1.台風被害乗り越え大きく成長

待ちに待った吉報だ。昨年、一昨年と21世紀枠での県推薦を受けながら、東北での選考にもれた。昨年暮れ、3度目の挑戦で東北地区の推薦校に選出。年が明け、25年の長きにわたり聖地から遠ざかっていた古豪のもとへ、46年ぶりにセンバツへの招待状が届いた。

発表当日の24日午後。岩間涼星主将(2年)はいつも通り、ユニフォームに袖を通し、仲間とともに、グラウンド整備をしたあと、ベンチ前に集合をかけ、吉報を待った。? 「もし、選ばれなくても夏に向けて頑張るだけ」? チームの大黒柱として凜(りん)とし、朗報を待った。

日本高野連から連絡を受けた阿部武彦校長、木村保監督らがグラウンドに現れた。阿部校長が出場決定を伝えると、選手たちは互いに顔を見合わせ、「よっしゃー」と歓喜に沸いた。過去9度、甲子園の舞台に立ち、昭和46年夏の準優勝という輝かしい成績を残している古豪ゆえ、私学台頭の昨今もOBをはじめ、周囲の期待は大きい。

その重圧からか、100回の記念大会となった一昨年夏は、いわき勢トップの第4シードで甲子園に挑むも、2戦目で敗退。2年連続でいわきグリーンスタジアムがメイン会場となった昨夏も、日本一を目標に掲げながら、白河の地からいわきに返り咲くことができず、初戦で力尽きた。

だが、昨秋以降の戦いは古豪復活を予見させる快進撃を見せた。けがで夏を棒に振った2年生の主力が戦列に復帰。14年ぶりに支部制覇を果たすと、残り1枚の東北切符をかけた東日大昌平との1点を争う死闘を制し、12年ぶりに東北の舞台に立った。

東北の舞台でも快進撃は止まらない。磐城と並ぶ春、夏通算9度の甲子園出場を誇る東海大山形を撃破し、白星発進を切ると、2回戦では能代松陽との1点を争う死闘を制し、8強入り。準々決勝で仙台城南に敗れ、進撃は止まるも、実り多き秋となった。

大会途中、台風19号に見舞われ、古里いわきが被災。大会を終えた選手たちは自主的にボランティア活動に取り組んだ。「地域に貢献する取り組みをしながら、ひと皮もふた皮も日々、大きくなっているのが受け取れた」と木村監督。「頼もしいなと思っていた」と教え子をたたえた。

年明け最初の練習に先立ち、飯野八幡宮で岩間主将は手を合わせ、こう願った。「甲子園に出場し、勝てますように」。まず、一つ目のでっかい夢をかなえた。

写真は、1月4日の今年初練習に先立ち、甲子園出場を願う岩間主将(クリックで拡大)