2020年2月29日(土)

■新型コロナ 市内公立小・中は4日から休校 卒業式は簡素化も予定通り

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、文部科学省が28日、政府の方針に基づき、全国の小・中学校、高校、特別支援学校を臨時休校とするよう通知を出した件で、いわき市の公立小・中は3月4〜23日の間、休校とすることが決まった。同2、3日は通常通り登校する。県立高校は同2日から休校とするが、翌3日は登校日とする。特別支援学校は同2日から休校となる。県立高入試前期選抜は予定通り同4日に行う。

文部科学省の通知では、3月2日から春休みまで臨時休校とした一方、自治体や学校ごとに期間は判断できるとしており、いわき市の公立小・中は、家庭学習の事前指導や保護者への配慮、県立高入試前期選抜が控えている点を踏まえ、2日間の猶予期間を設定した。

市教委では28日昼の時点で、少なくとも3月2日は登校日としており、その後の日程をどうするか検討を重ねていた。

清水市長は28日夜、市役所で臨時記者会見を開き、市内の民間企業に対し、子どもを持つ親が休暇を取りやすい環境を求めた。市職員に対しても必要な家庭には対応する。また市では学童保育も開設し、受け入れ人数が多い際には、学校の教室も開放する。

卒業式に関しては変わらず、小学校は3月23日、中学校は同13日に開催するが、市関係の来賓は無しとし、内容もできる限り簡素化する。

なお公立保育所・幼稚園は、家に一人でいることができない年齢層であり、通常通りの開所・開園を決定した。感染予防の観点から、各施設には手洗い等の徹底を呼びかけている。

県立学校については、鈴木淳一県教育長が28日夕方、福島市で記者会見を実施した。いわき市を含む多くの県立高は3月1日が卒業式だが、規模を縮小した上で中止としない。同3日の登校日では、学習指導や家庭との連絡体制を確認するほか、国公立大学の後期試験に向けての対応も図っていく。

特別支援学校は地元の福祉関係の受け皿がそろうまでは、必要な生徒に対しては学校で受け入れる。

臨時休校に関する記者会見をする清水市長=28日夜(クリックで拡大)

■新型コロナ アンサンブル全国大会中止に 落胆も練習励む

全日本吹奏楽連盟は28日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月20日に開催するアンサンブルコンテストの全国大会「第43回全日本アンサンブルコンテスト」の中止を明らかにした。

アンサンブルコンテストは、3〜8人の管打楽器の演奏が審査され、全国大会は福井県立音楽堂ハーモニーホールふくい(福井県福井市)を会場に、いわき市からは東北代表として、磐城高・フルート6重奏、医療創生大・木管3重奏が出場を決めていた。

このうち、磐城高・フルート6重奏を率いる庄司瑞輝さん(17)=2年=は、「言葉にできない。ただただショック」と落胆の色を隠さなかった。27日の時点でSNSでは、中止のうわさが流れたが、公式発表ではないと開催を信じていた。

吹奏楽部顧問の橋本葉司教諭(60)から、正式に中止の報告を受けたが、「(フルート6重奏の)メンバーはみんなだまってしまった」と庄司さん。「全国大会に出られず涙をのんだ部員のためにも、一生懸命本番に向けて練習に励んできた」と話す。まだまだ複雑な心境だが、変わらず仲間を支えている。

橋本教諭は「吹奏楽部は震災・原発事故や、昨年の水害を乗り越えてきた。逆境に負けず、この気持ちを次のエネルギーに変えてほしい」と鼓舞していた。

写真は、変わらず練習に打ち込む庄司さん(左から2人目)ら=28日夕方(クリックで拡大)

■磐城ナイン必勝祈願 飯野八幡宮で聖地勝利誓う

第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕・阪神甲子園球場)に21世紀枠で出場する磐城ナインが29日、平・飯野八幡宮で、必勝祈願を行った。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同校野球部は当初予定していた神事を自粛し、参拝のみにとどめた。

部員20人は、保護者会(市毛芳幸会長)が用意した偉大な先輩たちが夏の甲子園で準優勝した昭和46年発行の5円玉を賽銭箱に納め、聖地での必勝を誓い、手を合わせた。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、全国各地で各種大会やイベントの中止、延期が相次ぐ。同校野球部も3月5〜9日に予定していた関東遠征の中止を決めた。

「開催を想定し、大会に備えるだけ」と木村保監督。選手とともに参拝したマネジャーの遠藤百恵さん(2年)は「何とかして開催してほしい」と願い、「大会で本領を発揮してほしい」と選手たちの頑張りに期待を寄せた。

このあと、選手たちは再びグラウンドに戻り、ウオーミングアップを済ませたあと、紅白戦2試合を行い、約20日後に迫った開幕に備えた。

写真は、飯野八幡宮で必勝祈願をする磐城ナイン=29日(クリックで拡大)

■小名浜の観光地も閑散 新型コロナ影響与える

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が全国的なスポーツや文化イベントなどの中止や延期、規模縮小の要請を行い、初の週末となった29日。市内随一の交流人口を誇る小名浜のアクアマリンパークでは午前の段階で通常より車や人の往来が少なく、周辺の商業・観光施設にも影響を与えている。

市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」によると、県外などからの団体客のキャンセルが相次いでおり、個人利用も「例年よりかなり減っている状況だ」。ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」では、政府の要請があった26日より昨日までの入館者数は昨年比で平年並みか増加傾向と影響はなかったというが、29日は出足が鈍く、昨年比で昼前の段階で4割ほどの利用にとどまっている。

「天気などに左右されるため、コロナウイルスが原因かどうかは現状では判断できない」。ただ、同館では感染拡大予防の観点から高齢者比率の高いボランティア団体「アクアマリンふくしまボランティアの会」の活動を当面自粛して釣り体験などのイベントを縮小、明日開催予定のちりめん細工教室も中止と決めた。

来館者のマスク着用率は高く、群馬県前橋市から3歳児と小学生の娘2人、夫と家族5人で訪れた会社員の女性(41)は「6年生になる長女の卒業旅行でいわきに来た。2泊3日の予定で、不安はあったが、マスクやアルコール消毒など自分たちでやれることをして良い思い出をつくりたい」と話し、展示を満喫していた。

また同館では各所にアルコール消毒液とマスク着用、手洗いの励行を促す表示を設置し、注意を呼び掛けている。

写真は、アルコール消毒の利用などを促す表示を前に館内を歩くマスク姿の来館者たち=29日、アクアマリンふくしま(クリックで拡大)