2020年3月5日(木)

■センバツ無観客前提へ 磐城ナインは直前に甲子園入り

日本高野連は4日、大阪市で第92回選抜高校野球大会の運営委員会と臨時理事会を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で19日に開幕を予定している選抜大会の通常開催を断念。出場校に無観客試合での開催を前提に準備を進めることを要請した。

21世紀枠で46年ぶりに出場する磐城は関東遠征や対外試合などを自粛し、大会まで自主練習での調整に変更。全国各地で感染が確認される見えない恐怖と戦いながら、聖地での<春一勝>を目指す。

本年度から新制度となった県立高校入試が行われた4日午後5時半ごろ、高野連からの審議連絡の結果が大場敬介部長の元に届いた。阿部武彦校長は「無観客の流れは示されたのでホッとしている。子どもたちの夢がついえなくてよかった」と胸をなでおろし、「高野連の結果を注視しながら、今後の動きを考えていきたい」と語った。

同校では5日夕、後援会との臨時会議を実施。無観客試合となった際、観戦予定の生徒や保護者、OBらへの対応について話し合った。バス30台ほどをチャーターする予定だったがキャンセルする考え。

一方、木村保監督は午後6時、岩間涼星主将(2年)に高野連の審議結果を伝えた。「こういう情勢だから仕方がないが、不安でいっぱいだった。どういう結果でも子供たちにどんな言葉で伝えようか、一日そのことばかり考えていた」と話した。「校長先生と同じ気持ち。いわきで練習できる環境づくりをしていきたい」と木村監督。

当初の予定では11日にいわきを出発し、現地入りする予定だったが、「ギリギリまでいわきで調整し、直前に甲子園入りすることになると思う」とぶっつけ本番で聖地での戦いに挑むつもりだ。

<最終結論は11日 高野連・八田会長「できるところまでやりたい」>

開催の可否が注目されていた第92回選抜高校野球大会は、無観客で行うことを前提に準備を進めることになった。中止も含めた最終結論は11日に判断するとし、日本高野連の八田英二会長は、大阪市内での記者会見で理解を求めた。

八田会長は「日々、状況が変わる中で議論を重ねた。今、決断するのではなく、11日まで(の状況)を勘案して判断したい」と説明。応援団などの手配が必要な出場校に配慮して「無観客」の方針を示したうえで、2月26日に政府が、大規模イベントについて今後2週間の自粛を要請したことを受け、11日を結論の期日とした。

今春予定されている高校スポーツの全国大会が相次いで中止となる中、「今のところ、専門家の意見を聞いて中止(という判断)にはならなかった」と説明した。

大会延期の選択肢については、甲子園球場がプロ野球で使用されることや、大会が主に春休みに実施されることから、大会会長の丸山昌宏・毎日新聞社社長は「現実的に難しい」と話した。規模縮小についても、「やるからには無観客でも本来の大会に近い形を探った」と語った。

無観客となる場合は、19日の開会式に加え、15、16日の甲子園練習なども中止する方針。出場校には、感染リスクの軽減と練習機会の公平性を確保するため、15日までは自校での練習に限り、練習試合や遠征合宿の自粛を求めた。

会見ではまた、日本野球機構とJリーグが設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」にも高野連として出席し、今後の判断に生かす考えを示した。高野連は、出場校へのマスクや消毒液の配備、宿泊施設や移動のバスでの感染予防などについて感染症の専門家らの指導を受けて対策を立てる。

感染症予防が十分に取れているかは、11日の臨時の大会運営委員会で判断し、その後も情勢を見極める。八田会長は「最も簡単な選択は開催中止だが、なんとか私たちのできるところまではやりたい」と語気を強めた。(読売新聞社配信)

写真は、無観客で開催する方針を表明する日本高野連の八田会長(右)=4日午後(読売新聞社撮影=クリックで拡大)

■小名浜の遊覧船 9月までに復活! 新会社設立

いわきタクシーグループ(本社・小名浜字上町、門馬成美代表)と磐栄ホールディングス(本社・泉町下川、村田裕之代表取締役)は、小名浜港で長らく親しまれてきた本県唯一の海上観光遊覧船を復活させるため、新会社を設立する。

