2020年1月26日(日)=休刊日

■平沼ノ内・賽の河原 移転先の高台で入魂の儀 津波被災乗り越え

東日本大震災の津波に伴い、被害を受けた平沼ノ内の水子供養の霊場「賽(さい)の河原」が高台に移され、26日に地蔵尊に対する入魂の儀が行われた。

震災前は豊間漁港沼之内地区わきの洞窟に霊場が立ち、胎児や乳児で亡くなった子どもの弔いとして、約300体の地蔵や観音像が安置されていたが、津波によって、洞窟内に土砂が流れ込んで埋もれてしまった。千葉県のNPO法人がボランティアとして、地蔵の掘り起こしに当たったほか、地域住民らの支援もあって、近くの山林を造成し、昨年12月に霊場が再建された。

震災から間もなく9年を迎える中、入魂の儀には平沼ノ内の沼之内弁財天、平薄磯の修徳院が協力。地元有志が郷土芸能・じゃんがら念仏踊りを披露し、鎮魂とともに地域の安寧を願った。

霊場再建に尽力した一人で、平下高久・マルケン産業代表取締役の志賀健一さん(73)は「あっという間の9年。震災翌日から行方不明者の捜索活動に協力したが、みんな知っている人ばかりだった」と振り返り、「多くの人の協力で、お地蔵様を安置することができた。皆さんがまたお参りできる」と語った。

写真は、再建されて入魂の儀が行われた賽の河原=26日(クリックで拡大)