2020年4月3日(金)

■<新型コロナ>桜に罪はないが 問われる花見の飲食等自粛

いわき市平の松ケ岡公園では3日、桜が満開を迎えている。例年ならば土曜・日曜にかけて、多くの見物客でにぎわうところだが、今年は新型コロナウイルスの影響で趣が異なっている。市は感染拡大防止のため、レジャーシートや椅子・テーブルなどを使っての飲食や歓談は控えるよう要請しており、告知の看板を掲げている。

新型コロナウイルスの感染が深刻な東京都では、上野公園や井の頭公園などが閉鎖や通行規制される事態となっている。いわき市の場合はそこまで深刻ではないとあって、要請がありながらも、3日昼にはレジャーシートやテントを広げる団体の姿もあった。幼い子を連れたある花見客は「子どもの学校が休校となり、外で遊ぶ機会がめっきり減った。天気も良いので、マスクをさせた上で連れてきた」と話す。

花見といえば、欠かせないのは露店。松ケ岡公園には20近くが出店している。レジャーシートなどでの飲食を自粛としながら、そうした機会を設けている点について、市公園緑地課の担当者は「露店の関係者にも生活がある」と指摘する。ただ感染防止策として、露店同士の間隔を広げるよう伝えるなど、出店者に協力を仰いでいるという。

清水市長は2日の定例記者会見で、「桜をめでることは悪くはないが、3つの密(密閉・密集・密接)にならないよう、宴会などをやるのは避けてほしい」と良識ある行動を求めた。

写真は、レジャーシートなどでの飲食等自粛を呼びかける看板=3日(クリックで拡大)

■四倉諏訪神社「かつおのぼり」元気に掲揚

四倉町の四倉諏訪神社(鈴木宣之宮司)に、恒例の「かつおのぼり」が揚げられ、春風に吹かれ泳ぐ姿を見せている。かつおのぼりは、かつて四倉町で栄えていたカツオ漁、かつお節製造に思いを馳(は)せ、近くの小泉屋時計店の店主・緑川健さんの管理のもと、鹿児島県枕崎市から取り寄せたものを、平成18年からほぼ毎年掲揚している。

神社境内には、全長4メートル、3メートルの「かつおのぼり」2体のほか、鈴木宮司の1歳になる長男・晴之君の節句を祝う2メートルの「こいのぼり」1体が風に泳ぎ、地区住民らの目を引いている。

なお新型コロナウイルス感染拡大に伴い、5月4日の例大祭神輿(みこし)渡御が中止になるなど、神社も影響を受けている。鈴木宮司は「この状況の中、少しでも四倉町の人たちに元気になっていただきたい」、緑川さんは「疫病退散の意味も込めている」と地域活性に期待を込めている。

1日から始まった掲揚は、5月15日までは毎日行われるが、同16日から6月10日まではスポット掲揚となるほか、天候、諸事情などで休む場合もある。問い合わせは四倉諏訪神社=電話(32)2485=まで。

写真は、境内に掲揚されている「かつおのぼり」「こいのぼり」=2日(クリックで拡大)

■あすから磐城平城 「さくらまつり」でライトアップも

たいらまちづくり株式会社主催の「磐城平城さくらまつり」が4、5の両日、磐城平城本丸跡地で開かれる。さくらまつりではステージイベントのほか、夜には跡地内のソメイヨシノ、ヤマザクラを照らす夜桜ライトアップも行われる予定。時間は午前10時〜午後3時、夜桜ライトアップは午後5〜8時。

なお新型コロナウイルスの感染防止対策に万全を期すが、社会情勢に伴い、プログラムの中止、変更される場合がある。問い合わせは、たいらまちづくり株式会社=電話(21)7777=まで。

さくらまつりに先立ち2日夜、ライトアップ試験点灯が行われた。設置されたライトが点灯すると、敷地内の約20本のソメイヨシノ、ヤマザクラが暗闇から浮かび上がり、一帯を桜色で彩った。

写真は、夜桜ライトアップの試験点灯=2日(クリックで拡大)

■遊覧船復活へ 新会社「小名浜デイクルーズ」設立

いわきタクシーグループ(本社・小名浜字上町、門馬成美代表)、磐栄ホールディングス(本社・泉町下川、村田裕之代表取締役)は1日、共同出資の新会社「小名浜デイクルーズ」を設立した。今後は9月をめどに、小名浜港で本県唯一の海上観光遊覧船を復活させるため、船舶船検準備、運航許認可申請などの手続きを進めていく。

小名浜港では平成4年から、いわきデイクルーズが総トン数118トンの観光遊覧船「ふぇにっくす」を運行。市民、観光客らに長く親しまれてきたが、東日本大震災や東電福島第一原発事故の風評に伴う利用客減、後継者不足により昨年9月に廃業。いわき市の観光資源消失によるにぎわいや、魅力減少が懸念されていた。

昨年10月、東日本台風の被害視察に来市した赤羽一嘉国土交通相と事業者、港湾、行政関係者による意見交換を経て、同11月に「小名浜港を学び楽しむ未来研究会」(正木好男会長)が発足。運行再開の検討を進める中、新会社の設立が決まった。

小名浜デイクルーズは市観光物産センター「いわきら・ら・ミュウ」1階のいわきデイクルーズ跡に事業所を構え、会長に門馬氏、社長には村田氏が就任し、運航業など同社の事業を継承する。なお海上観光遊覧船には、神奈川県横須賀市、宮城県気仙沼市などで運航した総トン数77トンの旅客船を導入し、船名は公募を予定している。

門馬氏は「皆さんに支えてもらい、大変心強い。地域に愛される観光資源をつくり上げていきたい」、村田氏は「子どもたちの教育の場として有効活用しながら、市民、県民にとっていこいの場所にしていきたい」と意気込みを述べた。