2020年2月10日(月)

■市と風力メンテ「北拓」が協定 来年3月に四倉進出 原発事故後の需要に応える

風力発電機のメンテナンスなどを手がける「北拓」(本社・北海道旭川市)は10日、来年3月のいわき市進出に向け、市と「企業立地に関する基本協定」を結んだ。北拓は風力発電の風車の保守等では業界最大手で、四倉町のいわき四倉中核工業団地に人材育成も含めた総合拠点を設ける。東電福島第一原発事故による風力発電需要に応えていくほか、地域産業に大きな効果をもたらすことも期待される。

締結式は市役所第3会議室で行われ、北拓の吉田ゆかり代表取締役社長が、清水市長と協定書を取り交わした。いわき四倉中核工業団地の事業主体として、鈴木勉県いわき地方振興局長が見届け人を務めた。

北拓は平成18年から、風力メンテナンス事業に参入した。原発事故を契機に国内でも風力発電が注目されており、いわき市や広野、楢葉町での「阿武隈南部風力発電事業」(14万6200キロワット)はじめ、福島県でも大型の風力発電事業が進行している。

いわき四倉中核工業団地の「北拓福島支店」は、敷地面積約1万6203平方メートル。規模面積は約1704平方メートル。拠点運営のための事務所、トレーニングセンターを兼ねた部品用倉庫、羽根の修理や実証試験に当たる研究施設、風力発電施設が完備される。

設備投資金額は約15億2000万円。地元からは5人程度の雇用を計画する。1月までに県と北拓が、土地の売買契約を済ませている。基本協定では、北拓の円滑な進出を実現するため、市は企業立地や従業員採用、域内連携に協力し、北拓も地元雇用などに配慮していく。

協定締結に際し、清水市長は「いわき四倉中核工業団地を拠点に、国内にメンテナンス事業を広げ、地元企業にそのノウハウを伝えることができる」と話す。吉田社長は「多大なるご期待をいただき、身が引き締まる思いだが、いわき市の一員として、産業集積に微力ながら力を尽くしたい」と意気込んだ。

10日午後には北拓による講演会も催され、吉田社長らがいわき産業創造館で、「福島での風力事業導入促進に向けた北拓の役割」をテーマに語った。

写真は、協定書を手にする清水市長、吉田社長、鈴木局長(左から)=10日(クリックで拡大)

■江名「第35漁福丸」小名浜港に メバチなど約30トン

江名の漁業会社「漁福」所有の遠洋マグロはえ縄漁船「第35漁福丸」(総トン数499トン)が10日、約8カ月に及ぶハワイ東沖・太平洋西経漁場での操業を終えて小名浜港に寄港し、メバチマグロ約25トンとクロカワカジキ約5トンを水揚げした。

同船は昨年3月に竣工(しゅんこう)した国内最大級の新造船で、地元への水揚げは今回が初めて。マグロは主に市内のスーパー、カジキは学校給食用に流通する予定で、吉田雄二代表取締役(46)は「地元の水産業の復興、発展に寄与したい」と意気込み、水揚げを見守った。

江名の漁業会社「漁福」は江名、中之作の漁業会社本蔵商店、辰巳水産、長久丸漁業部の3社が出資し、平成29年11月に設立された。

本蔵商店はサンマ漁船も所有していたが、深刻な漁獲量減少や船の老朽化、後継者不足を背景に廃業を選択。安定した漁獲量と世界的に消費量が伸びつつある遠洋マグロ漁業に活路を見いだし、平成26年には水揚げ体制の充実を図るために民間漁船としては初めて小名浜港に水揚げを行った。

主な水揚げ先は静岡県・清水港となるが、地元でも着実に実績を重ねる中、持続可能な漁業モデルの実現を目指して辰巳水産、長久丸と協力し新会社を設立し、3社で所有する既存船4隻のうち2隻を新造。

このうち「第35漁福丸」が今回、水産庁補助事業「もうかる漁業創設支援事業」を活用しながら操業し、清水港で冷凍マグロとカジキ約330トンを水揚げした後、約30トンを小名浜港に運んだ。

同港ではこれまで、主にいわき海星高の練習船「福島丸」が水揚げしていたが、漁福所有の遠洋マグロはえ縄漁船3隻に加え、もう1隻の新造船「第1漁福丸」(総トン数479トン)も今後水揚げを計画しており、年間を通じて安定した水揚げに期待がかかる。

学校給食にも役立てられ、吉田代表は地元水産業の復興と発展への寄与に加え、「魚食文化を守るためにも頑張りたい。子どもをはじめ地元の方々においしく食べてもらいたい」と語り、漁業関係者とともに新造船の初水揚げを見守った。

新造船は静岡県清水市の三保造船所で竣工した。既存船より冷凍マグロ、カジキを保管する魚槽が50トンほど大きくなり、スクーパーと呼ばれる魚体取り込み装置を装備した。乗組員は23人。また今回の水揚げでは、県森林組合連合会と農林中央金庫が製作・寄贈した、県産材活用の冷凍マグロの水揚げ台が使用された。

写真は、新造船で行われた水揚げ作業=10日(クリックで拡大)

■磐城高、医療創生大が代表 アンサンブルコンテスト東北大会

全日本アンサンブルコンテスト第47回東北大会(東北吹奏楽連盟などの主催)が9日、岩手県盛岡市の岩手県民会館で開かれた。いわき市勢のうち、磐城高のフルート6重奏、医療創生大の木管3重奏が金賞・東北代表に選ばれた。

アンサンブルコンテストでは、3〜8人の管打楽器などの演奏を競い合う。大会は小学校、中学校、高校、大学、職場・一般の各部門が行われ、東北6県の県大会を勝ち抜いた団体がエントリーした。

第43回全日本アンサンブルコンテストは3月21日、福井県福井市の福井県立音楽堂ハーモニーホールふくいで開催される。

その他のいわき市勢の結果は次の通り(数字は重奏)。

【中学校の部】▽銀賞=錦・木管8▽銅賞=植田・金管8【高校の部】▽金賞=磐城・木管3▽銀賞=磐城・金管8【職場・一般の部】▽銀賞=IBCサクソフォンアンサンブル・サクソフォン4