2020年3月24日(火)

■新型コロナ 聖火リレー走者不在の事態に ランタンで巡回に変更

26日にJヴィレッジ(楢葉、広野町)から始まる東京五輪の聖火リレーが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、トーチを走者がリレーせずに、聖火をランタンに入れて車で巡回させる形で実施する方針が決定した。大会組織委員会が24日、県に連絡を入れた。当面の間、聖火リレーにランナーは出走しない。市の担当部署は対応に追われているほか、いわき市を走るランナーからは落胆の声が聞かれた。

県によると、具体的な中身については、聖火リレーが行われる県内26市町村と協議するとしているが、ランタンで聖火を巡回するに当たって、すでに選ばれているランナーに不平等が生じないよう、当日は呼ばないとしている。

新型コロナウイルスの感染防止の観点から、人が集まらないよう、聖火は26市町村それぞれ、一部の場所で短時間のみ展示した上で、首長による写真撮影などにとどめるという。

東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島の3県を順に聖火が回る「復興の火」に関しては、予定通りに進められ、25日午後には小名浜アクアマリンパークでお目見えとなる。

いわき市の聖火リレーは26日、いわき陸上競技場から、いわき芸術文化交流館「アリオス」前までの約5・0キロを駆け抜けるルートとし、平中心市街地で広く市民に披露していく計画だった。

ランナーには、スパリゾートハワイアンズをモデルにした映画「フラガール」に出演した縁から、南海キャンディーズのしずちゃん(山崎静代さん)ら、市内外の24人が決まっていた。

<残念だが機会があればまた走りたい>

いわき市のランナーのうち、平下荒川出身の専門学校生・上野花菜さん(21)=東京都江戸川区=は「走ることができず、とても悲しい」と話す。好間高でフラダンスと出会い、高校時代は東日本大震災で受けた支援に感謝しながら、県内外で年100以上の慰問活動に励んだ。

惜しくも身長が足りずに、本物のフラガールになる夢はかなわなかったが、慰問活動で全国を飛び回る中で、航空業界のおもてなしのすばらしさに気づいた。こうした縁もあって、高校卒業後は観光系の専門学校に進学。米国シアトルに留学もし、4月からは外資系の航空サービス企業に就職する。

部長も務めた上野さんは慰問活動を通じ、逆に勇気をもらったことを振り返り、聖火リレーによって、もう1度自分の思いを伝えたいと走者に名乗りを上げた。

本来は、いわき駅前大通りを走るはずだった。「ぎりぎりの発表になってしまい残念」と、気持ちの整理がまだつかないと上野さん。聖火ランナーには、何らかの救済措置を取ることも検討されており、「もし機会があるならばぜひ走りたい」と語った。

写真は、いわき芸術文化交流館「アリオス」前に立てられた聖火リレーののぼり=24日(クリックで拡大)

■ハワイアンズ一部再開 新型コロナ予防策にセンサー

常磐藤原町の温泉レジャー施設・スパリゾートハワイアンズは24日、日帰り施設の営業を再開した。ハワイアンズでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4日から宿泊施設を除いて臨時休園としていた。

運営する常磐興産によると、内容は平日、休日ともに営業時間を午前10時から午後5時とし、ポリネシアンショーなどの全ステージプログラムは休止する。ショーの再開時期は未定。

また引き続き、宿泊者専用無料送迎バスの運行を休止するほか、食事のバイキングメニュー(夕・朝食)はマスク、手袋を着用したスタッフが取り分け、利用者に手渡すとしている。なお和食メニューの提供は中止。

営業再開後の予防策として、宿泊・日帰り施設の入り口計3カ所に、赤外線サーモセンサーを設置した。体温測定によって、37・5 度以上の発熱があった場合は入場を断る。消毒液の配備も進め、利用者に手指の消毒の協力を呼びかける。

写真は、再開に合わせて設置された赤外線サーモセンサー=24日(クリックで拡大)

■教職員の人事異動発表 新任校長 藤間中に佐川氏(小名浜一中教頭)など

県教委は24日、公立小・中、高校の教職員らの人事異動を発表した。このうち、市内関係の校長では中央台南小校長に、平一小の志賀秀幹教頭ら12人の小学校新任、藤間中校長に小名浜一中の佐川一夫教頭ら3人の中学校新任があった。また小学校では平二の後藤幸一氏ら10人、中学校では平二の永山弘泰氏ら5人が退職を迎える。

人事異動の件数のうち、県内全体の小・中学校など義務教育諸学校は、退職が前年を下回る562件(前年度比71件減)の一方、採用は前年に続いて増加の696件同53件増)、転補は1861件(同57件減)で、総数は前年よりやや増えた3119件(同75件増)となっている。発令は一部を除いて、4月1日付。

■IOC委員「延期決めた」 米紙取材に1年後可能性と

【ニューヨーク=福井浩介】国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員(カナダ)は23日、米紙USAトゥデー(電子版)の取材に対し、「IOCは延期を決定した」とし、東京五輪が2021年に延期される可能性が高いと述べた。

IOCは22日、延期について4週間以内に結論を得ると発表しており、同紙によると広報担当者はこの発言について「22日の発表を解釈するのは全てのIOC委員の権利」と、個人的見解であるとの認識を示した。(読売新聞社配信)