2020年4月2日(木)

■県内初「まちなか居住」対象に補助 転入に最大150万円 企業活動は1億円まで

市は2日、人口減少・超高齢社会の中でも持続可能なまちづくりを目指すため、市が定めた地域・まちなか居住区域に、市外から移住する人向けに、住宅取得費の補助として、最大150万円を交付すると明らかにした。市によると、まちなか居住区域の移住に対する補助金は県内初。また、まちなか居住区域の一部(都市機能誘導区域)で、日常サービスに関する企業活動等を展開する場合には、建築費などに最大で1億円の補助を出す。清水市長が2日、定例の市長記者会見で発表した。

まちなか居住区域は昨年10月、市立地適正化計画の中で定められ、土地利用の規制と誘導を図っていく中で、平、小名浜、勿来、四倉、泉、常磐、内郷、いわきニュータウンの8地区周辺を対象にしている。いわき市は14市町村が合併した過去があるため、広域性を生かしたコンパクトシティを形成することで、都市機能を集約させる狙いを持つ。

移住に対する補助は「“フラシティいわきへ”まちなか定住促進事業」と銘打ち、いわき市に新たに住んでもらう人を募っていく。市では事業を通じ、8カ所のまちなか居住区域に関して、平成22年と同じ人口密度(平周辺は1ヘクタール当たり46人)の維持を図る。

制度設計に際して、市は1日、住宅金融支援機構と協定を締結した。対象者は住宅ローン(フラット35)の金利優遇策を受けられる。募集戸数は10戸程度(応募者多数の場合は抽選)。受け付けは17日〜5月15日。併せて要件を満たすと、移住支援金(最大100万円)も適用できる。

建築費等の補助は「“フラシティいわきへ”都市機能誘導施設等整備促進事業」と題し、まちなか居住区域で生活するため、必要な施設を整備するのを支援する。

計画地が商業地ならば、容積率の緩和があるほか、資金調達の面でも、民間都市開発推進機構(MINTO機構)による出資も可能な場合あり。市による事前審査があるため、進ちょくには余裕が求められる。相談は2日から開始した。

いずれも細かな要件がある。問い合わせは、市都市計画課=電話(22)7513=まで。清水市長は「いわき市は郊外型の街になっているが、(2 つの事業は)効率の良いまちづくりのスタートと考える」と期待感を寄せている。

写真は、コンパクトシティに向けた動きが進むJRいわき駅前=2日(クリックで拡大)

■延期の「聖火」 きょうからJヴィレッジで一般公開

約1年の延期となった東京五輪の聖火が2日、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)で、ランタンに入れられた形での一般公開が始まった。30日まで。聖火リレーは3月26日、Jヴィレッジをグランドスタートする予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京五輪が延期されたため中止となった。

聖火は3月12日、ギリシャ・アテネで採火され、同20日に航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に到着。「復興の火」と銘打ち、東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島の3県で巡回展示され、同25日には小名浜アクアマリンパークでフィナーレを迎え、3600人あまりを集めた。

県内に聖火を置く方針は安倍首相の発案で、大会組織委員会の森喜朗会長が、内堀知事に電話で伝えて快諾された。

展示場所はセンターハウス1階。聖火は高さ約30センチのランタンに収められている。観覧時間は午前9時〜午後4時。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、見学できる時間は1人当たり30秒。マスクの着用も呼びかけており、人が殺到した場合には間隔をあけて待機する。

一般公開に先立ち、Jヴィレッジで1日午後、大会組織委の布村幸彦副事務局長から、県文化スポーツ局の野島誠局長に、聖火がともるランタンが手渡された。

写真は、ランタンで保管される東京五輪の聖火=1日午後(読売・武藤要撮影=クリックで拡大)

■小名浜のソメイヨシノ満開 勿来の関でも見ごろに

いわき観光まちづくりビューローと小名浜まちづくり市民会議は1日夕、小名浜字船引場の小名浜特別地域気象観測所(旧小名浜測候所)のソメイヨシノの標本木が満開を迎えたと発表した。

事務局を務める同市民会議によると、観測に協力してきた同測候所元解説官の島田栄二郎さん(76)=常磐西郷町=が満開を確認した。平年値は4月12日で、今年は平年より11日、昨年より6日早く、観測記録が残る昭和28年以降では平成14、30年と並び最も早い満開となった。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために花見の自粛ムードが広がり、市内各地の桜の名所では次々とイベントが中止に。ソメイヨシノ、山桜など642本の桜が見ごろを迎えた勿来の関でも、マスクを着用して歩きながら桜を楽しむ老夫婦や子ども連れ、アマチュアカメラマンの姿がみられた。

同所では3月25日に咲き始め、2日現在で7分咲き。市勿来関文学歴史館によると、今年は暖冬の影響か例年より2、3日ほど花の開きが早く、「家にこもりがちなお子さんを連れ、気分転換に散策してはどうですか」と学芸員の馬目紗希さん(27)。見ごろは今週末まで続きそうだ。

見ごろを迎えた勿来の関のソメイヨシノ=2日(クリックで拡大)

■新型コロナ 市内70歳代男性が退院 2回続けて「陰性」

県は1日、新型コロナウイルスに感染した市内の70歳代男性が、県内の感染症指定医療機関から退院したと明らかにした。県内では同日までに、男女6人の感染が確認されているが、退院したのは初めて。

男性は集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた。2月13日に船内の検査で陰性だったため、同21日に下船した後、国の指定した施設で経過観察を受け、同27日にいわき市の自宅に帰宅した。

3月2日にのどに違和感を感じ、一時は解消したものの、同6日に悪化傾向が見られ、帰国者・接触者外来を受診。同7日にPCR検査の結果、県内初の新型コロナウイルスの陽性と判明した。市保健所によると、男性は2回続けての検査で陰性を確認。市保健所の公用車で自宅に戻った。

清水市長は1日午後、「本日無事退院されたことを、心よりお喜び申し上げる。当面は自宅でしっかりと静養し、一日も早く普段の生活を取り戻されることを願っている」とのコメントを発表した。

また市民に対しては県と同じく、東京方面への不要不急の往来を控えるとともに、新型コロナウイルスをわがごとと考え、咳(せき)エチケットやこまめな手洗いの励行のほか、3つの密(密閉・密集・密接)を避けるよう求めた。