2020年1月25日(土)

■センバツ決定から一夜明け 磐城 初の春勝利目指す練習に汗流す

第92回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、兵庫県・阪神甲子園球場)の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪府の毎日新聞大阪本社で開かれ、昨秋の東北大会8強の磐城が21世紀枠で出場切符を手にした。

21世紀枠でのセンバツ出場が決まり、喜びに沸いた磐城ナイン。感動の日から一夜明けた25日午後から、息つく暇もなく、先輩たちが成し得なかった春1勝に向けて、グラウンドで汗を流した。

県内屈指の進学校で、文武両道がモットーの同校。午前8時半から、一教科60分の英語、数学、国語の休日課外をこなし、昼食を済ませると、グラウンドに顔を出した。岩間涼星主将(2年)は「まだ、実感はわかないが、あらためて、自分たちがあの舞台で戦うんだ思い、気持ちが引き締まった」と意気込んだ。

午後1時すぎから、練習を開始し、ノックやバッティング練習などを実施。木村保監督は昨晩、携帯電話が鳴りやまず、「すごいステージでやれるんだということを実感した」をニッコリ。「やることはいままでと同じ。甲子園で勝つため、選手たちのこれからの頑張りを見てみたい」と指揮官の目に戻った。

写真は、悲願のセンバツ初勝利を目指し、練習のスタートを切った磐城ナイン=25日午後

■意気込む沖・岩間バッテリー 「まずは1勝」

磐城ナインが四半世紀ぶりに甲子園の舞台に立ち、聖地をコバルトブルーに染める。春は46年ぶり、夏は平成7年以来。悲願のセンバツ出場を決めた立役者として、木村保監督は主戦・沖政宗、マスクをかぶる岩間涼星の2年生バッテリーの成長を挙げた。

その最大の転機となったのが、昨秋の県大会の東日大昌平との同地区対決となった3位決定戦。雨で仕切り直しとなった東北大会出場をかけた大一番、沖が九回144球を一人で投げ抜き、1点を争う死闘を制し、残り1枚の東北切符を勝ち取った。

21世紀枠を後押しした東北の2勝も沖の右腕で勝ち取った。小学校時代は捕手、内野手などを経験し、エースの座を勝ち取った。「いろんな守備位置を経験しているのでみんなの気持ちが分かる」と堂々とマウンドに向かう。

現在、新たな球種のシュート習得に励む。右打者相手にはまだ未完成だが、「じっくりと習得したい」と先を見据える。そのエースを支えるのが恋女房の岩間主将。昨秋の準決勝で苦杯を喫し、仕切り直しとなった3位決定戦の前日、2人は湯につかり、必勝を誓った。

昨夏はけがに泣かされ、大事なシーズンを棒に振ったが、守備の要となる捕手として、主将として、チームをけん引する。 沖は幼少から、神社での参拝時、甲子園出場を夢見て、いつも54円(こうしえん)を納める。

今年ようやく野球の神様がほほ笑み、念願の聖地のマウンドに立つ。「チームの目標である<日本一>を達成するため、まずは1勝」ときっぱり。岩間主将は「走攻守すべてのレベルを上げて、夢の舞台に臨みたい」と意気込む。さらなる成長を遂げたバッテリーが間もなく聖地で大暴れする。

■<ハンフォード>事例に復興を 東日本国際大でシンポ

米国ワシントン州に残る核施設のハンフォード・サイトをモデルに、東電福島第一原発事故からの浜通りの復興を考える国際シンポジウム「米国ハンフォードの知見に学ぶ福島浜通りの復興創生」が25日、平鎌田の東日本国際大で開かれた。

同大福島復興創世研究所の主催、いわき民報社などの後援。国内外の関係者が事例発表を展開したほか、ハンフォード地域とテレビ会議システムを介して意見交換に臨んだ。

ハンフォード・サイトは米国の原爆開発「マンハッタン計画」の核開発拠点となり、長崎に投下された原爆のプルトニウムの精製が行われた場所で、冷戦期も稼働していた。1988(昭和63)年に機能を停止するも、放射能汚染が問題となったが、除染や廃炉に関する研究によって、新たなビジネスや雇用が創出された。

原発事故を踏まえ、ハンフォード地域の取り組みは、浜通りの復興に資するとされている。ハンフォード地域は4つの市と2つの郡、1つの経済特区で構成されており、国際シンポジウムでは、地元の高等機関や民間による調整機関と連携し、経済発展を果たした点が紹介された。

放射能で汚染された過去がありながら、2013(平成25)には全米で6番目に人口が増加。風評被害の閉じ込めにも成功し、ワインやジャガイモが有名となっている。

同大では、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現に当たって、ハンフォード地域がモデルとなると指摘。まずはいわき市、双葉郡8町村と関係を構築することで、一歩近づけると考え、大を運営する「学校法人昌平黌」は25日、いわき市、双葉郡8町村と「福島県浜通り地域の復興と発展に向けた連携協力協定」を締結した。

