2020年4月6日(火)

■<新型コロナ>いわき市の公立小・中再開 防げ「3つの密」

いわき市の公立小・中学校は6日、新型コロナウイルスの影響による臨時休校や春休みを経て、およそ1カ月ぶりに学校が再開し、始業式や入学式が行われた。全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市教委は文部科学省の通知を踏まえ、3月4〜23日の間、市内の公立小・中を臨時休校とし、そのまま春休みを迎えていた。

平字揚土の平一小(水野達雄校長)は、新型コロナウイルスの感染リスクを高める密閉・密集・密接の「3つの密」を避けるため、始業式の場所を体育館から校庭に変更した。330人あまりの2〜6年生が出席したが、隣との間隔を空けるため、児童はあらかじめ両手を広げ、スペースを確認した。

始業式では水野校長があいさつに立ち、手洗いの励行やマスクの着用、登校前に体調を確認することなどを呼びかけた上で、「ピンチをチャンスに変えるという言葉がある。今がその時。時間を有効に活用し、本や新聞を読むことで、自分の夢を膨らませる機会にしてほしい」と語った。

平一小では臨時休校中も家庭訪問や電話連絡を通じ、子どもたちの様子を見守った。また学校再開に当たっては、教室の座席を離したほか、休み時間ごとに換気を徹底する決まりとした。

久しぶりの学校とあって、校舎には子どもたちの元気の良い声が響いていた。滝沢あすと君(6年)も「友達に会えてうれしい」とにっこり。休みの間は一人で公園に行き、壁を相手にキャッチボールしていたといい、早く一緒に遊びたいと声を弾ませていた。

市教委では学校再開に際し、保護者に対し、▽登校日は朝必ず、子どもの検温と体調の確認をすること▽風邪症状がある場合、登校させずに自宅で休ませること▽家庭でも手洗いや咳(せき)エチケットを励行すること▽免疫力を高めるため、十分な睡眠や適度な運動、バランスのとれた食事に配慮すること――の4項目について理解と協力を求めた。

写真は、校庭で行われた平一小の始業式。子どもたちはみんなマスク姿だ=6日朝(クリックで拡大)

■規模縮小の入学式 「安全に登校してね」

いわき市では6日、公立小・中の入学式が開かれ、本年度は公立小学校に約2700人、公立中学校に約2800人が入学した。入学者が最も多かったのは、小学校は泉の183人、中学校は泉の310人。一方で川前、小白井小、川前中に入学する子どもはなかった。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いずれの学校も入学式を縮小して実施し、来賓などの出席を制限するなどの措置を取った。

常磐藤原町の藤原小(伊達多津也校長)には、28人の新1年生が加わった。6日午前の入学式は出席者を保護者に限った上、あいさつは伊達校長のみとし、短時間で終わらせた。伊達校長は「校長先生から、皆さんに一つだけお願いがあります。自分の命を大切にしてください」と優しく求めた。

式典に先立ち、新入生とその保護者が登校するのに合わせ、校舎入り口で、いわき中央署常磐分庁舎、いわき常磐地区交通安全協会、常磐地区交通安全対策協議会による啓発活動が行われた。

啓発活動は、6日に始まった「春の全国交通安全運動」に伴い、いわき中央署常磐分庁舎の神成淳所長ら10人が参加し、夜光反射材や子ども向けのバッグなどを配布しつつ、車に気を付けながら安全に登校するよう呼びかけた。

写真は、藤原小の入学式に合わせた啓発活動=6日(クリックで拡大)

■「アイくる」模索の姿追う 定期公演は無観客で配信

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いわき市公認ご当地アイドル「アイくるガールズ」の活動にも影響が出ている。毎月行っている定期公演は、平字大工町のライブハウス「クラブソニックいわき」を会場としており、3つの密(密閉・密集・密接)が避けられないため、5日の定期公演も無観客とした上で、インターネット配信を展開した。メンバーも運営スタッフも手探りの中、いわき市から笑顔と元気を届ける姿を追った。

「……アイくるガールズ!」。いわき市を象徴するハワイアンの雰囲気とともに、小気味の良いドラムが響く出ばやし・オーバーチュアに合わせ、メンバーが舞台に登場する。普段ならば、クルーと呼ばれるファンがペンライトを回し、歓声を上げながら1曲目を心待ちにする場面だが、5日の定期公演には関係者の姿しかなかった。

多い時には、200人が来場する定期公演。感染のリスクを考慮し、3月に続いて観客を入れない形を選択した。代わりにパソコンやスマートフォンを通じ、「YouTube Live(ユーチューブ・ライブ)」と、「SHOWROOM(ショールーム)」で観覧できる環境を整えた。

少しでも見る人を楽しませようと、演出には工夫をこらした。ライブ中の撮影担当をメンバーに任せたり、客席に下りて長縄を跳んだりと、通常の定期公演とは違う表情を伝えた。

この日は、メンバーの一人・せんちゃんの卒業公演も兼ねた。アイくるガールズの卒業公演は、ファンとともに盛大に送り出すのが特徴だが、今回はかなわず。配信サイト・アプリのメッセージ機能で、次々と惜別の思いが寄せられた。

<状況改善した時のために>

アイくるガールズは、市内外の多くの催しにも呼ばれてきたが、イベント自粛の流れから、延期・中止を余儀なくされている。さらに定期公演の無観客に伴う収益減に加え、配信経費もかかっている現状がある。

こうした点を踏まえ、運営元・いわきロコドルユニットプロジェクトでは、メンバーによるトークライブのインターネット配信も始めた。ファンとの交流機会を増やす目的とともに、電子決済サービスによる投げ銭によって、新たな収益を得ていく狙いを持つ。投げ銭のサイトは<こちら>。

次回の定期公演は、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、5月10日に小名浜・三崎公園野外音楽堂で開催する予定。なお引き続き感染が拡大する場合は、4月と同じく、クラブソニックいわきで無観客とする。

リーダーのしーたんは「無観客での公演は、お客さんの反応が無いのでさみしい。配信によって、アイくるガールズを知ってもらう機会にしながら、この状況が改善した時、私たちのパフォーマンスを楽しんでもらえるよう、精いっぱい頑張っていく」と語った。

写真は、観客不在の会場。手前は配信で使うモニター=5日(クリックで拡大)