2020年3月7日(土)

■きょう常磐双葉IC開通 来県の安倍首相「引き続き復興の前面に」

東電福島第一原発事故からの復興が進む双葉町に7日、常磐道の新しいIC(インターチェンジ)として、常磐双葉ICが開通した。4日にはJR双葉駅周辺の帰還困難区域など、一部地域の避難指示が解除した双葉町へのアクセスとして、令和4年春目標の住民帰還に向け、復興の加速化が期待される。7日午前の式典には安倍首相も出席し、開通を祝した上で「福島の復興なくして日本の復興なし。引き続き政府として、復興の前面に立っていく」と誓った。

常磐双葉ICは、大熊町の大熊ICと浪江町の浪江ICのほぼ中間に位置する。県道井手・長塚線沿いに料金所があり、一般、自動料金収受システム(ETC)の両レーンを完備する。利用車種は問わず、24時間利用できる。いわき中央ICとの普通車・通常料金は1580円。

周辺は帰還困難区域だが、県道井手・長塚線は4日から自由通行が始まり、国道6号、県道いわき・浪江線(通称・山麓線)のどちらの方面にも通行できる。福島第一原発からは北西に約7キロ。

双葉町は復興に当たって、国に対し、町内にICを設置するよう要望活動を展開。平成27年8月に事業許可が出され、工事は29年6月に着工式を迎えた。原発事故による避難指示によって、双葉町は平成25年6月から、いわき市東田町に役場機能を移転している。1月末現在、市内には町民の約3割に当たる2180人が避難している。

伊沢町長は「常磐双葉ICは、町の復興に大きく寄与すると思っている。住民の方はもちろん、多くの方に町に来ていただき、復興が進む様子を感じてほしい」と語り、今後の企業誘致や、福島第一原発の廃炉作業、原発事故による除染土の中間貯蔵施設搬入に関しても、より進ちょくするだろうと期待感を示した。

式典は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、規模縮小で実施されたが、安倍首相のほか、赤羽一嘉国土交通相、森雅子法相(いわき市泉町)、内堀知事らも参加した。赤羽氏も来賓あいさつに立ち、「常磐道全体の4車線化に全力を尽くす」と述べた。

安倍首相は東日本大震災から9年を前に、6、7日の2日間の日程で来県しており、双葉駅や浪江町の水素製造拠点なども視察した。なお7日午後に予定された営業開始セレモニーは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった。

写真は、常磐双葉ICで行われた開通式典=7日(クリックで拡大)

■きょう初の「魚食の日」 スーパーなどで記念事業

2月に制定された「いわき市魚食の推進に関する条例」に合わせ、7日は初めての「魚食の日」を迎えた。議員提案によって、水産物の消費拡大などを目指した条例では、毎月7日を「魚食の日」と定めており、広く市民に魚を食べる機会を提供していく。

魚食に関する条例は県内初。特にいわき市の水産物は「常磐もの」のブランドで知られており、条例を通じ、栄養バランスの良い健全な食生活の実現や、水産資源の持続的な利用の配慮も図る。

初の「魚食の日」として、企画の趣旨に応じた市内のスーパーマーケットや鮮魚店、飲食店で7日、一品サービスや割引、加工品進呈などの記念事業が行われた。マルトは平下神谷のSC草野店、小名浜大原のSC君ケ塚店で、近海小魚を一皿300円均一で販売し、多くの買い物客が次々とかごに入れていった。

市では「魚食の日」をPRするため、店舗用ののぼりや、市の魚・メヒカリの唐揚げを盛り込んだポスターも制作し、多くの人に事業を広めてほしいとしている。

なお条例では、特に毎年3月7日は「さかなの」の語呂合わせから、市や事業者、消費者が協力し、魚食の日にふさわしい催しも開催する方針を掲げているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、取りやめることを決めた。

写真は、初の「魚食の日」に合わせた記念事業=7日、マルト草野店(クリックで拡大)

■市の備蓄放出 医療機関などにマスク約9万枚配布へ

市は6日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いわき市でも不足しているマスクについて、市内の医療機関や福祉施設、児童施設に対し、市の備蓄から約9万枚を配布すると明らかにした。

市では災害に備え、約10万枚のマスクを持っており、うち非常時配備用の約1万枚を除いて、医療機関などに放出する方針を決めた。準備が整い次第、速やかに配っていく。

■9日から 一部の公共施設休館 医療Cも面会制限 新型コロナ

市は6日新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者や障がい者が多く利用する公共施設として、9〜31日の間、市健康・福祉プラザ「いわきゆったり館」のクアハウス、サンアビリティーズ、老人福祉センター(平、勿来、内郷、四倉)、小名浜老人憩いの家について、休館とすると明らかにした。

また市医療センターも9日から、当面の間は面会制限の措置を取る。原則として家族も含むが、入退院時など必要に応じて認める。その際は入り口前で看護師が体温を確認する。衣類などの受け渡しは、病院入り口前で対応する。問い合わせは、市医療センター事務局医事課=電話(26)3997=まで。

■いわき信組・日本公庫 飲食店向け協調融資商品を発表

いわき信用組合(江尻次郎理事長)、日本政策金融公庫は6日、飲食店向け協調融資パッケージ「Super 三本の矢」の開始を発表した。この商品は飲食業の起業、開業、店舗改装などの設備資金など幅広く受け付けることが目的。いわき信組と日本公庫は新型コロナウイルス感染拡大の中、地域の飲食店に対し円滑な資金供給を協調して行う方向性を示している。

いわき信組の融資額は、50万円以上2500万円以内。期間は最長10年とし、利率は年2・2%〜9・5%。同金融公庫は各融資制度の取り扱いに準じる。

発表はいわき組合会議室で行われ、星光彦常務理事が「日本政策金融公庫さんと連携しながら、金融仲介に務めたい」、奥田公則日本公庫いわき支店長は「飲食店は地域の顔で住民に安らぎを与える場。支援することでにぎわい創出につながると思う」と述べた。

また、いわき信組は「いわしん新型コロナウイルス感染症対策資金」、日本公庫は「新型コロナウイルスにかかる感染衛生環境激変特別貸し付け」も取り扱っている。

問い合わせは、いわき信用組合融資部=電話(92)4113、日本政策金融公庫いわき支店=電話(25)7251=まで。

写真は、協調金融商品を発表する星常務理事(右)と奥田支店長=6日(クリックで拡大)