■夏井川決壊 専門家の現場確認 どこでも破堤の恐れ「通常の水害と異なる」

昨年10月の東日本台風(台風19号)に伴い、夏井川が決壊・氾濫した問題について、県いわき建設事務所による「第1回夏井川堤防技術検討会」が25日に行われ、日本大工学部の長林久夫名誉教授ら専門家4人が委員を務める。

長林氏らは初めに、夏井川の決壊箇所のうち、小川町と平下平窪の4カ所を確認した後、平字梅本の県いわき合同庁舎に会場を移し、堤防の復旧工法などを話し合った。いわき市では東日本台風によって、支流も含む夏井川が決壊・氾濫し、8人が犠牲になっている。

専門家は長林氏のほか、東北大大学院工学研究科の田中仁教授、福島高専都市システム工学科の菊地卓郎准教授(欠席)、国土交通省東北地方整備局河川部の畠山浩晃・河川情報管理官(検討会出席)。決壊箇所では、県の担当者から説明を受けた。

長林氏は決壊箇所の一つ・平下平窪字四左エ門内で、報道陣の取材に応じ、「水量の多さに驚いた。通常の水害とは違うと感じた」と率直な思いを示した上で、決壊箇所のみならず、全体的に越水しており、どこで堤防が切れてもおかしくない状況にあると指摘した。

現状の問題点を問うと、河道断面(堤防ともう一方の堤防までの断面)が、降雨による流量に耐えられなかった点を挙げた。改修に当たっては、大規模なかさ上げ等は必要ないものの、しっかりとした断面を確保しながら、決壊箇所は越水しても破れない堤防とするよう、堅固な構造とすべきと強調した。

さらに長林氏は、夏井川に樹木が生い茂ったり、川底に土砂が堆積したりする部分にも言及した。「河道内樹木の管理とともに、住民の方がいつも不安に思っている土砂も除去することで、断面の確保につながる」と述べ、堤防復旧の中で適切に行うよう求めた。

県は決壊箇所のボーリング調査を予定しており、この結果を踏まえて、5月にも次回の検討会を開催する方針。

写真は、専門家による決壊箇所の確認=25日、平下平窪字四左エ門内(クリックで拡大)

■鹿島街道かげ崩れ きょうから工事着手

県は25日、いわき市鹿島町久保の県道小名浜・平線(通称・鹿島街道)で、昨年8月に発生したがけ崩れについて、復旧工事に着手した。最初の段階として、現場の測量などが行われており、予定通りであれば、3月10日から岩の撤去や仮設防護策の設置に入る。

がけ崩れは昨年8月24日夜に起きた。国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)の現地調査によると、砂岩質の岩盤が経年劣化したのが崩壊の原因とみられる。内部は過去に石切り場だったため、空洞となっており、東日本大震災の揺れも影響した可能性もあるという。

現在は片側1車線を確保しているが、現場交差点は右折が禁止されているほか、慢性的に渋滞が生じており、平と小名浜を結ぶ大動脈に大きな影響を与えている。

県によると、6月ごろに暫定3車線、10月ごろに暫定4車線を確保する計画を立てている。11月からのり面の緑化が図られ、12月末には岩の撤去が完了し、工事全体は来年3月に終える見通し。

県いわき建設事務所では工事に当たって、「工事期間中は交通規制等、皆さま方へ御迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をよろしくお願いします」とのコメントを発表している。

写真は、がけ崩れの工事が始まった現場。看板の工期に加え、のり面の緑化が来年3月まで続く=25日(クリックで拡大)

■好間川決壊で住民懇談 水門・ポンプ場設置へ

昨年10月の東日本台風(台風19号)に伴い、好間川が決壊・氾濫した被害について、好間地区の住民による意見交換「好間川の水懇談会」が24日、好間町上好間の上好間団地集会所で行われた。地域住民ら25人が出席し、問題点や今後のあり方を話し合った。

懇談会では、8日に発足した住民運動「夏井川・新川・好間川水害対策促進連絡会」と協力し、好間地区が抱える問題を伝える役割を果たす。懇談会の進行役を務めた片寄隆司さん(70)=好間町大利=は、好間地区は宅地開発によって、過去の遊水地に住宅やアパートが建っていると指摘する。

好間地区の中でも住宅や商店が多い箇所では、細かい支流から水があふれた場所も多いため、「梅雨時はもちろんのこと、1月のように、いつまた大雨に見舞われるか分からない」と、早期の整備が必要と強調した。

県もこうした状況を把握しており、懇談会に先立って実施した要望活動の席上、好間川に水門を設置する方針を示したほか、市と連携し、ポンプ場を設ける考えを明らかにしたと発表された。

参加した住民からは不安の声が聴かれた。金沢トミ子さん(84)もその一人。好間町下好間の叶田団地1階で生活していたが、自宅は水没してしまい、4階の住民の協力で脱出。いまは近くのアパートに移っているが、2階のため外出に難儀している。

「足が悪いので、買い物に出るのもためらう。早く元の生活に戻りたいが、またどうなるか分からない」と金沢さん。衣類の多くも使い物にならず、先の見通しが立たないと吐露した。

写真は、決壊・氾濫した好間川について意見を交わした住民=24日(クリックで拡大)

■26日まで高校美術連盟展 生涯学習プラザ4階

県高校文化連盟美術工芸専門部の「市高校美術連盟展」が26日まで、市生涯学習プラザ4階大会議室で開かれている。同展には磐城、いわき総合、いわき光洋、湯本、四倉、小名浜、磐城一高、磐城学芸専門学校の美術部員が出品している。

会場では、「雨のち」「二つの夜明け」「カブトムシ」「静物」「洋菓子と和菓子」などを題にした油彩、水彩、デザイン、立体など80点を紹介している。 来場者は、会場を飾る各校の若い感性あふれる力作の数々にじっと見入っていた。

観覧時間は午前9時〜午後5時(26日は同1時まで)。

写真は、開催中の市高校美術連盟展=24日(クリックで拡大)