2020年3月14日(土)

■出発進行!浜通りの未来へ 常磐線9年ぶり全線開通

JR常磐線は14日、東日本大震災・東電福島第一原発事故に伴い、不通となった富岡(富岡町)―浪江(浪江町)駅間の運行を再開し、およそ9年ぶりに全線開通を迎えた。全線開通に当たって、品川駅・上野駅―仙台駅間で特急「ひたち」を3往復が設定されており、観光やビジネス需要に応えることで、復興が進む浜通りの未来を支えていく。14日は双葉駅(双葉町)で特急列車出迎え式が行われたほか、沿線の各駅では地域住民が乗客を歓迎した。

常磐線の富岡―浪江駅間には、原発事故による帰還困難区域も含まれていたが、双葉駅周辺は4日、大野駅(大熊町)周辺は5日、夜ノ森駅(富岡町)周辺は10日をもって、避難指示が解除されたため、駅周辺への立ち入りが可能となった。住民の帰還や企業の進出を見据え、駅舎の改修もそれぞれ進められた。

全線開通となった14日、いわき駅では午前5時23分に、原ノ町駅(南相馬市)行きの下り1番列車が出発した。ホームには列車が入線する前から、多くの鉄道ファンが詰めかけ、およそ9年ぶりに表示される「原ノ町」の電光掲示板や、原ノ町・仙台方面と書かれた行き先表示を熱心に撮影していた。

平一小6年の霜村康仁君(12)も、この日を待ちわびていた一人。幼いころに常磐線に乗った経験はあるが、記憶にないため、「自分にとっては初めての全線開通です」と笑顔で語った。

ホーム上では「沿線地域の皆さま、列車をご利用されるお客さまの支えがあり、ここまで来られました。今後ともJR東日本いわき駅ならび、常磐線をよろしくお願いいたします」との案内が流れていた。

14日からは、JR東日本の交通系ICカード「SUICA(スイカ)」のエリアも拡大した。いわき―浪江駅間が首都圏エリア、小高駅(南相馬市)以北が仙台エリアとなり、これをまたいでは利用できない。併せて、Jヴィレッジ駅(楢葉町)が臨時駅から常設駅となった。

写真は、いわき駅のホームに示された「原ノ町」の電光掲示板。多くの鉄道ファンが朝早くから詰めかけた=14日午前5時20分(クリックで拡大)

<沿線の風景より>

写真上は、双葉駅での特急列車出迎え式。下は、大野駅で乗客を歓迎する地域住民ら(いずれもクリックで拡大)

■メバチなど約12トン水揚げ いわき海星高「福島丸」

いわき海星高(松本善法校長)専攻科の1年生15人を乗せた漁業練習船「福島丸」(総トン数665d、桑原茂樹船長)が13日、アメリカ・ハワイ州近海などでの51日間に及ぶ第3次航海実習を終えて小名浜港に帰港し、ハワイ近海で漁獲したメバチ、キハダマグロ、クロカワカジキなど約11・826トンを水揚げした。

本年度最後となる航海実習には、乗組員と指導教諭20 人のほか、実習生として専攻科海洋科から9人、機関科から6人が参加した。

同船は1月23日に小名浜港を出港し、目的地となるホノルル港までの途上、実習生たちは海技士免状取得に向けた海洋観測や操船、機関技術を学びながら、15度に及ぶマグロはえ縄漁に挑戦。2月26日にホノルルへ入港した。

水揚げは帰港式後、接岸先の小名浜港1号ふ頭で行われ、実習生が見守る中、漁獲された冷凍のマグロなどがクレーンでつり上げられ、荷受け業者の山菱水産(本社・小名浜字芳浜、村山雅昭代表取締役社長)のトラックに積み込まれた。

水揚げされたマグロは、今回も<福島丸ブランド>として市内のスーパーや小売店で販売される予定。

写真は、無事帰港した実習生が見守る中、クレーンでつり上げられるマグロ=13日(クリックで拡大)

■「復興の火」大幅縮小に いわき市のステージイベントは中止

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は13日、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城、岩手、福島3県で20〜25日に聖火を巡回展示する「復興の火」の関連イベントを縮小すると発表した。大人数が長時間集まるステージイベントを主に取りやめる。

聖火は、20日に宮城県東松島市に到着後、聖火リレーの開始(26日)前日まで3県で順次展示される。宮城県は、20日の石巻南浜津波復興祈念公園(石巻市)での小・中学生約350人による聖火の迎え入れと、21日に仙台駅東口で予定していたパネル展「復興の歩み」を取りやめた。

岩手県は、22日に三陸鉄道リアス線とJR釜石線の計7駅(宮古―花巻駅)前で行う予定だった子供による郷土芸能披露などをやめる。大船渡市での23日のステージイベントも中止する。

福島県は、24日の福島駅東口駅前、25日のアクアマリンパーク(いわき市)でのステージイベントをいずれもやめた。県の担当者は「多くの人に見てもらうために準備してきたのでつらい」と話した。

大会組織委員会は、26日に福島県で行われる聖火リレーの出発式について、無観客で実施する方針。

<ギリシャの聖火リレーは中止に>

【ローマ=笹子美奈子、ミケーネ(ギリシャ南部)=飯島啓太】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ギリシャの五輪委員会は13日、ギリシャ国内で行われている東京五輪聖火リレーの中止を決めた。ギリシャ五輪委員会は19日の日本側への聖火引き継ぎ式は無観客で行うとしており、聖火は空路で日本に向かう予定だ。

聖火は12日、ギリシャ西部オリンピアで行われた採火式で点火された後、リレーが始まっていた。採火式は無観客で行われたが、リレーでは沿道に多くの見物客が集まった。このため、感染拡大を懸念する政府の要請を受け、午後から突如中止された。

ギリシャでは12日の採火式直前から感染者が急増し、13日現在で117人の感染者が確認され、12日に初の死者が出た。

聖火ランナーとして中継地点のミケーネで待っていたアテネ五輪のハンドボール・ギリシャ代表選手、ハルキデス・ギョルゴスさん(42)は中止を知って、「とても悲しい。アテネの時もトラブルで走れなかったので楽しみにしていたのに」と肩を落としていた。

日本国内の聖火リレーについて、東京五輪大会組織委員会は13日、「予定通り26日から実施する」とのコメントを出した。(読売新聞社配信)

写真は、遺跡前で聖火の到着を待つリレーランナー。聖火は到着しなかった(読売・飯島啓太撮影)=13日(クリックで拡大)

■市一般廃棄物センター 新病院づくり応援基金に寄付

いわき市一般廃棄物センターは13日、「市新病院づくり応援基金」に18万4千円を寄付した。寄付金は1月18日、いわきワシントンホテル椿山荘で開いた新年祝賀会の席上、出席者から寄せられた浄財。同センターからの寄付は、今回で8回目・累計152万7千円になる。

贈呈式は市役所応接室で行われ、同センターの片岡研一事務局長、福田法良小名浜基地監督、事務局員の坂本純子さんが訪れた。片岡事務局長が「施設の整備などに役立ててください」と話し、清水市長に目録を手渡した。

受け取った清水市長は「継続した寄付をありがとうございます。大切に使わせていただきます」とお礼を述べた。

写真は、清水市長、福田監督、坂本さん、片岡事務局長(左から)=13日(クリックで拡大)