2020年2月4日(火)

■被災地再生に「空き地バンク」 震災復興土地区画整理事業の未利用地活用へ

東日本大震災による津波被災に伴い、いわき市の沿岸部で実施した「震災復興土地区画整理事業」について、市は4月末をめどに、未利用の宅地を活用するため、「コミュニティー再生に向けた『空き地バンク事業』」を始める。清水市長が4日、定例の市長記者会見で明らかにした。地権者に引き渡されたものの、そのままとなっている土地を有効活用することで、地域コミュニティーの維持・再生を目指していく。

震災復興土地区画整理事業は、市内5地区(久之浜、薄磯、豊間、小浜、岩間)で行われ、平成30年6月までに838区画が引き渡された。被災した住民が新しい家を建てたほか、民間取引による移住もあり、少しずつ復興している。

ただ地権者が移住したり、高齢のため住宅再建を断念したりしたため、1月末時点で、391区画が未利用となっている。地区別では、久之浜は95区画、薄磯は100区画、豊間は176区画、小浜は8区画、岩間は12区画が利用されていない。

市は昨年9月から10月にかけて、未利用地の地権者に意向調査したところ、売却等の検討をしている人が3割以上いる中、その8割近くが相手が決まっていなかった。一方で4割の人が、市の支援策があれば使いたいと答えていた。

空き地バンク事業に当たっては、未利用地の売却・賃貸を希望する人を対象に、土地の情報を登録してもらい、市のホームページを通じて情報を発信する。

いわき市の空き家バンクを運営する「NPO法人いわき市住まい情報センター」で、宅建業者の選び方や契約の方法の相談に応じ、実際の交渉・契約は当事者間で進めていく。事業開始に先立ち、3月までに未利用地の登録申し込みを予定する。

市によると、震災で被災した岩手、宮城、福島の3県では、同じような空き地バンク事業が展開されており、県内では新地町に次ぐ。担当者は先行事例を踏まえ、391区画のうち、2割程度の成約を目標とする。

写真は、空き地バンクによる土地利用が期待される平薄磯地区=4日(クリックで拡大)

■暴追市民大会 排除に取り組む個人・団体たたえ

第28回暴力追放いわき市民大会が3日、市文化センターで開かれた。市内の暴力団排除に取り組む個人や団体、事業所の代表者ら約450人が一堂に会し、暴力追放への誓いを新たにした。

第1部では、大会長の清水市長が「すべての暴力の追放を図るため、諸施策を積極的に推進するなど、暴力のない、安全で明るく住みよい地域社会≠フ実現にまい進していきたい」とあいさつ。いわき3署を代表し、増子一公いわき東署長が市内の昨年1年間の犯罪情勢などを説明しながら、暴力団根絶に向け、さらなる協力を求めた。

席上、暴力追放活動に功労があった個人や事業所、団体を表彰。清水市長が賞状を手渡した。受賞者を代表し、「暴力追放活動功労者」として表彰を受けた飯塚テル子さんが、「この栄えある受賞を契機に、これからも微力ながら、さまざまな暴力追放に努めていいたい」と謝辞を述べた。

来賓祝辞に続き、寺田博明いわき中央地区防犯協会連合会副会長が大会宣言。2部では、鈴木利雄県警組織犯罪対策課長が「最近の暴力団情勢等」と題して講話した。

この他の受賞者は次の通り。

◇暴力追放活動功労事業所・団体=第一環境 関田連合自治会◇暴力追放活動功労者=鈴木慎一郎 片山勝幸

写真は、清水市長(右)から賞状を受け取る受賞者=3日(クリックで拡大)

■東日本大震災から9年 3月11日に市主催の追悼式

市主催の東日本大震災追悼式が3月11日、いわき芸術文化交流館「アリオス」大ホールで開かれる。清水市長が4日、定例の市長記者会見で概要を発表した。式典は午後2時35分から開始し、例年と同じく、初めに国主催の追悼式の中継映像を流す。地震が発生した同2時46分に黙とうした後、安倍首相の式辞、秋篠宮さまのお言葉に耳を傾ける。

いわきアリオスに会場を移し、清水市長の式辞や遺族代表のあいさつ、関係者による献花、県合唱連盟いわき支部による献演と続く。本年度の遺族代表は勿来地区を予定している。

参加に事前申し込みは不要。閉式後の自由献花は誰でもできる(花は市が用意する)。出席は礼服でなくとも可。また地震発生の時刻に合わせ、3月11日午後2時46分から、市内消防署などが1分間のサイレンを鳴らす。

清水市長は記者会見の席上、来年の震災発生10年を節目に、国主催の追悼式が取りやめとなる件に対し、「突然の発表に驚いた。市としては被災された方、ご遺族の方の思いを大切に、10年以降の実施を検討していきたい」と述べた。

■志賀葉月さん創作人形展 花魁テーマに 14日まで・アートスペース泉

平下荒川字諏訪下のアトリエ「クラフト&ギャラリー葉月」を主宰し、全国創作人形作家100選に名を連ねる志賀葉月さん(67)の個展「志賀葉月創作人形展」が14日まで、泉町二丁目のアートスペース泉で開かれている。

同ギャラリーでの個展は4年ぶり4度目となり、会場には近作、新作合わせ120点ほどの創作人形やレリーフ、ウェルカムボード、アクセサリーが展示されている。

椿(つばき)、艶(あで)やかな花魁(おいらん)をテーマに、自ら骨董(こっとう)市に出向いたり、知人から譲り受けた古布を用い、時代考証なども踏まえて当時の衣装や髪形を忠実に再現した和人形をはじめ、女性らしいしぐさ、やわらかさ、優しさを表現するために体のラインの美しさに神経を注いだという洋装の人形、蝶(ちょう)を散りばめた球体人形などバリエーション豊か。

粘土の造形とアクリル色彩の繊細さ、手縫いの技術の高さは圧巻で、来廊者たちを驚かせている。 また今回は、1年ほど前より取り組んでいるという、ウサギの和人形シリーズ「うさぎ十二ケ月艶姿」を出品。

季節ごとに着物を変えるこだわりようで、志賀さんは「創作を始めて今年で40年の節目。新たな取り組みをはじめ、いろいろな作品を見ていただき、私の気持ちが少しでも伝わればうれしい」と思いを語り、来廊を呼びかけていた。

開廊時間は午前10時半〜午後6時(最終日は同4時)。休廊日は木曜。志賀さんは7、8、9、14日に来廊する予定。問い合わせは同ギャラリー=電話(56)9101=まで。

写真は、近作、新作約120点を出展した志賀さん(クリックで拡大)