2020年3月25日(水)

■<新型コロナ>五輪1年程度の延期 リレー中止の聖火は県内に保管へ

安倍首相は24日夜、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と電話会談を行い、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、今夏の東京五輪・パラリンピックを1年程度延期するよう提案し、バッハ氏もこれを受け入れた。続いてIOCは臨時理事会を開催し、大会の延期を承認した。また大会組織委員会は、26日にJヴィレッジ(楢葉、広野町)をスタートする聖火リレーの中止を発表した。聖火は当面の間、県内に保管されるという。

新型コロナウイルスの広がりは、1896年に始まった近代五輪史上初の開催年の延期という結果を生んだ。安倍首相はバッハ氏との電話会談に関して、「バッハ氏と遅くとも2021年夏までに開催することで合意した」と述べた。

IOCも24日、安倍首相とバッハ氏が「東京での五輪は、この困難な時期の希望の道しるべになり、聖火をトンネルの終わりの明かりにすることができると合意した」との声明を公表した。大会名は「2020年東京五輪・パラリンピック」のままとすることも示された。

聖火リレーも仕切り直しとなる。26日にJヴィレッジをグランドスタートした後、県内では28日までの3日間、310人のランナーが26市町村を駆け、いわき市は初日の26日、平中心市街地で行われる予定だった。

大会組織委員会によると、聖火ランナーに決まっていた走者の権利を残し、改めて日程を検討する。組織委では走者によるトーチリレーは行わずに、聖火を入れたランタンを車に載せ、コースとなる市町村を巡回する計画を立てていたが、結果的に取りやめとなった。

聖火が県内に置かれる方針については、組織委の森喜朗会長は、安倍首相の提案であると明かし、内堀知事に電話で伝えたところ快諾されたと語った。森氏は「復興五輪」の理念も変わらないとし、「基本原則は崩すものではない」とも話した。(昨晩に一部既報)

写真は、IOCのバッハ会長との電話会談を終え、記者団の質問に答える安倍首相=24日夜(読売・源幸正倫撮影=クリックで拡大)

■小名浜のソメイヨシノ 最も早い開花迎える

小名浜字船引場の小名浜特別地域気象観測所(旧・小名浜測候所)に植えられている標本木とするソメイヨシノが、24日午前に開花した。これを踏まえ、小名浜まちづくり市民会議といわき観光まちづくりビューローは同日午後、開花宣言を行った。

小名浜測候所は平成20年10月に無人化し、特別地域気象観測所に移行した後は、同市民会議と同ビューローが、元測候所職員の協力を得て生物季節観測の一部を継承してきた。現在までに、桜と梅の開花観測を継続している。

24日午前10時ごろ、旧測候所解説官の島田栄二郎さん(76)=常磐西郷町= と同市民会議、同ビューロー事務局が観測したところ、標本木に7輪のつぼみが開いているのを確認した。今年は平年より13日、昨年より5日早く、昭和28年の観測開始以来最早の開花となった。

満開は今月末の見通しで、予定通りならば観測史上最早の満開になる。島田さんは開花について「新型コロナウイルスで重苦しい雰囲気だが、気分転換に桜を眺め、元気を出してほしい」と話した。

写真は、開花宣言となったソメイヨシノ=24日午後(クリックで拡大)

■新型コロナによる休校 県立高は1日に再開 市立小・中は6日から

文部科学省が24日、新型コロナウイルスの感染防止を踏まえ、全国の教育委員会に学校再開の通知を出した件を受け、県教委、市教委ともに、4月からの学校再開の方針を明らかにした。

県教委は24日午後、県立の高校や特別支援学校について、4月1日から再開する考えを発表した。多くの学校が同6〜8日に入学式・始業式が行われるが、いずれも各校に対し、時間の短縮や出席者の限定を伝えた。部活動も同1日から始められる。

市教委は25日午後、いわき市の公立小・中に関して、4月6日から再開すると公表した。同日の入学式に関しては、参加者のスペース確保や、校歌斉唱を一番のみにするなど、実施内容を工夫するよう求めた。部活動も4月6日から再開するが、当面の間、大人数が集まる機会を避けるため、運動部の練習試合や文化部の講習会は控えることを要請する。

県教委、市教委とも発熱などの症状がある場合は、登校しないことを徹底させる。

下図は、文部科学省が学校関係者向けに示した10項目にわたるチェックリスト(読売新聞社配信=クリックで拡大)

■東電 原発処理水の処分手順案示す 30年かけて海洋・大気に

東京電力は24日、福島第一原子力発電所から出る汚染水を浄化した処理水の処分について、国の有識者会議で提言された海洋放出と大気放出(水蒸気放出)の具体的な手順案を発表した。処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を国の基準値の40分の1となる1リットル当たり1500ベクレル未満まで薄めたうえで、廃炉を終えるまでの残り約30年の間に放出する。

東電は、処分の基本的な考え方として、<1>廃炉期間を有効に活用する<2>トリチウム以外の放射性物質の量を「2次処理」で減らす<3>トリチウム濃度も可能な限り低くする――とした。

東電によると、海洋、大気放出とも2次処理をまず行う。その後、海洋放出の場合はトリチウム濃度を海水で薄めて海に流す。「1リットル当たり1500ベクレル未満」は、現在くみ上げて海に放出している地下水の濃度を参考にした。

大気放出はボイラーで蒸発処理し、空気で希釈して拡散させる。いずれも、第三者が放出前に濃度を確認するほか、放出後の監視も強化する。懸念される風評被害については、「適切に賠償対応する」とした。

国は4月6日から地元の意見を聴取して、処理水の処分方法を検討する。これに先立ち、国の指示で東電が今回の案をまとめた。福島第一原発で生じた処理水は、12日時点で約119万トン、約1000基のタンクに貯蔵されている。(読売新聞社配信)