2020年2月21日(金)

■市教委「いわきの先人」発刊 小学5・6年に配布 古里の礎つくった9人を知る

市教委は20日、市内の小学5・6年生向けに、郷土の偉人を伝える冊子「いわきの先人」を配布したと明らかにした。冊子では、小川江筋の開発に当たった沢村勘兵衛(1613〜1655)ら9人にスポットを当てており、いまのいわき市の礎をつくった近代の人物を知ることで、子どもたちに郷土愛を醸成してもらう狙いがある。

市教委では、社会科や総合的学習の時間で使ってもらいたいとしている。 沢村勘兵衛のほか、いわき地方の石炭産業の祖・片寄平蔵(1813〜1860)、幕末の老中・磐城平藩主の安藤信正(1819〜1871)、錦町出身の製薬王$ッ一(1873〜1951)、「ライスキング」と呼ばれた小川町出身の実業家・国府田敬三郎(1882〜1964)が登場する。

また、代表作「洟(はな)をたらした神」で知られる吉野せい(1899〜1977)、スパリゾートハワイアンズ生みの親・中村豊(1902〜1987)、小川町生まれの蛙(かえる)の詩人・草野心平(1903〜1988)、いわきの福祉の父・大河内一郎(1905〜1985)も紹介している。

内容は文章が中心となっているが、これは読書活動の推進の意味も込めているという。本年度は小学5年生2693人・小学6年生2848人に配布しており、来年度以降も小学5年生に届けていく。

写真は、市教委が発刊した「いわきの先人」(クリックで拡大)

■常磐もの食べよう! 「魚食条例」制定 3月7日に催しも

市議会2月定例会が20日に開会し、初日の本会議で、議員提案による「いわき市魚食の推進に関する条例」が全会一致で可決、制定された。議員提案で市民生活に関わる政策条例がつくられるのは、市議会では初めて。魚食を目的とした条例は県内初という。

いわき市の水産物は「常磐もの」として名高いが、東電福島第一原発事故に伴い、試験操業が続くこともあって、低迷を余儀なくされている。全国的にも「魚離れ」が進んでおり、食生活の変化から平成13年度をピークに、魚介類の消費量は減少している。

こうした背景から、条例では単に水産物の消費拡大を目指すにとどまらず、栄養バランスの良い健全な食生活の実現や、水産資源の持続的な利用の配慮を図る。市も各種施策に当たって、必要な財政上の措置を講じるよう努める。

また毎月7日を「魚食の日」と定め、特に毎年3月7日には「さかなの」の語呂合わせから、市や事業者、消費者が協力し、魚食の日にふさわしい催しも開催する。市水産課によると、初回となる今年の3月7日にもイベントを計画しており、週明けにも概要を発表できる見込み。

■市美展「絵画・彫塑の部」開幕 市長賞に中塚さん(常磐)

第49回いわき市民美術展覧会(市美展)の「絵画・彫塑の部」が21日から、市立美術館で始まった。3月1日まで。館内には、絵画・彫塑の作品計205点(一般応募195点、招待出品10点)を展示。それぞれの感性が生かされた個性豊かな作品が、来館者の目を引いている。

開催に先立ち19日、画家で武蔵野美術大名誉教授の遠藤彰子さんによる作品審査が行われ、市長賞に常磐上湯長谷町の看板デザイナー中塚将太さん(22)の絵画「未来への渇望」、市議会議長賞に中央台の会社員四家友幸さん(39)の絵画「宇宙速度」、市教育長賞に常磐西郷町の学生佐藤沙月さん(20)の絵画「大地に宿る」が選ばれた。

展示時間は、午前9時半から午後5時で、休館日は25日。また会期中の22日午前10時半から「招待作家による入選作品批評会」、23日午前11時から表彰式が開かれる。

絵画・彫塑の部の各賞は次の通り。

◇佳作▽市文化協会長賞= 吉田重信( 平下荒川)▽福島県報徳社賞=鈴忠寿(鹿島町走熊)大塚浩司(中央台)木村律子(平中神谷)▽美術館友の会賞=幡野ゆり(平赤井)▽トーカイ賞=伊藤集三(平下神谷)▽箱崎美術広告社賞=若林喜代子(植田町)▽椿屋賞=高木武広(小名浜)▽昭文堂賞=佐藤俊之(泉ケ丘)藤於環(常磐上湯長谷町)▽画廊喫茶モナミ賞=野島美穂(内郷御廐町)▽ギャラリー磐城賞=佐々木寿子(錦町)▽アートスペース泉賞=広木賢一(平南白土)▽アートスペースエリコーナ賞=松江州泰(常磐関船町)▽ガスワン賞=薄美可(平下荒川)▽ひまわり信用金庫賞=深谷天音(平南白土)

◇特別賞▽青少年(ギャラリーわづくりや)賞=宮ア好美(平北白土)▽青少年奨励(X)賞=中塚将太(常磐上湯長谷町)

写真は、市長賞の「未来への渇望」(クリックで拡大)

■アクアマリン 希少な「ダイオウキジンエビ」の赤ちゃん展示

ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」は20日より、国内有数の甲殻類分類学者として知られる千葉県立中央博物館の駒井智幸博士との共同研究で新種に認められた「ダイオウキジンエビ」の赤ちゃんの展示を始めた。同種を展示しているのは世界でも同科学館のみで、希少な赤ちゃんの展示は珍しいという。

同館では北海道・知床半島の羅臼沖の深海で同種を採集し、新種に認められた年、平成28年からメス親の飼育実験を続けている。試行錯誤しながら、このほど卵のふ化に成功し、幼体がメスのおなかに一定期間しがみつく、海産のエビ類としては非常に珍しい行動も確認した。

赤ちゃんは昨年7月に生まれ、親から独り立ちしたばかりで、ふ化した150〜200個体のうち、無事に成長した全長約2センチの10個体ほどを展示した。研究に携わる飼育員の日比野麻衣さんは「展示している赤ちゃんは1度脱皮した個体。かわいらしい姿をみてほしい」と話している。

同種はエビジャコ科としては世界最大級で、その大きさから学名は「rex( 王)」、標準和名は「大王鬼神エビ」と名付けられた。

写真は、展示が始まった「ダイオウキジンエビ」の赤ちゃん(クリックで拡大)