2020年1月31日(金)

■水石山公園に母子4人の遺体 同居関係の51歳男 殺人の疑いで逮捕

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかた事件で、いわき中央署は31日午前10時6分、同市小名浜愛宕町、自称・住宅リフォーム業の男(51)を殺人の疑いで逮捕した。逮捕容疑によると、男は21日正午ごろ〜22日午前2時ごろの間、水石山公園駐車場で、女性=当時(43)=の首に、刃物を突き刺すなどして殺害した疑い。

男と女性は同じアパートの隣同士に住み、同居関係にあった。事件は22日未明、男が「人を刺した」と、110番通報したことで分かった。停車中の車内からは女性と、その息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)の遺体が発見された。死因はいずれも刺し傷。女子生徒は双子の姉妹。

男は事件発覚時、自ら首や腹を刃物で刺して、重傷を負った状態で運転席に座っており、市内病院に入院していたが、31日午前10時前に退院したため逮捕した。調べに対し、男は「間違いありません」と容疑を認めている。

通報で駆け付けた署員には「4人を刺した」と話しており、車の中には血の付いた包丁と短刀があった。同署は女性の子ども3人の殺害にも関与しているとして、当時の状況を追及する。

男は事業に失敗し、多額の借金があり、事件発覚直前にも返済日があったが、履行できなかった。事件に使われた車両は女性名義で、水石山公園に向かう途中、練炭や七輪(しちりん)も購入しており、男が計画的に、無理心中を図った可能性もある。

同署は2月1日午後、男の身柄を、殺人容疑で地検いわき支部に送致し、本格的な取り調べに入る方針。

写真は、22日早朝の水石山公園。駐車場の車両から、女性と子ども3人の遺体が見つかった(クリックで拡大)

■新型肺炎 市内事業所に対応通知 友好都市・撫順にはマスク送付

中国湖北省武漢市を中心に、新型コロナウイルスによる肺炎が拡大している問題で、いわき市の感染症対策本部会議が30日、市役所災害対策本部会議室で開かれた。清水市長や市幹部が出席し、市としての対応や対策が話し合われた。中国政府は31日朝、中国本土の感染者が9692人になったと発表しており、死者は213人、感染が疑われる人は1万5238人に達している。日本国内で報告されている感染者数は14人。

市の感染症対策本部会議では、国や県の通達を確認した上で、市内事業所と中国との関わりを調査すると決定。市産業振興部を中心に、いわき商工会議所や市内の各商工会と連携し、現地法人や取引先がどの程度あるかを把握していく。また31日付で、市とハローワークいわきの連名で、市内事業所に対し、「新型コロナウイルス感染症の対応について」と題した通知を出した。

通知では、中国への出張がある場合に、▽帰国後14日間は定期的に検温すること▽人混みへの外出はなるべく避け、外出時はマスクを着用すること▽体調に異変を感じたら、出勤せずに保健所・医療機関に連絡し、速やかに受診すること――を要請している。

外国人の雇用を踏まえ、振り仮名付きの簡単な日本語とともに、英語、中国語、韓国語に加え、ベトナムからの技能実習生が多いことから、現地の言葉での啓発文も添付している。

万が一、いわき市で新型肺炎の患者が出た際には、第2種感染症指定医療機関(全国348施設)として、内郷御廐町の市医療センターが受け入れる。院内には感染症病棟6床を有している。

市では2月、友好都市・中国遼寧省撫順市に、9年ぶりの訪中団を送る予定だったが、新型肺炎の流行によって、本年度は中止を決めた。ただ現地でマスクが不足していると分かり、市の備蓄からマスク9900枚を送付した。

市内でも注意を呼びかける動きが広がっている。中国と縁が深い平鎌田の東日本国際大では、学生・教職員に向け、各自対策するよう文書を出している。同大によると、中国からの留学生は試験期間のため帰国しておらず、古里の家族も発症していないという。

写真は、新型肺炎を受けての市の対策本部会議=30日(クリックで拡大)

■福島第一原発のいま 本紙単独取材で現状の姿に迫る

いわき民報社は30日、東電福島第一原発事故から間もなく9年を迎えるのに合わせ、福島第一原発を単独で取材した。昨年12月に廃炉工程表「中長期ロードマップ」が改定された際、廃炉は30〜40年かかるとする考えを継続し、令和23〜33(2041〜2051)年に完了するとの立場を堅持した一方、来年に2号機から溶け落ちた燃料(デブリ)を取り出すと初めて明記された。

原発構内には、汚染水を浄化した後の処理水を保管するタンク群も広がっている。処理水などの貯蔵量は16日現在、約117万トンに上るが、令和4年夏にも、設置可能なタンク容量の上限137万トンに達する。政府の有識者会議は31日、希釈して海に流す海洋放出と、水蒸気にして大気に放出する2案を提言する報告書の最終案を公表したが、どのような判断が下されるのか。

いわき市の復興に向けても、福島第一原発の安定した廃炉は欠かせない。2月1日付写真特集で現状の姿に迫る。

写真は、解体が進む1、2号機共通排気筒と、デブリ取り出しが控える2号機。倒壊リスクを抑える排気筒の解体はトラブルが相次ぎ、完了時期は5月上旬に延期された=30日(クリックで拡大)