2020年2月26日(水)

■聖火リレーまで1カ月 平中心市街地は当日交通規制 3月5日からはトーチ展示も

2020年東京五輪の聖火リレーが、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)をスタートするまで、26日で残り1カ月となった。県内の聖火リレーは3月26〜28日の3日間、県内26市町村を巡る。いわき市には初日の26日に入り、午前11時39分にいわき陸上競技場を出発し、午後0時52分にいわき芸術文化交流館「アリオス」前に到着する。県は25日、聖火リレーに伴う交通規制を明らかにした。

聖火リレー本番に先立ち、県は26日から、県内7地区でトーチの巡回実施を始めた。いわき地区では3月5、6、9日の計3日間、平字梅本の県いわき合同庁舎にお目見えとなる。なおトーチはアクリル台に設置され、直接手に持つことはできない。時間は午前8時半〜午後5時15分。

リレー前日の3月25日には、小名浜港アクアマリンパークで「復興の火」と銘打ち、聖火が特別展示される。復興の火は東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島の3県を回り、アクアマリンパークが最後となる。時間は午後2時半〜6時。

いわき市の聖火リレーは、いわき陸上競技場を起点に、平野球場方面に進み、市道十五町目・若葉台線(旧鹿島街道)を北上。いわき平競輪場を左手に、いわき駅前大通りに向かう。JRいわき駅前の交差点を左折し、並木通りからレンガ通りを南下。平中央公園に市役所側から入り、いわきアリオス前を終点とする。距離は約5・0キロとなる。

いわき陸上競技場、いわきアリオス前では、それぞれセレモニーが催される。市では聖火リレーの観覧に向け、平工業高(午前8時半から)、平五小(同)、平三小(同10時から)に臨時駐車場を用意する。

交通規制に関しては、「ふくしまプラス2020」 こちら でも掲載している。

地図は、聖火リレーに際しての交通規制(クリックで拡大)

■いわきFC 百年構想クラブ認定 人材育成にも力を

日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の理事会が25日午後、東京都文京区のJFAハウスで開かれ、いわきFC(日本フットボールリーグ=JFL)が申請していた「Jリーグ百年構想クラブ」を認定した。Jリーグ百年構想クラブは、Jリーグ参入に必要な条件で、行政の支援やクラブ運営に関する規定を満たすと認められる。

今季からアマチュア最高峰のJFLに昇格し、一つ上のカテゴリーのJリーグ3部(J3)入りを目指すいわきFCにとって、まずは最初の関門をクリアした。次はJ3クラブライセンスの取得となる。取得要件の一つに、5000人収容のスタジアムがあり、令和5年度からは照度1500ルクス以上の照明も求められる。

いわきFCの運営元・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役は25日夕方、常磐上湯長谷町のいわきFCパークで報道陣の取材に応じ、「非常に感慨深い。いよいよだなと思う」と語った。またホームタウンを従来のいわき市から、双葉郡8町村を加えた9市町村にすると正式に明らかにし、東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復興に貢献すると強調した。

双葉郡のホームタウン入りに対し、大倉氏は「私たちはスポーツを通じ、復興から創生に寄与する考えを持っている。原発事故によって、まだまだ住民が帰還できていない現状に触れ、自分たちに何ができるかを考えた」と話した。

J3に向けてのスタジアムに関して、大倉氏は明言を避けたが、Jリーグの例外規定を行使しつつ、行政と連携していく計画という。6月までのライセンス申請に当たって、さまざまな可能性を検討していく。

いわきスポーツクラブによると、いわきグリーンフィールド、J ヴィレッジスタジアム(広野町)のいずれも、客数は足りている(J3は芝生席も可のため)が、どちらも施設環境で満たしていない部分がある。

一方、大倉氏は「いわきFCアカデミーの活動に合わせ、戻ってくるJFAアカデミー福島や、ふたば未来学園高(広野町)とも連携したい」と述べ、人材育成に取り組む姿勢も示した。JFAアカデミー福島は、日本サッカー協会による中高一貫のサッカー養成組織。Jヴィレッジが拠点で、原発事故によって静岡県御殿場市に移転しているが、男子は来年4月、女子は令和6年4月に戻る。

ニュース速報で一部昨報。写真は、報道陣の取材に応じる大倉氏=25日(クリックで拡大)

■「Fukushima50」 本市初上映の試写会 原発事故直後の収束描く

東電福島第一原発事故直後の作業員らをモデルに描いた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」の試写会が25日夜、イオンモールいわき小名浜の「ポレポレシネマズいわき小名浜」で行われた。いわき市での上映は初めてで、抽選で当たった人や招待客ら約300人が訪れ、スクリーンにくぎ付けとなっていた。

映画は、作家・ジャーナリストの門田隆将さんのノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)が原作。3月6日からポレポレシネマズいわき小名浜など、全国で公開される。劇中では1・2号機当直長を佐藤浩市さん、故・吉田昌郎所長を渡辺謙さんが演じ、決死の覚悟で収束作業に向かった様子や、政府や本店との乖離(かいり)、それぞれの家族愛などが表現されている。

制作に当たったKADOKAWAの椿宜和さんは、「多くの人に、あの時原発で何があったかを知ってほしい」と語る。県民であっても、原発事故の収束作業の詳細を知らない人は少なくない。さらに「原発事故は現在進行形の事象。うそを描くことはできない」と椿さん。5年以上をかけて映画化にこぎ着けたが、原発の構造含め細部のディティールにまでこだわったと明かした。

試写会には、ポレポレシネマズいわき小名浜の協力によって、いわきFCの選手や、運営元・いわきスポーツクラブのスタッフも招かれた。選手会長のMF平沢俊輔は鑑賞後、「震災直後の雪が降る様子が、まさに自分が見た姿と一緒だった」と話した。JFAアカデミー福島に所属し、原発事故当時は富岡高1年だった平沢。「劇中で若手の作業員が語った『第二、第三の復興がある』との言葉に心打たれた」と振り返った。

写真は、試写会に訪れた市民ら=25日(クリックで拡大)

■本県沖 コモンカスベ制限解除 全ての魚種で出荷可能に

国の原子力災害対策本部は25日、福島県沖のコモンカスベについて、東電福島第一原発事故に伴う出荷制限を解除した。原発事故による福島県沖の出荷制限指示は、最大43魚種・44品目あったが、これでゼロとなった。全ての魚種が出荷できるため、いわき市の漁業にも弾みがつきそうだ。

コモンカスベはエイの一種。昨年1月に広野町沖で漁獲された際、放射性セシウムが国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える同161ベクレル検出され、出荷制限が指示された。

翌2月から今年1月にかけて、計1008検体を調査したところ、1001検体が検出限界値未満で、検出の7検体も最大同17ベクレルだった。