2020年3月18日(水)

■<新型コロナ>聖火リレー いわき市のセレモニー中止 沿道観覧は過度な密集NG

東京五輪の大会組織委員会は17日午後、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、県内で26〜28日の3日間に行われる聖火リレーについて、各市町村のイベントを中止するとともに、沿道の観覧に過度な密集が生じた場合は、走行区間の入れ替えや打ち切りなどの措置を取ると発表した。聖火リレーは26日、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)をスタートし、いわき市でも同日に平中心市街地で繰り広げられるが、事業内容は大幅に変更されることになった。

大会組織委によると、Jヴィレッジでのグランドスタートは無観客とし、地元の子どもたちによる歓迎の催しは取りやめとした。各日のフィナーレとして、南相馬、会津若松、郡山市で実施の関連行事・セレブレーションに関しては、到着式のみとする。

いわき市でも、起点のいわき陸上競技場でのスタートセレモニー、終点の平中央公園でのゴールセレモニーが無くなった。それぞれ地元にちなんだ内容として、フラや吹奏楽のステージが企画されていた。

市によると、いわき陸上競技場には1000人規模の来場を見込み、スタンド総立ちで最初のランナー・南海キャンディーズのしずちゃん(山崎静代さん)を送り出す計画だった。

また平中央公園では、いわき市のホストタウン相手国・サモアにちなみ、ラグビーやウエイトリフティングなど、スポーツを体験するイベントを併催し、参加者は5000人を想定していた。

聖火リレーのいわき市最後のランナーとして、平中央公園にゴールする渡辺陽瀬さん(四倉中・2年)は「こういう事態なので仕方がない」と話す。新型コロナウイルスの影響で、四倉中も休校となっているが、所属する陸上クラブで、週2回の活動を続けている。

「昨年12月の発表後、学校の友人やクラブの仲間、地域の方からもいっぱい応援いただいている」と渡辺さん。大会の中止もささやかれている点に触れ、「アスリートの皆さんは不安を感じていると思うので、自分は少しでも笑顔で元気に走りたい」と誓った。

写真は、国道399号に設置された聖火リレーに伴う交通規制の告知=18日(クリックで拡大)

■<新型コロナ>「復興の火」市のステージも幻に

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、小名浜アクアマリンパークで25日に行われる「復興の火」に際して、市が主催していたステージイベントも中止となった。復興の火は20〜25日、東京五輪の聖火が東日本大震災の被災3県を巡回する企画で、25日午後に小名浜アクアマリンパークでフィナーレとなる。市では聖火を展示するに当たって、いわき市を中心に国内外で活躍する神永宰良さん(舞踊演出家・振付家)を招き、復興の姿や地元の思いを込めた舞台を計画していた。

神永さんは「残念な結果になってしまった。市内の多くの人に参加してもらう構成に仕上げた」と語る。いわき地方の郷土芸能・じゃんがら念仏踊りに加え、会場の小名浜地区の小・中学生に、市内高校の合唱部が参加し、総勢300人あまりのステージだった。

東日本大震災による被災から復興をテーマに、さまざまな表情が展開される内容を検討した。「震災でどうしてもナイーブになってしまった部分がある。そこから絆が生まれ、復興が進んでいく様子をたくさんの人に見せたかった」と神永さん。子どもたちの素直な笑顔とともに、感謝の気持ちを伝える仕掛けも盛り込んだ。

市によると、ステージイベントはオープニングに実施し、聖火を迎え入れる進行を予定していた。本番に向けての練習は進められていたことから、市は現時点では未定としているが、何かの機会に発表されることを期待する。

写真は、「復興の火」に向けて励んだ練習の様子(神永さん提供=クリックで拡大)

■市立美術館 収蔵五輪ポスター展開幕 5月まで3期にわたって

いわき市立美術館1階ロビーで17日から、「亀倉、ウォーホル、リクテンスタイン…『現代美術のアスリートたち』――所蔵オリンピックポスターによる」が始まった。5月17日まで。

開催を機に制作されるオリンピックポスターには、大会のエンブレムやロゴをあしらい、大会の理念やイメージを発信する「公式ポスター」のほか、その時代の名だたる作家たちが制作した芸術性の高い「アートポスター」、さらには開催地の文化を紹介する「カルチャーポスター」なども含まれる。

会期中の5月2日午後2時から3時まで、同美術館3階セミナー室でスライドトーク「スポーツとアートの意外な関係」を開く予定。講師は美術館学芸員。参加費は無料。定員は先着50人(予約不要)となっている。

観覧無料。開館時間は午前9時半から午後5時(入館は同4時半)まで。毎週月曜日休館(ただし5月4日は開館し、同7日休館)。問い合わせは同美術館= 電話(25)1111=へ。会期は17日〜4月5日、4月7〜26日、4月28日〜5月17日の3回。

写真は、3期に分けて展示される五輪ポスター展=18日(クリックで拡大)

■除染廃棄物に大雨流出の懸念 いわき市では2カ所該当で対策へ

東電福島第一原発事故に伴い、除染廃棄物が仮置き場に保管されているが、昨年10月の東日本台風(台風19号)と同じ規模の大雨が降った場合、いわき市が管理する2カ所を含む県内12カ所の仮置き場で、河川への流出や、土石流で袋が破れる懸念があることが分かった。環境省が17日に明らかにした。

東日本台風に際しては、田村市や飯舘村などで、除染廃棄物が入った袋「フレコンバッグ」から、中身が河川に流出する事態が起きている。環境省ではこの件を踏まえ、河川の近くなどの仮置き場322カ所を詳細に点検した。

環境省によると、いわき市で該当する2カ所の総保管量は2万5162立方メートル。市によると、環境省との協議を済ませており、1カ所は早期の搬出が行われるほか、もう1カ所に関しては防護柵の設置を予定する。対策は5月までとしている。

また環境省では豪雨などが予想される時、関係行政機関や業者との連絡体制をあらかじめ確認し、前もっての点検を図る方針を示した。