2020年1月28日(火)

■長野・佐久の先進事例に学ぼう いわき市 健康長寿の協定交わす

いわき市は27日、市民福祉の向上を目指すため、先進事例を持つ長野県佐久市と「市民の健康長寿の実現に関する都市連携協力協定」を締結した。佐久市は脳卒中の死亡率など健康指標が悪かった過去があるが、昭和30年代から農村地域での訪問医療に力を入れ、住民の健康意識を高めてきた歴史を持ち、平成27年には女性の平均寿命(88・4歳)が、長野県1位、全国1718町村の中でも11位を記録した。

締結式が同日夕方、いわき市役所第3会議室で開かれ、清水市長、佐久市の蜩c清二市長が協定書を交わした。いわき市の健康指標は、県内の中であまり良くない結果が出ている。市によると、県内13市で比較した場合、心疾患による死亡は男女ともワースト2位、脳血管疾患による死亡は男性が同2位、女性が同1位だ。65歳時の平均余命も全国の男性19・55歳、女性24・39歳に対し、いわき市は男性18・02歳、女性22・88歳にとどまる。

こうした実態を改善させるため、市は昨年を「いわき市健康元年」と位置付け、同8月には官民一体の横断的組織「健康いわき推進会議」を立ち上げた。

さらに取り組みを深化させるため、佐久市との協定に至った。協定を通じ、職員間の交流を展開するとともに、いわき市が誇る地域包括ケアシステムの仕組みを、佐久市に伝えていく。10月には佐久市が毎年開催している「健康づくり佐久市民のつどい」に、いわき市職員を招待する計画も立っている。

また昨年10月の台風19号の被害を踏まえ、福祉の面から、災害対応マニュアルの整備も検討していく。佐久市は台風19号で千曲川の支流が氾濫し、2人が死亡したほか、4000棟を超える住宅に被害が出た。

協定に当たって、清水市長は「いわき市の健康指標をV字回復させたい」と強調。蜩c市長も「いわき市との連携によって、自分たちも学び直しをしたい」と語った。

写真は、協定を交わした清水市長(左)と蜩c市長=28日夕方(クリックで拡大)

■いわきPIT 2月2日に「ガラスのうさぎ」上映 エピソード知る本紙元記者との対談も

いわきロケ映画祭実行委員会(緑川健代表)主催、イワキノスタルジックシアター第5弾「ガラスのうさぎ 東京大空襲」が2月2日、平祢宜町のいわきPITで上映される。観覧料千円(事前申し込み制)。開演午後1時。いわき民報社などの後援

イワキノスタルジックシアターは過去にいわきを舞台、ロケを行った映画を紹介するもので、第1回の吉野せい原作「洟(はな)をたらした神」から、「遊びの時間は終わらない」「喜びも悲しみも幾歳月」「浮草日記」までを上映している。

今回の「ガラスのうさぎ 東京大空襲」(昭和54年公開、橘祐典監督)は、児童文学者・高木敏子さん著『ガラスのうさぎ』(金の星社)が原作。太平洋戦争で家族を失った少女が戦後の混乱期をけなげに生きるストーリーで、高木さんの戦争体験をもとに16ミリフィルムで上映する。

いわき市とのかかわりは昭和21年2月末、宮城県仙台市郊外の親戚宅に預けられた高木さんが東京に戻ることを決心、常磐線の列車に乗るも、平駅(現・いわき駅)までの切符しか買えず困っていたところ、乗り合わせた見ず知らずの女性から声をかけられ、勿来町の自宅に1泊させてもらった。

映画に車中シーンはないが、後年この親切な女性が「勿来のおばさん」として、高木さんが消息を尋ね、いわき民報などが情報を呼びかけたところ、園部タケさん=当時(77)=と分かり昭和54年1月、33年ぶりの再会を果たしている。

当日は2部構成で進行し、第1部上映(午後1〜2時50分)、第2部(3〜3時40分予定)オリジナル映像原作者高木さんのインタビュー、緑川代表と当時、いわき民報の記者として「勿来のおばさん」に関する取材を行った吉田隆治いわき地域学會代表幹事が対談する。

なお当日は会場ロビーに、太平洋戦争時の平空襲で米軍のB29爆撃機が投下したとみられる「焼夷(しょうい)弾」の残骸を展示する(入場者のみ観覧可)。チケット購入、問い合わせは、いわきPIT=電話(38)3826=まで。

写真は、米軍が投下したとみられる焼夷弾の残骸(クリックで拡大)

■小川支所のモニタリング検査所閉鎖 台風19号の被害受けて

市は27日、昨年10月の台風19号による被害を受け、市小川支所の「自家消費用作物等モニタリング検査所」を閉鎖すると明らかにした。 検査所では東電福島第一原発事故に伴い、出荷や販売を目的にしない作物などを調べていたが、台風19号で夏井川が決壊し、市小川支所が水没したため、検査状況も勘案して閉鎖を決めた。

市小川支所での検査実績は、平成24年度から計2225件だった。なお残る12カ所の検査所は継続する。問い合わせは市農業振興課=電話(22)7471=まで。

継続する検査所は次の通り。

神谷公民館 市環境監視センター 市勿来支所 常磐公民館 内郷公民館 大野公民館 上遠野公民館 好間公民館 三和ふれあい館 田人ふれあい館 川前公民館 久之浜・大久ふれあい館

■水石山で母子4人遺体発見 車内からも子どものメモ 自宅のは下書きか

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかり、4人の死亡に関与したとみられる男(51)が重傷で運転席にいた事件で、車の中に子どもが書いたとされるメモが残っていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。

メモはルーズリーフ1枚にペン書きで、友人に感謝の気持ちを伝える内容だった。同じようなメモが、母子の自宅にもあったが、捜査関係者はこちらは下書きだったと推測する。

事件は22日未明、男の「人を刺した」との110通報で明らかとなった。いわき中央署員が駆け付けたところ、助手席や後部座席から母子4人の遺体が発見された。同署によると、遺体は同市小名浜愛宕町、女性(43)、息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)。

女子生徒は双子の姉妹。男と女性は同居関係にあり、同じアパートの隣に住んでいた。母子4人の死因は、いずれも刃物傷だった。男と母子4人は21日に自宅を出発し、練炭や七輪(しちりん)を購入してから、水石山公園に到着しており、計画的な無理心中の可能性がある。同署は車内のメモとの関係を調べている。

また男は清掃業を営んでいたが、事業に失敗したため、借金を抱えていたことも判明している。事件直前にも返済日があったが、返されることはなかったという。捜査関係者もこの事情を把握しており、事件とのつながりを捜査している。市内病院に入院している男は、医師や看護師と会話できるまで回復しており、同署は殺人容疑を視野に、近く逮捕する方針。