2020年4月9日(木)

■<新型コロナ>いわき市2例目家族は陰性 勤務先は操業停止に

市は9日夜、いわき市の40歳代会社員男性が、新型コロナウイルスに感染した件について、濃厚接触者に当たる男性の家族はPCR検査の結果、全員が陰性だったと明らかにした。市は8日夜、この男性が新型コロナウイルスに感染したと発表していた。男性は妻、小学生と未就学の子ども3人と同居している。

市保健所によると、4人には念のため、2週間は外出を控えるよう求めたほか、体調に変化が無いかを毎日確認するよう伝えた。

また日本ダイヤモンド(本社・横浜市)は9日午後、感染した男性が、泉町黒須野のいわき工場に勤務していると公表した。男性は1日の退社後に体調不良を覚え、2日から出社していないが、発症から2週間に当たる期間として、9〜14日の間は操業停止を決めた。

なお2日の時点で感染を疑い、職場の消毒作業を実施していたが、感染が分かったため改めて行うとしている。

社内の濃厚接触者に関しては自宅待機としており、市保健所ではこれら対象者のPCR検査も進めている。

市医師会・木村会長「感染広げないために正しい理解・行動を」

市医師会の木村守和会長は8日夜、清水市長の臨時記者会見に同席し、新型コロナウイルス感染を広げないため、市民に向け、正しい理解・行動を求めるメッセージを発表した。

木村会長は情勢が大きく変化している中で、いわき市の勤務医数は全国平均の7割弱にとどまり、平時でも救急医療は大変厳しい状況だと指摘。新型コロナウイルス感染の拡大があると、容易に医療崩壊が起きかねないと強調した。

また木村会長は行政による医療支援の重要性も説き、会見に先立って要望を受けた清水市長は、可能な限り、マスクやアルコール消毒液の配布を進める方針を示した。

清水市長の記者会見については、こちら

<木村会長のメッセージ>

いわき市の住民の皆さんへ

1.「発熱・呼吸器症状・だるさ」などがある時は、無理せず休んでください。

2.「発熱・呼吸器症状・だるさ」などがある場合は、「かかりつけ医」がいる方は「かかりつけ医」へ、いない方は「帰国者・接触者相談センター」へまず電話で相談してください。

3.上記のような症状で突然医療機関を受診することはせず、必ず前もって電話で相談してください。

4.かかりつけ医の診察では、新型コロナウイルスのPCR検査を行うことはできません。

5.緊急事態宣言が発令された地域との間の移動は、できるだけ避けてください。

6.緊急事態宣言が発令された地域などからいわき市へ帰省あるいは移動された方は、2週間できる限り外出を控えて人との接触を避けてください。

7.すべての住民が、自分が感染しているかもしれないことを意識して「うつらない、うつさない、広げない」行動に努めてください。

8.新型コロナウイルス感染症への対策が不十分な場合には、要介護高齢者・小児在宅療養者・障がい者などへ深刻な二次被害が及ぶことを考えて行動してください。

9.喫煙者は、この機会にぜひ禁煙に取り組んでください。禁煙をサポートする外来があり、薬が保険適用されます。

10.医療の現場では、使命感を持った医療従事者が奮闘しています。感染者を扱っている医療機関などで働いている人を差別するようなことは、あってはならないことです。また感染者に対する誹謗中傷なども、あってはなりません。報道機関は、感染者のプライバシーおよび保健所・医療機関の多忙さに留意して活動を行ってください。

「苦しい状況だったが頑張ってよかった」と平和な状態を迎えられるよう、出来ることをみんなで考え、みんなで実行すべきです。日本人にはそれができると、私たちは信じています。いわきの医療を守るため「集団として学び・考え・行動する」ことが、自分たちの命を守ることにつながります。

写真は、市民に正しい理解・行動を求める木村会長=8日夜(クリックで拡大)

■プレート掲げ安全運転PR いわき南署など

春の全国交通安全運動(6〜15日)に合わせ、いわき南署(古関隆一署長)、いわき南地区交通安全協会勿来支部(清野進支部長)の「ハンドプレート作戦」が9日朝、JR勿来駅前で行われた。

活動には12人が参加。新型コロナウイルス対策のため全員マスクを着用し、「交通安全運動実施中」「追突注意」「全席シートベルト」と書かれたプレートを掲げながら、ドライバーに安全運転を呼びかけた。

写真は、勿来駅前でのハンドプレート作戦の様子=9日(クリックで拡大)

■実りある学校生活を いわきコンカレで入学式

泉町のいわきコンピュータ・カレッジ(四家茂勝校長)の令和2年度入学式が9日、泉公民館講堂で行われ、49人(男37人、女12人)が新生活の第一歩を踏み出した。

式では一人ひとりを呼名、入学を許可したあと、四家校長が「一日一日を大切に学習活動に励み、悔いのない学校生活を送ってほしい」、同校を運営するいわき情報処理開発財団理事長の清水市長が「高い志を持って自己研さんに努め、旺盛な好奇心と若い感性で未来を切り拓(ひら)いてください」と激励した。

新入生代表の今泉凌さん(システム設計科)が「本校の学生であることの誇り、社会における一個人としての自覚と責任を持ち、実りある学校生活を送ります」と誓いの言葉を述べ、新入生たちは今後の学校生活に向け気を引き締めていた。

同校では17日まで、進路の決まらない高卒、大学卒業・中退者、コンピューター関連技術を習得し再就職を目指す人、または離職者を対象にした「再チャレンジ学生」を募集している。問い合わせは、いわきコンピュータ・カレッジ=電話(56)0711=まで。

写真は、誓いの言葉を述べる今泉さん=9日(クリックで拡大)

■廃炉・古里の未来など考える 高校生の研修記完成

県内の高校生が東電福島第一原発事故を踏まえ、英国・セラフィールドで行われている原子力施設の廃炉状況などを視察し、その研修成果をまとめた冊子「Shiru Manabu(シル・マナブ)」が完成した。

英国渡航は昨年8月、広野町のNPO法人ハッピーロードネット(西本由美子理事長)が主催し、同9月には青森県・六ケ所村も訪問し、使用済み核燃料の再処理工場等も見学した。

一連の研修には、浜通りを中心に県内の高校生20人が参加。冊子では現地での経験から、福島第一原発事故の廃炉作業と古里の未来や、風化の防止、リーダーシップのあり方を伝えている。38ページ(カラー)。英語版を含め、1万部を作成しており、県内公立高校に加え、外務省や国際機関にも配っていく。

研修に加わった磐城高の鈴木芙優(3年)、伊藤結( 同)さん、磐城桜が丘高の前川夏穂( 同)、佐々木香子(同)さんが先ごろ、西本理事長とともに、市役所記者クラブで記者会見を行い、冊子をつくったことを報告した。

鈴木さんらは「私たちの多くの経験や、いろいろな思いが込められている。この本を多くの方に見てもらいたい」と呼びかけた。ハッピーロードネットは希望者に対し、冊子を配布している。連絡先は電話0240(23)6172。

写真は、冊子の完成を報告した前川、鈴木、佐々木、伊藤さん、西本理事長(左から=クリックで拡大)