2020年3月3日(火)

■新型コロナ 公立小・中あすから休校 閉校の大野一小は最後の授業・給食に

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いわき市の公立小・中は3日、本年度最後の登校日を迎えた。文部科学省の通知を踏まえ、市は4〜23日を臨時休校とすることを決めており、翌24日からそのまま春休みに入るためだ。なお小学校は23日、中学校は13日に卒業式を開くが、いずれも規模を縮小して実施する。このうち、四倉町玉山の大野一小(四家知美校長、児童数29人)は今春をもって閉校するため、子どもたちにとっては学校生活最後の一日となった。

大野一小は明治6(1873)年6月、恵日寺(四倉町玉山)に「玉山小」として開校。同15年に現在地に校舎を新築・移転した。玉山尋常小、大野尋常小など名称が変わり、昭和22(1947)年に大野村立大野一小となった。同30年に四倉町立に、同41年からいわき市立に改まった。

「ドレミの歌」などで知られる歌手のペギー葉山さん(1933―2017)が、戦時中にいまの大野一小に疎開した経験を持ち、平成25(2013)年には東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復興を願い、来校してミニコンサートを開催した。

文部科学省の通知では、2日から臨時休校とされたが、自治体や学校の判断で長さは決定できるとされ、いわき市の公立小・中は2日間の猶予期間を設けた。147年の歴史を持つ大野一小にとって、23日の卒業式を除いて、唐突に訪れた最後の日だが、子どもたちは変わらず元気な姿を見せた。給食には桃の節句にちなみ、「ちらし寿司」や「ひなあられ」が振る舞われ、おいしそうに食べていた。

草野翔大君(6年)は「もっと学校の給食を食べたかった。最後なので味わって食べたい」とにっこり。6年間の思い出を聞くと、毎年恒例のもちつきとはにかんだ。日に予定していた閉校記念式典は中止となったが、23日の卒業式に合わせ、校旗の返納や記念碑の除幕を行う。5年生以下の児童24人は4月から、四倉町狐塚の大浦小に通うことになる。

写真は、大野一小での最後の給食を味わう子どもたち=3日昼

■日本の取り組み理解を 大使館関係者 とまとランドに

日本の脱炭素社会の取り組みを理解してもらおうと、外務省が在日大使館の関係者を招いた「スタディツアー」が3日、いわき市で行われている。温室効果ガスの排出を実質的にゼロにするため、国際的な枠組みが図られている中で、スタディツアーを通じ、日本も積極的に実現を目指している点を、世界に発信していく。

スタディツアーにはポーランドの二等書記官、韓国の公使参事官、フィリピンの政治公使の3人が参加。二酸化炭素(CO2)を資源として有効利用する「カーボンリサイクル」も含めた「CCUS(CO2回収・有効利用・貯留技術)」をテーマとしている。

3日午前には、四倉町長友のとまとランドいわきを訪れた。とまとランドいわきでは、暖房のプロパンガスで生じる二酸化炭素を、ハウス内に冷やして引き込むことで、トマトの光合成を促進させている。オランダの研究機関によると、この技術によって、トマトの生産量が20%上がるほか、形も大きくなるという。

在日大使館の関係者はハウスに入り、とまとランドいわきの元木寛専務取締役から説明を受け、環境に配慮しながら、品質の良いトマトを生産する仕組みを学んだ

一行は2日間の日程でスタディツアーに臨んでおり、前日の2日は千葉県の大学や企業で最新技術に触れた。3日午後は環境性の高い火力発電所として、岩間町で整備が進む「石炭ガス化複合発電(IGCC)設備」を視察する。

写真は、元木氏の説明を受ける在日大使館の関係者ら=3日(クリックで拡大)

■労災病院の移転進まず 運営元は事前準備中と説明

内郷綴町の福島労災病院の老朽化などに伴い、中央台飯野の医療創生大敷地内に移転する計画が、思うように進んでいないことが2日、分かった。平成29年5月に市、学校法人いわき明星大(当時=現・医療創生大)、福島労災病院を運営する労働者健康安全機構と、移転に関する基本合意を締結し、数年後に新病院が完成する方針が出されていた。

だが市によると、病院側から土地取得の範囲について考え方が示されないため、労働者健康安全機構に早期に伝えるよう申し入れしたところ、「まずは移転予定地の地盤等を調査したい」との回答が寄せられた。

合意を交わした三者によって、昨年9月に地盤調査の同意がされたが、市が1月にその後の進ちょくを確認すると、事前準備を行っており、まだ調査に着手していないとの話だった。

飯尾仁市保健福祉部長は2日、市議会2月定例会の席上、小野邦弘議員(清政会)の一般質問に対し、「今後の地盤調査の結果と判断を待って、移転に関する協議を進めていきたい」と語った。

福島労災病院は昭和30年3月、常磐炭鉱と関連産業の労災に対応するために設立。老朽化や東日本大震災の被災に伴い、建て替えや移転が打ち出された。

■低学年保護者に相談の通知出す 新型コロナ

市は2日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、公立小・中が臨時休校するのに合わせ、小学1〜3年の児童保護者に対し、子どもの預け先がどうしても見つからない場合には、それぞれの学校に相談するよう通知を出した。

通知では4〜6日、家庭の準備期間として、学校での預かりも含めて対応するとしている。清水市長が2日、臨時の市長記者会見で、通知を出したことを明らかにした。

■厚労省 休職した保護者の支援 1人当たり日額8330円上限

厚生労働省は2日、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための臨時休校に伴う保護者の休職支援策を発表した。新たな助成金制度を設け、保護者に有給休暇を取得させた事業主に対し、原則として、休暇中に支払った賃金全額を支給する。正規雇用だけでなく、非正規雇用の従業員も対象とする。

対象は、臨時休業した小学校や特別支援学校(高校まで)、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもを世話する保護者。子どもが風邪症状などウイルスに感染した恐れがある場合も対象とする。

事業主が年次有給休暇とは別に、賃金を全額支給する有給休暇を取得させた場合、休暇中に支払った賃金全額を支給する。大企業、中小企業とも共通で、支給額は1人当たり日額8330円を上限とする。

新たな助成金制度を適用するのは、2月27日〜3月31日の間に取得した休暇とする。(読売新聞社配信)