2020年1月29日(水)

■いわきに季節外れの大雨 大久川・仁井田川沿いに避難勧告発令(すべて解除)

いわき地方は29日、発達した低気圧が接近したため、午前中は季節外れの大雨に見舞われた。福島地方気象台によると、いわき市では午後1時までに、好間町今新田(平観測所)で125・5ミリ、山田町大谷(山田観測所)で109・5ミリの降水量を記録し、いずれも1月としての1日の値を更新した。

風も強くなっており、29日に予測される最大瞬間風速は、浜通りの陸上で25メートル、海上で30メートルとしている。いわき地方では午後から晴れ間も広がったが、土砂災害や河川の氾濫に、引き続き注意が必要となっている。

市は29日午後1時半、大久川で避難判断水位に達したとして、避難勧告(警戒レベル4)を発令した。大久町大久字寺前から河口にかけての住民は、久之浜中や近くの安全な場所に避難するよう求めた。また29日午後1時50分には、仁井田川にも避難勧告(警戒レベル4)が出された。四倉町細谷・下仁井田から河口にかけての住民は、四倉高などに向かうよう要請した。

福島地方気象台は29日午前11時20分、いわき市に土砂災害警戒情報を発表した。市内では降り続く大雨によって、土砂災害警戒区域等では、命に危険がおよぶ事態が、いつ起きてもおかしくないとした。

大雨に伴い、市内の交通にも影響が出ている。常磐湯本町三函の市道では29日午前5時ごろ、落石が発生し、片側通行止めとなった。現場はまこと幼稚園の入り口で、楠洋興園長は「保護者から落石を不安がる連絡が届いた。昨日からの雨が落石につながったと思っている」と話す。

昨年春にも落石があったため、伊藤順朗・まこと幼稚園保護者会長は「1つの園だけで、子どもたちを守るのには限界があるので、市を挙げて、安全・安心に園児が通える場所に整備してほしい」と強く訴えた。

JR東日本水戸支社によると、強風のため、常磐線末続―広野(広野町)駅間で、運転中止となった。同社仙台支社によると、磐越東線いわき―小野新町(小野町)駅間が、大雨で運転を見合わせた。

30日は低気圧が北海道付近に進み、次第に冬型の気圧配置となるため、浜通りは晴れや曇りだが、午後は雨や雪の降る所があるという。小名浜の日中の最高気温は15度を見込んでおり、平年より7度高く、4月中旬並みの暖かさとなるとしている。

写真は、落石の撤去が進む常磐湯本町三函の市道=29日午前(クリックで拡大)

■バイヤーに魅力PR いわき商議所主催の商談会

いわき商工会議所主催の「メイドinいわき 食の商談会2020」が28、29の両日、いわきワシントンホテル椿山荘で開かれた。商談会は東日本大震災、東電福島第一原発事故の影響を受けている市内外の水産・食品加工業者の販路回復・開拓を目的に毎年実施されている。

今回は東北六県商工会議所連合会の25社、復興水産加工業販路回復促進センター主催の生産地応援バスツアー参加の17社、いわき市内宿泊施設、小売・卸売業者、飲食事業者など約200人がバイヤーとして訪れた。

会場では展示・個別商談会、懇親会が行われ、市内外の食料品製造業など34社がサプライヤーとして出展。バイヤーらは、仕入れ業者の商品PRに聞き入りながら交流を深め、商談を進めていた。

写真は、盛況となった「メイドinいわき 食の商談会」=28日(クリックで拡大)

■冷泉寺 恒例の「岩井戸不動尊護摩祈祷会」 身体堅固などの成就願う

真言宗独鈷(どっこ)山「冷泉寺」(小名浜字古湊、酒主伸明住職)恒例の岩井戸不動尊護摩祈祷会(きとうえ)が28日、同寺院本堂で執り行われた。

同寺院は「弘法大師が東北を巡錫(じゅんしゃく)した際、岩を独鈷で打ち砕くと冷水が湧き出し、同地に自ら彫った不動尊像を安置して漁師の安全を願った」とのいわれがあり、酉(とり)年生まれの念持仏、海上安全、人生の荒波をも乗り切る霊験あらたかな守護尊「波切不動尊」として、漁師を家族に持つ檀(だん)信徒の信仰が厚い。

また、世界的な建築家の隈建吾さんが本殿を設計したことでも知られる。

檀信徒の所願成就を願い毎年1月28日に祈祷会を実施しており、今年は酒主伸明住職、真希副住職をはじめ、真言宗寺院の僧侶10人が厳修。檀信徒が手を合わせる中、僧侶たちは不動明王の真言を唱え、設けられた壇で焚(た)き上げた護摩の火に参列者の祈願札を当てて清めた。

このほか、高野山金剛講冷泉寺支部の講員がご詠歌の「三宝和讃(わさん)」「大聖(だいしょう)不動和讃」を奉納。寺院には100人を超える檀信徒が訪れ、身体堅固や家内安全、開運厄除(よ)けなど所願の成就を祈願していた。

写真は、檀信徒の所願成就を願い、行われた不動尊護摩祈祷会=28日(クリックで拡大)

■水石山で母子4人の遺体 発覚から1週間 複数メモは計画性裏付けるか

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかり、4人の死亡に関与したとみられる男(51)が重傷で運転席にいた事件は、29日で発覚から1週間が経過した。車両があった現場には降りしきる雨の中、関係者が手向けた花や線香が静かに置かれていた。

事件は22日未明、男の「人を刺した」との110通報で明らかとなった。いわき中央署員が駆け付けたところ、助手席や後部座席から、母子4人の遺体が発見された。遺体は同市小名浜愛宕町、女性さん(43)、息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)。女子生徒は双子の姉妹。男と女性は同居関係にあり、同じアパートの隣に住んでいた。

母子4人の死因は、いずれも首の刃物傷だったが、姉には首を圧迫された跡もあり、現場にはロープがあった。一方で抵抗した際に生じる防御創はなかった。車外には、使用済みの練炭と七輪(しちりん)も置かれていたが、4人の体内からは、死亡する程の一酸化炭素は検出されなかった。

捜査関係者によると、車内には子どもが友人に感謝を伝えた内容を含め、複数のメモが残されていた。男と母子4人は21日に自宅を出発し、練炭と七輪を購入した後、水石山公園に向かっており、計画的に無理心中を図った可能性がある。

清掃業を営んでいた男は、事業に失敗し、多額の借金を抱えており、一部は事件直前に返済日を迎えていたが履行されなかったという。女性はパートで生計を立てていた。男は医師や看護師と会話できる程度に回復したが、28日の段階で集中治療室(ICU)に入っている。同署は殺人容疑を視野に、勾留に耐えられると判断でき次第、男は逮捕する方針。

関係者が手向けた花や線香=29日午前、水石山公園駐車場(クリックで拡大)