2020年4月4日(土)

■心平文学館 スポット展「猪狩満直」始まる 運営には新型コロナ影響じわり

小川町高萩の市立草野心平記念文学館で4日、スポット展示「猪狩満直」が始まった。猪狩満直は明治31(1899)年、現在の好間町川名子に生まれ、私立磐城青年学校中退後、19歳ごろから聖書研究と文学に傾倒。北海道での開墾生活の苦闘を描いた詩集「移住民」などで知られている。

満直は大正6(1917)年初夏のころ、好間の菊竹山で農民詩人・三野混沌に初めて会い、二人の関係は生涯続いたという。こうした縁から詩集を刊行するに当たって、満直と草野心平も交友を持っている。

昭和5(1930)年に帰郷した満直は、いまの小島町や長野県飯山市での生活を経て、同15年に気管支ぜんそくによって、40歳の若さで亡くなった。文学館では、満直の業績を知ってもらおうと、定期的にスポット展示の題材に選んでおり、今回は所蔵する自筆原稿や、ノートに残された自作に対する思いなど9点の資料とともに、「移住民」を刊行した昭和4年当時の写真等を飾っている。

6月28日まで。時間は午前9時〜午後5時(入館は同4時半)。毎週月曜日(5月4日は除く)は休館。一般440円、高校・高専・大学生330円、小・中学生160円。問い合わせは、市立草野心平記念文学館=電話(83)0005=へ。

<感染抑止に力を入れながら>

新型コロナウイルスの感染拡大は、草野心平記念文学館の運営にとっても例外ではない。感染が深刻な東京都では、東京国立博物館をはじめ、多くの文化施設が休館を余儀なくされている。

草野心平記念文学館は立地柄、冬季の来館者はさほど多くないため、暖かくなってきたこの時期から集客を見込んでおり、11日からは本年度最初の企画展「草野心平の詩 天へのまなざし」がスタートする。

草野正道館長は「団体のような多くのお客さんが来られた際には、入り口にとどまらないよう呼びかける」と話す。展示は広い空間で行われるが、3つの密(密閉・密集・密接)を避けることで、感染抑止に力を入れ、安全な見学環境を確保する狙いを持つ。

ただ今後の見通しは不明な部分もある。市民参加の取り組みで、6月には文学散歩として、心平ゆかりの川内村を訪問するほか、11月には文学旅行と銘打ち、心平の弟・天平とのつながりで京都、滋賀にまたがる比叡山を訪ねる計画だが、現状を考えるとなかなか難しい。

企画展の開催に際しても、県外の文化施設から資料を借りる場合もあるが、東京方面への不要不急の往来自粛が求められる中、職員を派遣できるかも問題となる。そうした中でも、草野館長は「多くの方に来ていただけるよう、引き続き頑張っていく」と語った。

写真は、きょうから始まったスポット展示「猪狩満直」=4日(クリックで拡大)

■いわき市 PCR検査の体制拡充図る

市は3日、新型コロナウイルスの検査体制について、民間検査機関・江東微生物研究所(本社・東京都江戸川区)と委託契約を締結し、感染の有無を調べる「PCR検査」が、一日最大50検体(おおむね25人分)まで対応できるようになったと明らかにした。検査は3月31日から始まった。江東微生物研究所は、好間工業団地に東北中央研究所を設けている。

また市保健所のリアルタイムPCR検査の準備も完了し、1日から一日10検体(5人分)が可能となった。現状把握と感染拡大防止を目指し、導入に向け、精度の確認に当たっていた。

市によると、県全体の検査体制は江東微生物研究所、市保健所のほか、県衛生研究所(福島市)が48検体(おおむね24人分)、福島市保健所が16検体(8人分)で、郡山市保健所も今後実施を予定する。新型コロナウイルスは全国的に感染拡大の一途をたどっており、PCR検査の必要性が高まっている。

■いわき信組 中小・小規模の課題解決に協定結ぶ

いわき信用組合(本店・小名浜花畑町)は3日、人材紹介サービスを全国展開する「ヒューレックス」(本社・宮城県仙台市)、グループ会社のマリッジパートナーズ(同)、事業承継推進機構(同)と業務提携を結んだ。

少子高齢化などを背景に、人材に関する課題を抱える中小企業、小規模事業者の雇用創出と経営者や幹部社員、従業者の婚活、事業継承支援を行う内容で、同信組では取引企業の支援を通じて地域経済の活性化、地方創生に寄与する考えだ。

本県では震災後9年間で人口が20万人ほど減少しており、少子高齢化も背景に地域雇用と産業を支える中小企業、小規模事業者においては人手不足が顕著となっている。

中小企業庁では、平均引退年齢の70歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者が2025(令和7)年には約245万人を数え、このうち約半数に後継者がいないという問題が起きて廃業の危機にさらされる、と警鐘を鳴らしている。

いわゆる<2025年問題>だが、いわき信用組合は本市も例外ではない、と指摘。さらに昨今の新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけて業績が悪化する事業所も目立ち始め、地域経済の冷え込みが懸念される。

一方で、ヒューレックス社によると、現在、UIJターンで約5万人もの人材が本県での就職を希望しており、今回業務提携を結ぶことにより、同信組の融資取引先へ約400万人の登録者から雇用をあっせんすることが可能に。

雇用の受け皿づくりに限らず、グループ会社のネットワークを生かし経営者や後継者、幹部社員、従業員の配偶者探しを支援するほか、事業継承や創業支援、企業再生についてもアドバイスを行う。結婚に関する登録者は約11万人。

締結式は3日午後に同信組本店で行われ、同信組の江尻次郎理事長は地域経済の危機に触れながら「中小企業、小規模事業所を支援し、地域社会に貢献したい」と意気込み、ヒューレックスの松橋隆広代表取締役社長は業務提携のメリットを紹介し「あの手この手を使って福島に人を呼び、福島、いわきのために頑張りたい」と語った。

同社は東北各県で約20の金融機関と業務提携を結んでおり、県内では東邦銀行、福島銀行、相双五城信用組合に続き、いわき信用組合が4社目。

写真は、雇用創出などに関する業務提携を結んだ江尻理事長(右)と松橋社長=3日(クリックで拡大)

■国際ソロプチミストマリンいわき さくら保育園にマスク寄贈

国際ソロプチミストマリンいわき(鈴木礼子会長)は3日、好間町下好間のさくら保育園(白土昌子園長)に子ども用の手作りキャラクターマスク120枚を寄贈した。マリンいわきは、新型コロナウイルスの感染拡大から子どもたちを守ろうと、品薄が続くマスクの寄贈を計画。会費の一部で購入したマスクは布製で、洗って何度も使用することができる。

贈呈式は同園で行われ、鈴木会長が「キャラクターを楽しみながらマスクを着けて、コロナに打ち勝ってください」とあいさつしたあと、年長児代表の五十嵐虎生君、木田絆愛ちゃんにマスクを手渡し、年長児が「大切に使います」とお礼を述べた。

同園は普段通りに開園しているが、朝からマスクの着用を徹底するなど、入念に感染予防に取り組んでいる。白土園長は「使い捨てマスクが足りなくなってきていたので大変ありがたい」と話した。

写真は、手づくりマスクを受け取った年長児ら=3日(クリックで拡大)