連携協力協定に基づき、今夏にはいわき市と双葉郡8町村の首長が、ハンフォード地域を訪問する計画が立っている。視察を通じ、9市町村が抱える課題に対応する活動を見いだしながら、ハンフォード地域との提携も目指していく。

福島復興創世研究所の中村隆行所長代行は「浜通りの発展につなげ、ハンフォード地域のように、若い人が住みたい土地にしていきたい」と期待を寄せる。石崎芳行副所長は「浜通りにも好循環がもたらされると思う。この10年がチャンスなので、ハンフォード地域のいいとこ取りをしたい」と展望を明かした。

写真は、国際シンポジウムの意義を語る中村氏(左)=25日(クリックで拡大)

■「カジ〇コロッケ」給食に 湯本高家庭クラブがレシピ考案

湯本高の生徒たちがレシピ開発に尽力した「カジ〇(まる)コロッケ」が給食のメニューとして初採用され、24日より順次、小名浜方部の小、中学校に提供されている。

初日は先行して提供された小名浜地区の小学校13校を代表し、小名浜一小(坂本貴洋校長、児童数269人)で生徒と開発に協力した関係者、給食調理者を招待した交流会が催され、4年生48人が<生きた教材>を味わい食への理解と関心を高めた。

カジ〇コロッケは湯本高家庭クラブの生徒たちが本県海産物の風評被害払しょくと漁業の復興を願い、一昨年5月に誕生させたメニューで、常磐沖のカジキを復興のシンボルに、同じく水産業の風評被害払しょくと新しい食文化のブランド化を目指す「カジキグルメ実行委員会」の協力を得、一昨年の第10回世界水族館会議2018をはじめさまざまなイベントで販売し周知を図ってきた。

常磐沖はカジキの漁場として世界的に知られ、栄養価も高いことから、<生きた教材>として子どもにも食べてもらいたいという思いは強まり、このたびJAライフクリエイト福島(本社・郡山市田村町)の支援を受けて量産体制が整ったことを背景に、市が進める食育事業の一環として、学校給食週間の新メニューに採用された。

交流会では、レシピ開発に携わった湯本高3年生の古田部梨菜、大平瑠奈、平子萌花、高橋乃愛さんが訪問。児童たちにカジキの生態などクイズ方式で紹介しながら「カジキで皆がまあるい笑顔になりますように、と名付けました。おいしく食べてくださいね」と語りかけ、4年生と一緒に念願のコロッケ給食を味わった。

児童たちは「こんなコロッケ食べたことない」「うまぁい!!」と驚き、大喜び。古田部さんは喜ぶ姿を目の前にしてほっとした表情を浮かべ、「うれしい」と笑顔をみせて児童たちと会話を弾ませていた。

カジ〇コロッケは31日には小名浜方部の中学校6校に提供され、来年以降は市内全域の小、中学校のメニューに加わる予定。さらにJA福島さくらの農産物直売所では2月下旬より一般販売を開始。3月には通信販売も始まるという。

写真は、湯本高の生徒と一緒に給食を食べる児童=24日(クリックで拡大)

■水石山で母子4人遺体発見 自宅には子どものメモも 計画的心中か

いわき市三和町合戸の水石山公園駐車場で22日未明、普通乗用車の車内から母子4人の遺体が見つかり、4人の死亡に関与したとみられる男(51)が重傷で運転席にいた事件で、母子の自宅から、子どもが友達に感謝を伝えたとみられるメモが見つかっていたことが、25日までに捜査関係者への取材で分かった。

メモは漫画のようなイラストが添えられており、女の子が描いたと思われる内容だった。メモが残された時期は不明だが、いわき中央署は事件と関係があるかを調べている。

同署によると、遺体は同市小名浜愛宕町、職業不詳女性(43)、息子の中3・男子生徒(15)、娘の中2・女子生徒(13)、同・女子生徒(13)。2人の女子生徒は双子の姉妹。男と女性は同居関係にあり、同じアパートの隣に住んでいた。

捜査関係者によると、男と母子4人は21日朝に自宅を出発し、水石山公園駐車場に向かったとされている。七輪(しちりん)や練炭も合わせて購入しており、計画的に無理心中を図った可能性があるという。

母子4人はいずれも刃物傷が死因となっているが、姉には首を絞められた跡もあった。練炭は使用済みだったが、体内の一酸化炭素は死亡につながる程の濃度ではなかった。

男は発見時、4人を刺した趣旨の話をしており、殺人容疑を視野に、回復し次第逮捕する方針だが、4人が死亡した経緯の裏付けにも当たっていく。