2020年3月26日(木)

■聖火リレー仕切り直し きょうの晴れ舞台も幻に 平の橋本さん「2度目」改めて

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京五輪が1年程度の延期となったため、26日にJヴィレッジ(楢葉、広野町)から始まる聖火リレーも取りやめとなった。県内の聖火リレーは26〜28日の3日間、26市町村を310人のランナーがつなぎ、いわき市では初日の26日に行われる予定だった。起点のいわき陸上競技場、終点のいわき芸術文化交流館「アリオス」前では、市のセレモニーも計画されていたが、いずれも幻となった。

大会組織委員会では、今回選ばれたランナーに関しては、優先的に改めて聖火リレーに参加できるようにとしている。いわき市を走るランナーのうち、地元在住で最高齢となる平字東町の橋本正夫さん(70)は、1964年東京五輪の聖火リレーでも随走者を務めた経験があり、2度目の聖火リレーを心待ちにしていた。

「楽しみにしていただけに、いまはがっかりしている。チャンスがあるならば、ぜひ走りたい」と橋本さん。再度の機会をいまから期待する。

茨城県土浦市出身の橋本さんは中学3年の時、1964年東京五輪の聖火リレーの隊列に加わった。野球部の仲間らと一緒に、市営グラウンドで練習した後、本番に臨んだことを覚えている。胸に付けた「TOKYO 1964」の文字が入ったゼッケンは、いまも大事にする宝物だ。

その後も陸上を続けた橋本さん。亜細亜大では箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)にも出場し、2、3年時に1区を走った。就職して陸上から離れたが、退職後に妻の実家であるいわき市に移住し、第1回いわきサンシャインマラソンを沿道で応援したのをきっかけに、再び走り始めた。

するとすぐに、全国の市民マラソンに参加するようになった橋本さん。目標は70歳代でのサブ4(フルマラソン4時間以内)の達成。現在は息子夫婦や孫と一緒に、いわきサンシャインマラソンにエントリーする。

地域活動にも熱心で、地元長寿会の役員も買って出る。「近所の人からも応援してもらっている」と語り、大役を果たしたいと話していただけに、来年はぜひともトーチを手に駆けてほしい。

写真は、宝物のゼッケンなどを前にする橋本さん(クリックで拡大)

■小名浜に「復興の火」 古里再生の願い炎に託す

「復興の火」と銘打ち、東日本大震災の被災3県を巡回してきた<復興五輪>の聖火が25日午後、甚大な津波被害を受けた小名浜港1、2号ふ頭間のアクアマリンパークで初めて展示された。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて聖火リレーが直前に中止、東京五輪・パラリンピックが延期となる異例の事態に戸惑いの声などが広がる中、会場には被災した市民ら約3600人が訪れ、いまだ復興の途上にある古里再生への願いを炎に託した。

聖火は20日、ギリシャから空路で宮城県・航空自衛隊松島基地に到着し、同県石巻、仙台両市、岩手県・三陸鉄道、大船渡市を巡回し24日に本県入り。福島市で展示した後、津波、東電福島第一原発事故で甚大な被害を受けた浜通りの復興を願い、本市における<復興の象徴>として県内有数の観光交流人口を誇るアクアマリンパークで最後の展示を迎えた。

内堀知事、清水市長も見守る中、皆川真太郎さん(14)=小名浜二中2年=がランタンにともされた聖火を持って登壇。一緒に登壇した小松侑華さん(14)=同=が、ランタンから火を移した点火棒を慎重に聖火皿に近付け、点火した。

会場は新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から、マスク着用やアルコール消毒の徹底、順番を待つ来場者の間隔を1メートルほど空けるなどの厳戒態勢が敷かれたが、式典の2時間ほど前から待機する家族連れなどの姿がみられ、前日を超す3600人が来場。

間近の観覧は15秒に限られたが、来場者は記念撮影をするなどして復興の火を見つめ、古里の復興とともに新型感染症のいち早い終息、無事に東京五輪・パラリンピックが開催されることを心より願った。

写真は、復興の火の前で記念撮影をする来場者=25日夕方(クリックで拡大)

■いわき民報ふるさと出版文化賞 3人に優秀賞・特別賞

令和元年度いわき民報ふるさと出版文化賞(いわき民報社主催)の授賞式が25日、平字田町のいわき民報本社で開かれ、詩集『海獣Vol.5』で優秀賞を受賞した小名浜字御殿後の無職・竹林征人(まさと)さん(76)、同じく詩集『婚姻』が特別賞となった平字掻槌小路の無職・粥塚伯正(みちまさ)さん(69)、歴史書「いわき戊辰探究」が特別賞に選ばれた平中神谷字瀬戸の地方公務員・夏井芳徳さん(60)の受賞をたたえた。

授賞式は当初、例年通り清水市長をはじめ市議会、商工会議所、市内の文化団体などから来賓が臨席して平の式典会場で開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、規模を縮小して実施した。

初めに、鈴木淳専務取締役が3氏にそれぞれ賞状と副賞を贈呈し、「受賞おめでとうございます。これを機に今後さらに活発な執筆活動をされることを期待しています。記念のパーティーもない寂しい表彰式になりましたが、皆さまの作品はこれまでと同様、市の文化の発展に寄与することでしょう」とあいさつした。

同賞は、いわき民報創刊60周年記念事業として、平成18年に創設され、いわき市内在住者および市内に通勤・通学している人の出版物を顕彰することを通じて、市民文化の醸成を図ってきた。本年度で13回目。残念ながら2年続けて最優秀賞の該当作がなかった。

今回は、平成30年9月1日から令和元年8月31日までの間に出版された書籍が対象で、募集期間内に前年度より1点少ない9点が寄せられた。部門別でみると歴史書1点、小説1点、詩集2点、歌集1点、川柳句集2点、写真集2点。応募した人は60歳代から70歳代後半という高い年齢層で、著者の高齢化は今年も変わらなかった。

審査委員は、委員長の馬目順一さんのほか、小野一雄、玉手匡子、小宅幸一、中山雅弘、酒主真希さんら学識経験者、いわき民報社の野沢達也代表取締役社長、鈴木専務。

写真は、粥塚、竹林、夏井さん(左から)。後ろは鈴木専務=25日(クリックで拡大)

■新型コロナ JFLまたも延期 いわきFC初戦は4月26日か

日本フットボールリーグ(JFL)は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リーグ戦について、第1〜3節に続いて、第4、5節も延期にすると明らかにした。

これによって、いわきFCの第4節(鈴鹿ポイントゲッターズ戦)、第5節(FC大阪戦)も延期となり、JFL初戦は現時点で、4月26日午後1時からの第6節にずれこんだ。ホーム・Jヴィレッジスタジアム(広野町)に、MIOびわこ滋賀を迎え入れる。

JFLでは「ファン・サポーターの皆さま、事情をご賢察の上、ご理解いただきたくお願い申し上げます」としており、第6節の開催可否に関しては、4月15日ごろをめどに発表するとした。