両社ではすでに総トン数77トンの観光遊覧向けの船舶を導入しており、半年以内の事業再開を目指す。

本県の海洋観光資源を支え続けてきた観光遊覧船が昨年9月をもって廃業した後、観光遊覧船業の不在に伴う1、2号ふ頭間の親水空間アクアマリンパークの魅力低下、賑(にぎ)わいの減退を懸念し、同年11月に小名浜まちづくり市民会議と地元の事業者、行政を含む港湾関係者が「小名浜港を学び楽しむ未来研究会」(正木好男会長)を発足。

復活を念頭に勉強会を重ねるなどして模索を続け、このほど両社が共同出資して新会社を設立し、観光遊覧船業に取り組むことが決まったという。

関係者によると、船着き場は1号ふ頭、市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」の西側岸壁を想定。新会社の設立と並行して船舶の船検準備、運航の許認可申請、届け出などの手続きを踏み、遅くとも9月をめどにクルーズ船事業の再開を目指す。

昨年9月まで運航していた観光遊覧船「ふぇにくす」の総トン数は118トン。

写真は、観光遊覧船としての使用を見込み導入した船舶(クリックで拡大)

■県合庁でトーチ展示 市主催の聖火行事は縮小に

県は5日から、東京五輪の機運を高めるため、平字梅本の県いわき合同庁舎で、聖火トーチの巡回展示を始めた。トーチは日本を代表する花・桜の形をモチーフとしており、東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復興を願った五輪でもあることから、応急仮設住宅で使われたアルミの廃材が用いられている。聖火リレーは26日、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)をスタートし、同日午前から昼にかけて、いわき市平の中心市街地を駆ける。

トーチは桜とともに、五輪のエンブレムもかたどっている。5つの輪にちなみ、5つの炎が上がる仕組みとなっており、技術的な工夫によって、日本各地のさまざまな環境でも、燃焼が続くようつくられているという。

また新幹線にも使われるアルミ加工の技術が施され、トーチには継ぎ目が一つもない。展示は9日まで(7、8日は除く)。時間は午前8時半〜午後5時15分。なおトーチはアクリル台に設置され、持つことはできない。

こうした取り組みが進む中、聖火リレーの本番は近づいているが、懸念されるのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は4日、聖火リレーに関する方針を明らかにし、個別の聖火リレーの実施形態については、聖火リレーを実施する当該都道府県の感染状況等を踏まえ、検討するとしている。

都道府県ごとに、実施1週間前までに対応を決めるが、状況次第では沿道での観覧自粛を呼びかける可能性もある。聖火ランナーらに対し、体調の悪い場合は参加しないことや、手洗い・咳(せき)エチケットの徹底を呼びかけるほか、検温などによって、健康管理をしっかり図るとした。

いわき市の聖火リレーでは、起終点のいわき陸上競技場、いわきアリオス前でそれぞれセレモニーが催される予定だが、市の担当者によると、現時点では規模を縮小して実施する方針。

写真は、展示が始まった聖火リレーのトーチ=5日(クリックで拡大)

■河津桜 見頃を迎える 佐糠町の子どもグラウンドなど

市南部地区では早咲きの河津桜が暖冬の影響からか、例年より2週間ほど早く満開となり、見ごろを迎えている。勿来地区の河津桜の名所として親しまれている佐糠町の子どもグラウンドでは、管理する常磐共同火力勿来発電所が3日に河津桜の満開を宣言。

4日夜は双葉郡双葉町の避難指示の一部解除を受け、同発電所の煙突ライトアップ「勿来ゆめライト」が同町のイメージカラーの緑に輝き、雨上がりの夜桜と、未来への希望を込めたライトアップの幻想的な情景を撮影しようと、アマチュアカメラマンの姿がみられた。

また小名浜地区では、小名浜大原の徳蔵院(渡辺叡照住職)に咲く50本ほどの河津桜が満開を迎え、檀(だん)信徒や地域住民を喜ばせている。

裏千家茶道正教授としても活躍する住職の妻祥子さんの思い出の花として、二十数年前に静岡県伊東市から苗木を取り寄せたもので、寺院の名物として親しまれている。4日の雨と桜の花を好むヒヨドリの影響で所々葉桜となっているが、今が見ごろ。

「例年はお彼岸の中日が見ごろなんですが、今年は早い。1週間は楽しめるかな」と渡辺住職と祥子さん。5日午前も次々と檀信徒や住民が訪れ、目を細めながら花々を眺め心を和ませていた。

写真は、満開に咲き誇る佐糠町の夜桜。4日夜は煙突ライトアップとの共演を撮影しようと写真愛好家が訪れていた(クリックで拡大)