール消毒の徹底も実施している。古関隆一署長は「会議の人数も最小限にするなど、可能な限りの対策を施している。少しでも署内のリスクを下げていきたい」と語った。

写真は、いわき南署に設置されたビニール製のカーテン=13日(クリックで拡大)

■福島県浜通り地震から9年 今年もイチョウの植樹を

東日本大震災の1カ月後に発生した直下型地震「福島県浜通り地震」から丸9年がたった11日夕方、同地震で出現した「井戸沢断層」に近い田人町黒田字掛橋地内の私有地で、標示木の植樹式が開かれた。

標示木の植樹は、田人地区で地震に伴う土砂崩れなどで亡くなった4人の鎮魂、近年の日本で初めて出現した「正断層による地表地震断層」の井戸沢断層を後世に残していくことが目的だ。

田人地域振興協議会(蛭田一会長)は平成25年度から、土地所有者の許可を得て全線14`の断層付近に植樹を進め、田人地区のイメージカラー<黄色>を地域全体に広げる「黄色なまちづくり活動」に基づき、秋に黄色の葉をつけるイチョウの木を植えている。

植樹式は現地で行われ、蛭田会長、土地所有者の同協議会員・国井重徳さん、清水市長ら約20人が出席。地震発生時刻の午後5時16分に断層の方角に黙とうをささげたあと、出席者全員で植樹を行った。

蛭田会長は「植樹は地主の方の協力があってこそ実現している。今年で8年目となるが、今後も皆さんの協力のもと後世に思いを伝えたい」、清水市長は「標示木の存在が多くの市民、関係者がにとって地震の風化を防ぐことを願っています」と話した。

写真は、植樹される標示木のイチョウ=11日夕方(クリックで拡大)

■<新型コロナ>繁華街の接客伴う店行くの避けて 清水市長

清水市長は12日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市民に向けたメッセージを発表し、当面の間、繁華街の接客を伴う飲食店等に、外出することを自粛するよう伝えた。安倍首相が、緊急事態宣言を出した7都府県以外も、接客を伴う飲食店の利用自粛を求められるよう、新型コロナウイルスの基本的対処方針を改訂したためだ。

これまでの対処方針では、接客を伴う飲食店に関して、緊急事態宣言を発令した7都府県を対象に、「強く自粛するよう促す」と明記していた。だが専門家から、7都府県で営業できなくなった関係者が、他の地域に移り、感染が広がると懸念する見方が出ていた。

清水市長はメッセージに当たって、「国内での感染者の急増に伴い、県内でも感染者が継続的に増加してきており、本市でも、さらなる感染がいつ起きるかわからない重要な局面にあると考えている」と強調する。「私たち市民一人一人の感染防止に向けた、日ごろの心がけや適切な行動が強く求められている」とも指摘し、市民の理解・協力を要請した。